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完全犯罪 第6部 4ページ目

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ゆきは、黒いスーツ姿で梅田駅周辺を歩いていると怪しい車が大きなホテルの前に何台か並んでいるのに気付いた。

ゆき ≪……間違いない……≫

ゆきも何度かマフィアと遭遇しているのでその場の雰囲気である程度判断できるようになっていた。

ゆきは、懸賞金が懸けられているマフィアが一通り確認できるプリントをバックから取り出した。

ゆき ≪何度も見ているが、外人の顔は覚えにくいな≫

そのプリントでは全身が写っている写真は少なく顔がはっきりとわかるものも少なかった。

ゆきは、その写真をもう一度よく見て覚えると恐る恐るその怪しい車が並んでいるホテルへと近づいていった。


車はいかにも高級そうなものでガラスにスモークが綺麗に張られており中を覗こうとしても何も見えない状態だった。

ゆきは車の中に誰かいる気がしたがお構いなくホテルの中に入ろうと玄関へ向かった。

ゆき ≪ここはホテル。動揺しないで客として入った方が怪しまれない≫

ゆきはそう思い自然にホテル内へ。

ゆき ≪!≫

……ゆきは一瞬心臓が止まりそうになった。

ホテルのロビーで明らかにマフィア達が溜まっている。

その数はざっと30。


ふかふかのソファーで寝ている人や足をテーブルの上に乗せてくつろいでいる人。

和服姿の日本人と思われる老人も座っている。

ゆき ≪……ヤクザ?≫

ゆきは恐れながらも数秒マフィアの群れを見た。

テーブルの上にはビールやタバコが置いてあり、無造作に拳銃も確認することができた。

ゆきの足は一瞬で振るえ始めホテルのカウンターに着くまでにはうっすらと額に汗を掻いていた。

玄関からカウンターまで約10メートルの距離だ。

その10メートルの間をゆきに気付いたマフィア達がじっとゆきを見つめていた。


ゆきがカウンターに着くとホテルマンが慌しく近づいてきた。

ゆき 「……部屋空いてますか?」

ホテルマン 「いえ。満室です」

ホテルマンはマフィアに緊張しているのかかすかに声が震えていた。

ゆきは、ホテルマンがマフィアと無関係なことを”独自の判断”で下すと予め用意しておいたプリントをホテルマンに見せた。

そのプリントには、


--------------------------------------------
私は探偵です。

マフィアを捕まえたいのでご協力して下さい。

--------------------------------------------

と書かれてあった。


そして、ゆきはホテルマンの顔を見てうなずくのを確認すると小さな声で

「どこか安全な場所へ誘導してください」と言った。

すると、ホテルマンは額に汗を掻きながらゆきをホテルの奥へ誘導していった。

――。

奥の部屋。


ゆき 「なぜ、警察を呼ばないんですか?」

ホテルマン 「……呼んだら殺すと言われまして」

ゆき 「……他に従業員はいないんですか?」

ホテルマン 「そんなことより、ここはカナリ危険です」


ホテルマンがその発言をすると同時にさっきまでロビーで寛いでいたであろうマフィアがドアを蹴って中に入ってきた。


マフィア 「サ・ケ♪」

マフィアがカタコトの日本語でそう言った。片手に拳銃を持っている。

ホテルマンは慌ててマフィアと一緒にゆきのいる部屋から出て行ってしまった。



ゆき  「……ホテルマンも命がけだな……ハハハ……」


ゆきは一人になったことをいいことにホテルマンが案内した部屋からさらに奥の部屋へと移動していった。


そして、ゆきは自分がマフィアだということを良いことに好き勝手やっているマフィアが許せなくなってきていた。


ゆきは警察に通報しホテルで好き勝手やっている連中を全員逮捕してもらおうと携帯電話を手に取った。

ゆき 「チッ! 圏外かよ!」

ゆきは電波が届く場所を探して広いホテル内を歩いていった。

――。

ロビーでは、マフィアがホテルマンを扱き使っている。


ホテルマンは他に二人いるようでどれも忙しくマフィアのために動いている。


酔ったマフィアがロシアンルーレットをやろうとホテルマンに言い出してきた。

