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完全犯罪 第7部 3ページ目

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ミッキー 「え? 燃えてる?!」


ミッキーが見たのは自分達が暮らしている部屋からの黒煙だった。

2階の部屋に住んでいるのだが、周りの住人は気付いていないのか野次馬は一人もいない。


ミッキー「ユージがいるはずなのに、なんで」

ミッキーはあわてて階段を上り部屋のドアを開けた。


ミッキー「おーい! ユージ!」

部屋の中は既に炎で包まれており、部屋の中へ入るのには勇気がいる状態だった。

ミッキー「おい!」

ミッキーは一瞬戸惑った。

この炎の中、ユージが部屋の中にいるとは限らないし、もうとっくにどこかへ非難しているかもしれないからだ。

しかし、ミッキーは落ち着いて靴を確認した。

ミッキー「ユージの靴がある!」

非難なら裸足で出て行くことも考えられるが状況からすると中にいると確信できた。


ミッキー「クソっ。このまま死んだ方が楽だってか?」

ミッキーは最近のユージを良く知っている。

「死にたいやつは死ねばいい。人間、リセットはいつでもできるようになっている」
と昔アクが言っていたことを思い出したが、ユージがいない生活が考えられなくなり火が強まって行く中ミッキーは部屋へ入っていった。


「ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ!」

土足で部屋に上がり奥のリビングまで行くとユージがイスに座っていた。

ミッキー 「何してんだよ!」

ユージ  「……」


人間なら誰もが一秒でもはやく出たいと思うような熱さの中ミッキーを見たユージの目は冷たかった。

ミッキー「しっかりしろよ!」

「ゴウゴウ」と辺りは燃え出し、もうミッキーひとりではどうやっても消化できないほど火が回っていた。


ミッキー「とにかく、出なきゃ」

ユージ 「悪い、ミッキー。俺、もういいよ」

ミッキー「どうしたんだよ! ユージらしくないぞ」

ユージ 「俺らしさってなんだよ」


ミッキー「……あぁぁぁあああ! うぜぇ!

死ぬとか言うなよ! 俺がぶっ殺すぞ!

ユージがいない人生なんて俺が嫌なんだよ!」


ミッキーがこれほど怒りに満ちたことは今までなかっただろう。

ミッキーはユージを担ぎ炎の熱さなど怒りで感じぬまま外へ出た。


ミッキーが外に出るともう周りには消防車や野次馬達が大勢囲んでいた。


ミッキーとユージは消防士に身を任せこの一件は終わった。


――。


ユージ達が運ばれた病院。

2人ともヤケドはしていたが、それほど重症ではなく軽く手当てするだけで良くなった。

ユージは少し煙を吸っていたようだが、一日も安静にしていれば治るものだった。


病院のベットでは。

ミッキー 「なんで燃えたの?」

ミッキーは自殺するならわざわざ部屋を燃やさないと思い聞いてみた。

ユージはゆっくり重い口を開く。

ユージ  「一人が怖くなったんだ。火を見てれば落ち着くと昔テレビで聞いたことがあったからやってたんだけど、 ボーっとしてたら紙に引火してさ、カーテンに移って。そんな感じだ」

ミッキー 「死ぬ気がなかったんだったら逃げようよ」

ユージ  「逃げる、か。1ミリも足は動かなかったな。もうどうでもいいやってそんな気だった」

ミッキー 「それおかしいよ。あははは」

ミッキーは無理やり笑ったがそれが逆に悲しくなった。

ユージはベットに寝転がった。

ユージ  「はあ。あきかぁー。信じてなかったけど人は人のために死ねるのかなぁ」

ミッキー 「急に今思ったんだけどさ。ユージが死んだらきっとあき悲しむよ。あきの幸せを本当に願うなら生きてなきゃいけないよ」

ユージ  「はー。生きるかー」

ミッキー 「そうだ。もう一度あきに告白すればいいんじゃないの?」

ユージ  「は? 突然何言ってんの?」

ミッキーはアクから言われたころを自分なりに言ってみた。

ミッキー 「いやー。人生一回なんだからさ、やりたいことやらないとダメだって。好きなら単純に告白でしょ。 アクとか関係ないって。好きなものは好き。欲しいものは欲しいでいいじゃん」