笑いながら実弾を一発天井に撃つと1発弾を込めた。

シャンデリアにかすり大きな音が出たもののマフィア達は皆笑っている。



ホテルマンは逃げるに逃げれず全身が振るえていた。


――。

そんなことは知らずにゆきは電波が届く場所を探して歩いていた。

厨房のようなところからいい匂いがしてくる。

ゆきは厨房のコックに出口の場所を聞こうと厨房の方へ歩いていった。

ゆきも感覚マヒ状態になっており、自分のしていることがおかしいことには気付いていなかった。

むしろ、これだけマフィアがいる中で多少無礼なことがあったところでどうにもならないと思っているのだ。


ゆき 「……」

コックたちが大勢のマフィアに見られながら料理を作っていた。


ゆきはこのとき悟った。

ゆき ≪もしかして、このホテル内にはマフィアしかいない?!≫


ホテルマンの表情も普通ではなかったし、ロビーに30人ほどいるマフィアも何かおかしい。


普通なら宴会場のようなところで酒を飲めばいいものをなぜロビーで飲んでいるのか。


『宴会場はすでに満員でロビーぐらいしか空き場所がないということか』


ゆきは、そう考えてもう一度あのロビーにいたマフィアを思い返してみた。


ゆき ≪確かに若い人が多かった気がする。でも、ヤクザは……?≫


ゆきは厨房を諦め今度は安全な場所を探すことにした。


ゆきがやっと辿り着いたのは2階の女子トイレだった……。



ゆき 「よし、ここなら携帯も繋がる!」


ゆきは「ピンチはチャンス!」と心の中で何回も言っていた。


集まっているということはそれだけ多くのマフィアが捕まえられるし、マフィアの幹部もいるかもしれないからだ。



――。

まもなく、テレビで生中継された映像にはゆきのいるホテルが映し出されていた。


アク  「生放送だってさ」

ユージ 「へー。大阪ねぇー」

あき  「最近そのニュースばっかだねー」


アク達はいつものようにあきのいる病室で遊んでいた。

テレビはつけっぱなしで常にマフィア関係の情報を得ようとしていた。


ゴールデンウィークに向けてあきの体調も著しく回復しており、近いうちにボイストレーニングをするという話もある。

ただ、病院からはまだ退院していない。

その理由はマスコミにまだ回復できていないということを間接的に教えるということと、また、突然意識が消えるとも限らないと医者も言っているからだ。


---

「パパパパパパパッ!」

ヘリコプターの音がテレビから流れる。

生中継で大阪のホテルが空撮されているのだ。

その他にもカメラは地上にもいくつかある。


ホテルマンがマフィアの一瞬の隙を突いて警察に連絡したのだ。

『連絡したら殺す』と脅されいたのだが、ロシアンルーレットでホテルマンが死んだことで他のホテルマンがこれ以上我慢できなくなったのが連絡した主な原因だ。



――。

マフィアA <どうなっている?>


最近の大阪には常に警察が巡回しているような状態であり、ホテルを警察が囲むのにはそれほど時間がかからなかった。

玄関の前に駐車しておいた車に乗っていたマフィアはすぐに捕まり玄関の前には特殊部隊と思われる武装した警察官達が大きな盾を持ち隙間なく並んでいる。


今までロビーで酒を飲んでいたマフィア達もいきなりのことで動揺を隠せないでいた。


――。


2階のビリヤードなどがある娯楽施設に設置されているトイレで身を潜めているゆきも、その状況に気付いた。

窓から下を見下ろすと警察官達が普段見慣れない格好をして慌しくホテルの隣を走っている。

ゆき 「え?」

ゆきはさっきまでと全く状況が変わっているのだと思った。

マフィアに殺すを脅されて警察に連絡するとは思えないので、近くを通りかかった人がホテルの中を見て警察に通報したのだと思っていた。

ゆき 「手柄が……」

自分の手柄が消えていくことに少し残念な気持ちにもなり、一か八かの勝負に出ようを覚悟を決めた。

ゆき 「よし! やってやる!」


ゆきは2階女子トイレから廊下に出てさらに上の階に足を運んだ。


ゆき 「警察が来る前に捕まえるしかない」


一人でも幹部と思われるものを確保しておけばそれなりに評価されるだろうと思っていた。


ゆき ≪自分の人生、自分で変えるしかない≫

ゆきは今までの人生で一番の勇気を振り絞った!



ゆきは一気にエレベーターで最上階の23階まで上がった。

エレベーターの「チンッ!」という音がいつもより不気味な音に感じた。


エレベーターから降りてすぐ廊下にスリッパが散乱しているのに気付いた。

23階は大宴会場となっており、いかにも人がたくさんいるような雰囲気を漂わせていた。


 ≪相手より先に気付かれてはいけない≫

            ≪相手は拳銃を持っている≫
 
 ≪捕まれば死≫

     ≪勇気、勇気≫

          ≪ゼン君ならどうする?≫

ゆきの頭の中がだんだん冷静さを失いつつあった。


そーっと大宴会場付近まで近づくと中から声が聞こえてくる。

若い女の声もする。

マフィアなのか、ただの客なのか正直まだ分からない。


ゆきはこのまま部屋の中に入っても死ぬだけなので、誰かがトイレに立つのをじっと待つことにした……。


23階の男子トイレの中で待ち伏せ。

ゆきの武器は黒色の手錠と高性能の特殊な警棒を所持している。

どれも通販で買えるものでそれほど高くない。


ゆきの手は尋常でなく震えていた。

---

ホテルの下では警察による説得が始まっていた。


日も暮れかかっており長期戦が予想される。

1階にいるマフィアはそこで扱き使っていたホテルマンを人質として防戦している。


さらに、1階にいるマフィアは酒で酔いながらも23階、大宴会場にいるボスに連絡をするためエレベーターを使い上へ上がってきていた。



警察としても最大のチャンスであってここで逃すわけにはいかなかった。

正直、2,3人のホテルマンを犠牲にしてでもマフィア全員を逮捕したいと心の底では思う者もいたがそれは立場上できることではなかった。


――。


ゆきは相変わらずトイレで待ち伏せをしていると、「コツコツ」と足音が聞こえてきた。

ゆき ≪き、キタぁー?≫


酒を飲んでいるマフィアならどうにかできると思っているゆきだったがその足音は普通で酒で酔いつぶれているというイメージは足音だけではなかった。

ゆき ≪まさか、一般人?≫

ゆきは洋式トイレに入っている。カギはしていないというか開けっ放し。

マフィアがゆきに気付かず後ろを向いて小便をするところを狙う予定である。


だんだん足音が近づきゆきに迫ってきた。

ゆき ≪ウウウウ≫

ゆきは目をキョロキョロさせて息を潜めていると予想通りに大きな男がゆきの目の前の通過した。

ゆき ≪デ、デカイ!≫

その大きさとただならぬオーラでマフィアと判断したゆきは洋式トイレからすっと出てそのマフィアの後頭部を持っていた警棒で思いっきり殴った。


「ボコッ!」


ゆき ≪一般人だったらあやまろう……≫


ゆきは大便所に男を引きずりトイレに座らせると上着から拳銃か、もしくは何かマフィアが持っているような危ない持ちものがないか調べた。

ゆき 「拳銃がある……」

このときゆきは本当に殺されていたかもしれないと実感した。


他にも何かないか調べていると、どんどんと後ろから足音が聞こえてきた。

ゆき 「あ!え! 連れション?」

ゆきは慌てて洋式トイレのドアを内からロックすると、トイレの中でマフィアとゆきの二人の空間ができた。

次の瞬間次々とトイレに人が入ってくるのが分かった。


ゆきは音を出さないように気を付けて上着のポケットなどを探る。


ゆきはふとその男の顔を見るとどこかで見覚えのある顔だということに気付いた。

ゆき ≪あれ? こいつ見たことある≫

慌てて懸賞金の懸けられているマフィア一覧を取り出すとありえない大物だということに気付いた。

ゆき ≪ドルヒン?≫


何度も写真と実物を比べた。

ゆき ≪間違いない。やばい。大物だ!≫



ゆきはとりあえずドルヒンと思われる人物の右手に手錠をし、もう片方をトイレの鉄パイプにはめた。

ゆき ≪これでもうこいつは逃げれない≫

大手柄ができたと喜びたいところだがそんな状況ではない。