ユージ  「単純だな」

ミッキー 「しんぷる、いず、べすとー。でしょ」

ユージ  「告白かぁ。どうせ死のうと思っていた命。もうなんでもできるな」


だんだんユージが力を取り戻してきた。

ミッキー 「そうだよ! はっきりさせといた方がいいって」

ユージ  「だよな。このままじゃ次に進めないし。良くも悪くも言っとくか!」

ミッキー 「全力で応援するよ!」



数日後ユージは思い切って電話で告白するも、あっけなく振られてしまったのであった。


――。


それから3日後。

ユージとミッキーはアクの部屋に住んでいた。

全焼させてしまった部屋を弁償しなければいけなかったがユージはアクに金を借り大家にキャッシュで払い全てを済ませた。


アク 「そうか。家が燃えるか、あはは。それは面白いなぁ。けんたの家に、俺の家。そして、ユージ達のマンションか」

アクは笑っていた。


ユージ「金は返すから」

アク 「いらん、いらん。俺も借りている身だけどさ」

ミッキー「太っ腹ー」

アク 「ただ、ユージにはそれ以上に働いてもらうぜ」

ミッキー「太っ腹ー……撤回!」


アク  「あはは」


ユージはアクがまた一回り成長していると思った。

それは、当然見た目ではなく中身のことだ。


テーブルに無造作においてあるアクの携帯が昔より良く鳴ることに気付いた。

ユージ 「携帯鳴りまくってるなぁ」

ユージはあきに振られてから、元通りのユージに戻りアクにも別に対抗意識というものはなかった。

アク  「ちょっとナンパし過ぎちゃったかな」

ユージ 「ん?」


アク  「いや、この前組織を作るって言ってただろ。だから仲間集めだよ」

ミッキー「そういえば言ってたね」

ユージ 「あー。最強の組織ってやつか」


アクは遠く空をみながら言った。

アク  「最強、そうだ。最強。最強の犯罪組織を作る」

ミッキー「犯罪組織?」

アク  「簡単にいえば悪いことばっかする組織だよ。俺がその組織の頭になるんだ。カッコいいだろ?」

ミッキー「昔はそんなこという人じゃなかったのになぁ……」

アク  「いやー。銀行強盗成功させて分かったんだよ。あれは簡単過ぎた。目標が小さすぎた」

ユージ 「でも、結構やるまで苦労したよ?」

アク  「それは俺達がまだ未熟だったからだって」

ミッキー「組織かぁ。みんなでワイワイするのは好きだけど、そんなノリでいいの?」

アク  「いいよ。なんでもありだ。面白い方がいいしな。それでだ、そのことなんだけど」


アクが突然ユージ達に顔を近づけてきた。

アク  「まずは、会社を作ろうと思う。そこが本部になるわけだ。表では商売、裏では犯罪。よくある組織図だ」

ミッキー「え? 会社?」

アク  「あぁ。金があるからなんでもできる。それがこの世界。良いルールはフル活用して、くだらんルールは破っていくぞ」

ユージ 「ってかまず、会社ってどんなことするの? なに売るの?」

アク  「何にしようかなぁ。あ! ってかそこの社長はユージだからね」

ミッキー「しゃ、社長〜!」

ユージ 「え? アクは?」

アク  「俺はまあ表に顔を出さずに裏で動く感じだ。社長は忙しいぞ」

ユージ 「社長かぁ。まあ印鑑押すぐらいの仕事ならいっか」

アク  「そんな簡単じゃないと思うけど」

ミッキー「ねぇねぇ。俺は?」

アク  「ミッキーはー、社員1号」

ミッキー「え。ただの社員?」

アク  「嘘だって、ミッキーはユージの補佐って感じかな2人で仲良くやってくれ」

ミッキー「ほいさ」


……。

アク  「んでー、どうしよっかな。会社作ることは決めてたものの何をするか決めてなかった」

ユージ 「地味なやつはやめようよ」

アク  「地味でもなんでも社長はその作業しないんだからなんでもいいと思うけどねえ」

ユージ 「あーそうか。俺が社長っていう実感が全然なかった」

アク  「何にしようか。 あ! そうだ。高校生のときテレビで見たやつやろ、あれなら上手くいくはずだ」

ミッキー「何?」

アク  「それに、あれなら作業も簡単だし、バカな高校生でも使えるぞ」