壁一枚向こうに複数のマフィアがいることが不安で仕方なかった。

ゆき ≪頼むから何も言わず出て行ってくれ……≫

マフィアがドルヒンが居ないなんてこと言い出したらトイレではゆきとドルヒンのいる場所しか閉まってないし壁をぶち破ったり上から除かれたら一発で見つかってしまう。

しかし、ゆきには上から除かれたりする確率が少ないことは分かっていた。

ドルヒンはDOLLのリーダーとされている人物だし、そんな大物のトイレを上から除く奴なんていないと思っているからだ。



「ジャー」という音とともに複数の足音が遠くなって言った。


ゆき ≪助かったかな……≫

ゆきはドルヒンに顔を見られたくないと思ったので隙を見てトイレから外に出て行った。

普通に外に出たらドルヒンのいるトイレにロックできていない状態になるのでカギの部分などに足を掛け強引にドアをよじ登りロックしたままの状態にしておいた。

――。

ホテルの1階ではマフィアと警察の話し合いが進んでいた。

23階にいるソイルを含めたボス達にもそのことが伝わり23階で緊急会議のようなことが始まった。

それまで23階では、世界中の有力なマフィア達がこれからどう世界で生きていくのかを会議していた。

会議の中では原爆をどうにか作れないかとか、どこかから奪ったりできないか。

本物そっくりの偽札を作る方法など普通の人では考えもしない非現実的なことばかりが話題になっていた。


緊急会議から5分後――。

一人のアジア系と思われる人物が全身にダイナマイトを付けた状態で1階の警察の前に現れた。


とにかくそれで時間を稼ぎボス達は裏から逃げるという作戦だ。

しかし、ホテルをぐるっと囲むように警察が配備しており上からは空撮もされている。




――。


ミッキー 「うおっ!ホテルからボンバーマンみたいなやつが出てきたよ」

ユージ  「顔がやけに落ち着いてんなぁ」

アク   「あいつら人間をただの道具としか思ってないだろうからな……」

あき   「これ生放送だよね。なんか怖いなぁ。変なことが起こらないといいけど」

……あきの心配は的中した。


次の瞬間全国放送の中、信じられない光景が全国の視聴者の目に飛び込んだ。


突然ダイナマイトを体中に結びつけた男が警察官の方へ走りそのまま警官ごと自爆したのだ。

爆風と爆発音がすさまじく地面はかすかに揺れている。

テレビの映像は地上のものから上空のものに移り変わり上空から下を映す映像はホテルの玄関を中心として黒い煙が立ち込めていた。


あき  「うそ!」

ユージ 「すげー」


――。


ホテル23階。


ゆき  「下の方からものすごい爆発音がしたぞ」

ゆきのいる場所も爆風で少し揺れた。

ゆきは一瞬体が不安定になり体制を整えようとした。
すると、宴会場から次々とスーツを着たマフィアと思われる人がぞろぞろとゆきの方へ歩いてきた。

ゆき  「まずい」

ゆきは一先ず身を隠すためにさっきまでいたトイレに戻りドルヒンのいるトイレとは違う場所に隠れた。

ゆき  「……下にいた警察、爆発音、一斉に退場?」

ゆきはマフィアがトイレに来ないことを祈りつつ今何が起こっているのか考えていた。


宴会場から出てきたマフィア達は無数にあるエレベーターを使い次々と下へ降りていった。

まるで避難訓練のようであった。



しばらくすると23階では足音が消えた。

ゆき  「みんな行っちゃったのかな」


ゆきは恐る恐るトイレのカギを開け外に出た。

トイレから廊下を見ると誰もいなかった。

ゆき  「……あ! このままドルヒン担いで下の警察に渡せば……」

ゆきはそれしかないと思いロックしてあるドルヒンのいるトイレを隣のトイレから上へよじ登りゆっくりとドルヒンの足元へ降りた。


ゆきはドルヒンが気絶していることを確認すると手錠をはずし両手に直そうとした。


「ドン!」

ゆき 「うわあっ!」


ドルヒンは待っていたかのように目を覚ましゆきをぶん殴った!