ミッキー「だから何?」

アク  「うん。あれしかないな」

ミッキー「……シカトかい」


――。


1週間後――。


アクは新宿にあるマンションの一室をユージ名義で買った。

20階建ての1階で、一階にした理由は部屋の中から地下の駐車場にいけるというメリットがあるからだ。

購入額は3000万近かった。

20畳ほどある部屋と大きなベランダがあり、トイレ、風呂、キッチンなど当然一通り付いている。


そこにユージ達を呼びつけた。

アク 「ここが俺達の会社のスペースだ」

ユージ「いつの間にこんなとこを」

アク 「あぁ。ここユージ名義で買ったからね。社長らしくさ」

ユージ「え? ああ、あれ本当だったんだ」

アク 「実はここのマンションのオーナーはちょっと前に街で知り合った人でさ、ちょっと安くしてもらったんだよね」

ユージ「へー。で、ここでどんな仕事するんだっけ?」


アク 「簡単に説明するからミッキーもビー玉転がしてないで聞いてくれ」

ミッキー「いやねー、最近偽装とかいうの流行ってるからここもかなーと思って。持ってきちゃった」

アク 「それは俺が最初きたときにパチンコ玉で調べたよ」

ユージ ミッキー「あはは」


アクは2人に仕事の内容を説明した。

アク  「ここではな。特に売るものはないんだ。ここは第二の倉庫として客に使ってもらう」

ユージ 「第二の倉庫?」

アク  「ネットが普及してるからさ、通販とかするやつが直接自宅に運びたくないものをここに一回送るシステムだ、だから第二の倉庫」

ユージ 「住所ばらすってこと?」

アク  「そうだな。それは会社として当然でしょ。客は俺達に手数料を払うという形になるわけだ」

ミッキー「綺麗なお姉さん利用しないかな」

アク  「俺の想像を言うと。わざわざここの倉庫を使うってことはヤバイ物なんだよ。直接自宅に送れないつったら男だったらAVだったりするかもしれないけど、 麻薬とかそっちの類のものが必ず送られてくると思うんだ。んで、そういう奴をどんどん仲間にしていく。これで犯罪組織はどんどん出来上がっていく」

ユージ 「ちゃんと考えてあるね」

アクは自慢気に笑った。

アク  「当然。全て計算通り。上手くいけばあっという間に最強の組織ができる。裏の裏まで支配する」

ユージ 「上手くいくかな?」

アク  「リスクは多少あるけど、それ言ってたらなんもできんて。頭使ってやればどんなことだって成功できるさ。それに、けんたの資金も借りれるし」

ユージ 「そういや、けんた。見ないうちに有名人になってきたな」

アク  「あいつやばいよ。笑えるぐらい金持ってる。それでもまだ仕事するって頭おかしいかもしれん」

ユージ 「あはは。あいつにもなんか目標があるんじゃないのかな」

アク  「そうだろうけど。まぁいい。けんたはなるべく使わない方向で最初は地道かもしれないけどやっていこう」

ミッキー「会社かぁ。お客さんくるかな」


――。

20畳ある部屋の片隅にパソコンを置きレジを置いた。

ユージ達の仕事はそこで店番だ。

アクがけんたに頼み一流企業並みのホームページを立ち上げ客が注文してくるのを待つことになった。

ユージ 「アクセス増えないな……」

アク  「アクセス増やすか」

ユージ 「そんな簡単に増えるの?」

アク  「新宿中にティッシュばらまけば食いついてくるやついるでしょ」

ユージ 「すっげー地味だね」

アク  「いやー。まだ会社として申請してないからねー」

ユージ 「それって商売していいの?」

アク  「え? ダメなの? まぁいいでしょ。とりあえずは」

ミッキー「なんかワクワクする。みなぎってきた」

ユージ 「何がみなぎってくるんだよ」


アク  「そういえば、このホームページは検索エンジンってやつから見れないようにしてあるんだ」

ユージ 「ん?」

アク  「注文が殺到してもこの部屋じゃ収まりきれないだろうっていうのもあるんだけどさ、 一人仲間を見つけたらそれから口コミでヤバイ奴集めていった方がいいかなと思って」

ユージ 「あー。そういうことか。上手いラーメン屋は口コミで広がるんだってね」

アク  「いや、それは知らないけど……あはは」

ミッキー「ラーメンといえば、よしきのおっちゃんどうしてっかな」

アク  「そうだ。今度食いいこうぜ、新宿にも店あるはずだし」

ユージ 「あの店調子乗って広げすぎじゃないか? まぁいいけど」

アク  「よしきは元ヤンキーだとか言ってなかったっけ? バカなんだよ」

ユージ 「あはは」

――。

アク  「仮にこの第二の倉庫が上手く言ってきたらバイト雇とって俺達はまた他のことやればいいしな」

ミッキー「確かにこれなら誰でもできるよね。来た人に物渡すだけだから」

アク  「防犯カメラも付けたし、あとは客かー。はやく引っかからないかな」

翌日。

アクは最近知り合った人達に今やっている商売を始めたとメールで連絡を入れておいた。

アク  「突然こんな商売始めたって怪しくて誰も使わないか?」

ユージ 「この前さ、高校生のときテレビで見たって言ってたけどそれはどうだったの?」

アク  「月に30万ぐらい儲かってたって話だったよ。詳しくは覚えてないけどね」

ユージ 「もしかして、新宿には俺達が知らないだけで他にやってるやつがいるんじゃないか?」

アク  「え……。その可能性大有りだよ」

ユージ 「調べてみよう」

アク  「あぁ……」


ネットで調べるもそのようなホームページは見当たらなかった。

アク  「ないなぁ」

ユージ 「俺達が高校生ってことは、8年ぐらい前だよな。もう古いのか?」

アク  「でもまだ初めて2日じゃねーか。大丈夫だって」



3人は普段遊んでいるような状態だった。ずっと話したりゲームしたり。

普通に会社に勤めている人が見れば本当に遊んでいるようで仕事だとは誰も認めないだろう。


オープン4日後。

初めてお客さんが来た。

――。


「ピンポーン」

アク 「ん? 誰か来たんじゃないか?」

アクは自ら玄関に出た。

アク 「いらっしゃいませ」

そこには20代後半と思われる女が立っていた。

女  「……これ、本当ですか?」

女が持っていたのはアク達が宣伝用に町中に配ったチラシだった。

アク 「はい、本当ですよ。まあ中へお入り下さい」

アクはホストのような軽い口調でそう言い。女性を部屋の中に入れた。

女性はまだアク達をうさんくさいと思っているのかおどおどしている。

アク 「何か預かるものがあるんですか?」

アクはさっそく事情を聞きだした。

女性 「ええ。まあ」

女性は淡々と話だした。


……。

アク 「なるほど、わかりました。それでは、この紙に住所と電話番号と名前を」

女性 「あーはい。……大丈夫ですよね?」

アク 「何がですか? あーやっぱり心配ですよね、これ」

女性 「ええ。まあ。あー。で、いくらですか?」

アク 「あぁ。ユージ、いくらだっけ?」


ユージ「うんと、初回は無料でいいと言う話だったけど? まずは信用を得ないとさ」

アク 「そうだったな。 でも、無料じゃ逆に信用なくない?」

アクは笑った。

ユージ「じゃあ。100円かな?」

ユージも笑った。

アク 「じゃあ100円で」

女性 「あはは。君たち面白いねえ。じゃあ任せたわ」

アク 「ありがとうございます」

女性は紙に住所と携帯番号と名前を書き出て行った。
――。


アク 「ふー。やっと客きたな」

ユージ「で、何が送られてくるって?」

アク 「これからするオークションで落とす品物だってさ。今回は登録だけだって」

ユージ「オークション?」

アク 「ああ。俺の想像通りだ。オークションサイトに本住所教えたくなかったんだろう」

ユージ「変なの。まあ最近じゃ怪しいオークションサイトもたくさん出てきてるみたいだしね」