手錠の鉄の部分がゆきの顔面を捉え顔から血が出た。


トイレという狭い空間の中でゆきは5,6発殴られた。

ゆきの目には自分が流した大量の血が映り気絶しそうになったがまだ体制が整っていないドルヒンを 捕まえるには今しかチャンスがないと思いポケットに手を入れしまっておいた警棒を持つと何がなんだか分からないまま思いっきりドルヒンを殴りつけた。

スタンガンのように警棒に電気が走りそれを受けたドルヒンは一撃で気絶してしまった。


ゆき 「この警棒こんな機能もあったのか……この人死んでたらどうしよう……」

ゆきは頭から血が出ていることを忘れドルヒンを担ぎエレベーターで下まで降りた。


エレベーターの窓に映る自分が少しかっこよく見えた。



――。

ゆきが下に向かっているとき、1階は警察がすでに占拠しておりマフィアが大量に捕まっていた。

その中にソイルはいない。

ソイルと幹部達は1階ではなく地下まで降り車で警察が警備する中、下っ端を使い強引に逃げて行ったのだ。




警官を巻き込んだ自爆の後。

武装した警官たちは煙を逆利用する形で一斉に中に入り込み1階にいるマフィア達を全員捕まえた。

ホテルマンが倒れていたが慣れた態度で落ち着いて救急車を呼び迅速に1階を占拠したのだ。


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警官を巻き込んだ自爆で警官100人が負傷し5人が死んだ。

ホテルで捕まったマフィアやヤクザは200人を超えた。


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ゆきはドルヒンを連れて1階に降りると出血のあまり意識をなくしてしまった。