アク 「ネットが普及することがこの商売の追い風になる」


ミッキー「でも、本当は、仲間集めなんだよね?」

アク  「ああ。でもまあ商売も俺は好きだね」

ユージ 「金稼ぎながら仲間集め。理想的だね?」

アク  「ああ、この商売じゃ一生返せないほどの借金がけんたにあるんだけどね」

ユージ 「あはは」

――。


一人来てからは順調だった。

一人、二人と日に日に客は増えていった。


商売を始めてから1ヶ月後には一日10人以上が訪れ固定客となり品物を渡していった。


ある日の夜。

アクは客の登録用紙を見ながら話し出した。

アク  「みんなネット関係か。昔のなべみたいにヤバイ物の取引してるやつとかこないのかな」

ユージ 「んー。類は友を呼ぶっていうし、俺達がもっとヤバイ感じになればそういう奴も近づいてくるんじゃないか?」

アク  「ヤバイ感じかぁー」

ミッキー「さすが社長」

ユージ 「なんだよそれ、平社員」

……。

アク  「でも、チラシにヤバイ物OKみたいに書いたらそれはそれで捕まるよな」

ユージ 「そこなんだよねー。客もまだ完全に俺達を信用してるって感じでもないし」

アク  「だよなあ。まだ仲間に誘うのははやいよなあ」

ミッキー「まぁ。落ち着こうよ。ダンスでもしてさ」

アク  「一人でやっとけよー。預かってる物だけには触るなよ」

ミッキー「ブーン」


――。


さすがに思ったようには上手くいかず、仲間集めの点では苦労していた。

アクも大きな組織を作るということがどれだけ難しいことなのかだんだん分かってきた。


アク 「そもそも、知り合いじゃない人間を信用させて仲間にするって難しいよな」

ユージ「そりゃもう大人の世界だからな。他人を見たら盗人と思えっていう教えをされてるやつもいるんじゃないの?」

ミッキー「他人を見たら盗人か。みんなもっと相手を信用してもいいと思うけど」

アク 「ここは東京だしなあ。大阪とかならまた別なのかもね」


……。


さらに一ヶ月が過ぎた。

固定客は30人ほどになり、20代後半〜40代前半の人が多くいた。


アクは、ユージとミッキーに仕事を任せて単独で仲間を集めるために動くようになった。


アク 「毎日同じことの繰り返し……あいつらには悪いけど俺はダメだ」

アクは最初は面白がっていたものの飽きてしまっていた。

――。

アクは久しぶりに六本木にある自宅に戻った。

アク 「しまったなぁ。1ヶ月以上放置してたか、家賃もったいね」

アクはそう言ったものの本心ではどうでも良く思っていた。

アクはけんたに連絡し会う約束を取り付けた。


アク 「けんたから大物を紹介してもらって社会勉強だな!」


アクは気合を入れて六本木ヒルズに向かった。

――。

けんた「やぁ、アク。久しぶり元気してた? また金?」

アク 「金は足りてるよ。ってかけんた少し太った?」

けんた「ああ。ずっとパソコンに向かってたからなあ、たまには腹筋とかしてるんだけどね」

アク 「そっか、そっか」

アクとけんたはお互いが今やっていることを話した。

けんた「へー。そんな商売してんだ。儲かってる?」

アク 「んー。ユージに聞かないとはっきりとは分からないけど高校生のバイト代ぐらいじゃね?」

けんた「そっか。まあ仲間集めが目的ならそれでもいいか」

アク 「けんたは? あんま仕事してないって?」

けんた「俺はー。 ぼーっとしてるよ。最近漫画にはまっちゃってさ。これ見て」

けんたは本棚を指差した。

けんた「この本棚は2重になっててこの本の裏にもぎっしり漫画が入ってるんだ」

アク 「漫画喫茶でもするつもり?」

アクは冗談そうにいった。

けんた「あはは。そんなつもりはないよ」


けんたはプログラミングに疲れてしまい気休めのために漫画を読み始めたらハマってしまったようだ。

アク 「けんたーオタクじゃね?」

けんた「やめてよー」


アク 「あはは」

――。

またくだらない話が続き時間がどんどん経過していった。

アク 「そうだ。仲間集めのためにさ。誰か紹介してよ。すごい奴」

けんた「ん? すごい奴って?」

アク 「んー金持ちかなあ。ヤクザの組長とか」

けんた「そんな知り合いいるはずないじゃん。芸能人ならちょっと知ってるけど」

アク 「芸能人? あきあゆ?」

けんた「いやいや、ばりばりロックミュージシャンなんだけど、この前空き巣に入られた人とか」

アク 「家のロックはしっかりしてなかったってオチ?」

けんた「そうなんだけど(笑) 2000万相当の指輪とか盗まれたんだって」

アク 「笑えるなあ。もうそんなやつロックでもなんでもねえよ」

けんた「あはは」

アク 「やっぱ金持ちは金持ちと繋がってるよな……」

けんた「確かにな。自分がどんなやつと付き合ってるかで自分が外からどう見られてるかもだいたい予想が付くし」

アク 「あー。なるほどねー。そういう見方もできるな」


けんた「じゃあ。どうしよっか? 大きな組織を作るんだったらやっぱ政治家との付き合いが欲しいでしょ?」

アク 「政治家かー」

けんた「結局日本を動かしているのはそういう人間なわけだし、俺の東大の知人にもそっちの道行ったやつがいるから紹介してあげるよ」

アク 「さすが、東大だよね。でも、そんなやつ等が俺みたいなやつと仲良くしてくれるかな」

けんた「何弱気なこと言ってるの。そこはアクの話術でひっかけないと」

アク 「まぁな。あはは。 じゃあ教えてよ。タメならなんとかなりそうだ」

けんた「わかった」

けんたはその知人を食事に招待しアクと会わせる約束を取り付けた。

---

当日。

六本木ヒルズにあるレストランでの食事。

アクとけんたが待っているとけんたの知人が現れた。

男  「久しぶり。大学以来じゃないか」

けんた「そうだね」

男  「そっちの彼は電話で言ってた人? はじめまして」

アク 「初めまして ≪なんだこいつ、完全に調子乗ってるな≫」

けんた「紹介するよ。この人が大学で一緒だった。誠也(せいや)ね。で、こっちが中学で一緒だった後藤っていうんだ」

誠也 「下の名前は?」

アク 「アクだよ」

誠也 「へーカッコいい名前だね。で大学は?」

アク 「あはは……」


誠也の体系は細くなく茶髪で耳が隠れるほど伸ばしているが顔はイケてない。

メガネをかけているが全然似合っておらずアクはときどき笑いそうになった。

誠也 「で? 何、俺を呼んだからにはただじゃ帰さないよ」

けんた「あはは。まあそういう話はあとで。どう? まだ勉強してるんだって?」

誠也 「ああ。政治は大変だよ。今の日本にはどうしようもない問題が多すぎる」

けんた「例えば?」

誠也 「まー難しいこと言っても分からないだろうから。そーだな。高齢化とか?」

誠也が一人で政治を語りだすもアクは黙って飯を食っていた。

1時間ぐらい経ったところだろうか。誠也が用事があるといいそろそろ帰りたいと言い出してきた。

けんた「帰るか?」

誠也 「ああ。こんなところでうんちく言ってたってどうにもならないからな」

けんた「そうか」

けんたはチラっとアクを見た。

アク 「ねえ。携帯番号教えてくれない?」

誠也 「え? なんで?」

アク 「ちょっと話したいことがあるんだよね」

誠也 「何? ここでは言えないこと?」

アク 「いやー。そうじゃなくてさ」

誠也 「んー。君と携帯番号交換したところで俺にメリットあるわけ?」

アク 「は? メリット?」

誠也 「あーやだやだ。俺と仲良くなっていい思いしようとしてんでしょ」

アク ≪あー。久しぶりにキレそう≫

けんた「そんなんじゃないでしょ。もういいよ。誠也また今度」

誠也 「けんたも友達選べよー」

誠也は店から姿を消していった。

アク 「なんだあいつ?」

けんた「どっかの社長の息子で子供のときからわがまま放題やってたらしいよ」

アク 「それじゃあ東大も金で入ったようなもんだな」

けんた「どうした? 機嫌損ねた?」

アク 「ああ、最悪だね。なんか下に見られてる感じ。あいつ覚えとけよ」

けんた≪……あー紹介する相手ミスったかな。まぁーいいか。あはは≫

アク 「でも良かったよ。ああいうやつがいるってこと確認できて」

けんた「そうか。まあ次、上手くいけばいいしね」

アク 「そーいうことー」

---

アクは意外と楽観的だった。

夢の実現のためならいくら時間が掛かっても良い。

最終的に自分のやろうとしていることが実現できるならば苦労は惜しまない。

それは、銀行強盗でもそうだがその実現したいことが大きければ大きいほどそういうものだとアクが感じているからだ。

---

それからアクは、けんたに何人か将来有望そうな人物を紹介してもらうも 誠也と同じように言うやつや、そもそもアク達と会うことさえ拒否する者が多く仲間になる者はいなかった。

六本木。

けんたの部屋。

アク 「あー。どいつもこいつも腹立つなー」

さすがに会うたび会うたびバカにされたような目で見られるとアクも嫌になってきた。

けんた「いきなり友達になろうっていうのも変な話だけどね」

アク 「いいよ。いいよ。5年後10年後そのときになって俺に泣きついてきても無視だから」

けんた「あはは。 実際はどうか分からないけど俺は信じてるぜ」

アク 「ありがと。いくらでも期待してくれよ。バカにされるほどやる気でるし」

けんた「おおお」

アク 「もうこのままじゃかなり時間かかりそうだから奥の手を使おうと思うんだ」

けんた「奥の手?」

アク 「おう。マフィアだよ」

けんた「あー。そっちかぁ」

アク 「ん? それしかなくね?」

けんた「女関係だと思った」

アク 「女かー。俺の女友達たいしたやつはいないよ。数は結構いるんだけどさ」

けんた「渋谷とかでたくさん声掛けたってやつでしょ?」

アク 「そう、あれはミスったかもなあ。遊ぼうってメールが絶えなくて」

けんた「あはは。今は遊んでる場合じゃないよな」

アク 「昔から思うんだけどさあ。なんか一生懸命何かやってると普通の人の3倍ぐらい生きてる気がするんだよね」

けんた「何それ。名言?」

アク 「いやー。普通にそう思ってるだけだよ。俺は人の3倍生きる」

けんた「確かにボーっとしてても時間は過ぎるからね。何か一生懸命やってた方が有効な感じがするよ」


――。

アクは一度けんたと別れユージ達の元に戻った。


アク 「……どこだったっけ」

一瞬そう思ったものの迷うことなくユージ達が商売をしているマンションへ到着した。

中に入ると無数にダンボールが置かれていた。

アク 「おお。結構増えてんじゃん」

ユージ「アクが出てってから凄かったよ。あやしい物も届いたしね」

アク 「お、マジか」

ユージの案内で奥にあるダンボールを開けるとそこには大きな透明なビニールに入った白い粉がたくさんあった。

ユージ「これまさか、片栗粉じゃないだろ?」

アク 「これ……間違いねぇ。薬だ」

ユージ「ほらみろー。ミッキー。砂糖なわけねーだろ」

ミッキー「だからー冗談だってー」

アク 「で、これの持ち主は?」

ユージ「今日中には取りに来るんじゃないか」

アク 「おっしゃ。仲間にしようぜ」

ユージ「そういうと思った。今、このことでアクに電話しようと思ってたんだけどタイミング良いよ」


しばらく話していると男が現れた。



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