それをたまたま見つけた警官がゆきを救急車まで運びドルヒンは1階で捕まったマフィアと同じような扱いにされた。


――。

ゼン 「え? ドルヒンが捕まったって本当ですか?」 

警察庁で仕事をしていたゼンにもドルヒン捕まったことが伝わった。

ゼン 「ということは、もう少しでこの事件も解決できそうですね」


誰がドルヒンを捕まえたのかそんな話題は一切出なかった――。


――。

翌日の新聞の一面で大きく取り上げられたこの事件は当然アク達にも伝わった。

ミッキー 「犯罪者多すぎて刑務所に入りきらないんだって、面白くない?」

あき   「全然笑えないよ……」

ユージ  「そりゃ一気に何百人も捕まったらそうなるよな」

アク   「あ、ドルヒンも捕まったみたいだな。こいつ高額な懸賞金掛かってたはずだよな」

ユージ  「確か17億5千万だよ」

ミッキー 「うっそー! 漫画みたーい」

アク   「17億かー。でも警察が捕まえたみたいだ」


新聞では警察が捕まえたことになっておりゆきの文字はどこにも見当たらなかった。

そんなゆきは気を失ったまま一日が過ぎ目を覚ましたころには夕方で、今自分がなぜ病院にいるのかさえ分からないでいた。

しばらく一人で考えた後、急にドルヒンを捕まえたことを思い出しゼンに電話したが……懸賞金が貰えることはなかった。

しかし、ゆきには確実に自信が付き、金では買えないものを手に入れた。



――。



幹部も多く捕まり、ソイル達は一時仲間を集めることに専念するようになりマフィアの絡んだ大きな事件はなくなっていった。


――。


4月。


東京も元通りとは到底言えないが生活には困らない程度に回復していた。

警察はまだまだ警戒していたが、先進国の警察達は国へ帰っていった。


総理大臣の「雨はいつか止み、夜は必ず明け、正義は必ず勝つ!」というコメントが日本国民を勇気付けた。


――。


あきは4月になってから本格的にリハビリを始めた。

ボイストレーニングも始めゴールデンウィークに向けて毎日汗を掻いていた。

「毎日が楽しい!」と笑って言うあきは元の姿に戻りつつあった。


アク達は邪魔にならないようにと毎日看病に行くことは避けて今度はけんたの家に入り浸るようになっていた。

けんたは前と変わらないように六本木の家で仕事のプログラミングをしていた。

流行のデイトレも始めたようでパソコンが無い生活はありえないという暮らしだった。



アク達はこっそりマッサージ師や出前を頼み遊んでいる。


アク 「金持ちってこんな良いのか」

ユージ「あれー? アク昔金なんて要らないとか言ってなかった?」

アク 「今でも金は道具としか思ってないよ。生きるために金がいる。けど、金を稼ぐために生きているわけじゃない。そんな感じかな」

ユージ「そうだよね。借金とかして自殺する人いるけど金のことで自殺するって変な話だ」

ミッキー「甘えエビうめぇええええええ!」

――。

アク 「そーいえばさ、他の連中何してるか知ってる?」

けんた「俺はしらなーい」

けんたはパソコンをから目を離さずにアクに答えた。

アク 「やっぱ知らないかー。日本もようやく落ち着いてきたみたいだし、俺の夢もそろそろ叶えたいんだけどな」

ミッキー「わー。犯罪、犯罪!」

ユージ 「ミッキー落ち着け」


けんた 「俺もプログラム作るのストレスたまるからまた、暴れてみたいなー」

ユージ 「けんた怖えー」

アク  「プログラムってすごいよなー。今パソコンがないとやってられない時代なんだし、それ使えなくしたら最強だよな」

けんた 「ばれたら俺の家族一文無しになるかもねー」

アク  「けんたが貧乏って想像つかないなー」

ミッキー「あはは」

ユージ 「そう言える時点でかなりの余裕だな」


アクは今までの一件で完全犯罪がしたくなってウズウズしてきていた。


アク  「よーし、仲間を集めるぞー」





---

5月5日。

姫野あゆみ。武道館コンサート。

〜今までありがとう。ソロ活動休止ライヴ〜

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アナウンサー「人気絶頂のノリに乗っている歌手の姫野あゆみさんが突然ソロ活動を休止するという……」

――。

4月の上旬のときだった。

あきが5月には完全に復帰できるという知らせが医者の口から皆に伝わった。


アク達や事務所関係者、姫野あゆみはもちろん皆が喜んだ。

「最高の復帰ライヴをしよう!」という事務所の若社長が張り切り準備が進められていった。


一斉にマスコミ各社に姫野あゆみがソロを休止するという内容のFAXを送り、もう後戻りはできない状態になった。

その話は瞬く間に全国に広がりソロ最後のライヴを見ようというファンが仕事を休んでまで見にいくと言っている。


「ファン達は結婚でもして引退するのか」とか歌手をやめることばかりが噂されていた。

”姫野あき”という人と昔二人でやっていたことを知らない人も10代前半のファン達は知らない人もいた。


そして、姫野あきはもう死んだかのように復帰は無いと思っているファンもいる。


---

絶対にバレないように進められていった。


姫野あゆみもテレビ出演を増やし、「ソロ最後なので精一杯がんばります」と宣伝に回っていった。


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けんたの部屋。

プラズマの大画面でテレビを見ているアク達。

アク  「全国のファンをだますって良いねー」

ユージ 「ソロ休止して、また二人に戻りますってファンとしては嬉しいのかな?」

アク  「あきが寝たきりから復帰するんだから良いだろう。これが昔あゆみと喧嘩しての解散したなら話は別だけど」

ミッキー「また、遠い世界の住人になってしまうんだね」

ユージ 「住人って……」


けんた 「美系の代表とされるあゆみと、可愛い系の代表とされるあきのペア……最強だ」

アク  「でも、歳がな……あはは」

ユージ 「歳のこというとまた、あゆみに怒られるよ。ハハハ」


ネットでばらしてやろうか、なんて冗談を言いながらもみんな楽しそうだった。

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姫野あゆみの事務所には当然のことながらソロ活動休止の詳しい理由を教えろとか、なんでやめさせるんだと言ったような手紙が多く送られてきていた。



そして、5月5日になり、武道館ライヴが始まった。

午後4時から始まり2時間半で終わるという話だ。

外にはチケットを持たないファンが1万人以上集まっており圧倒的な人気が伝わる。


姫野あゆみ公認のラーメン屋として”神様の楽園”も出店し大賑わい。


最初、午後4時から始まったコンサートは姫野あゆみだけのライヴとなり1曲1曲終わるごとに拍手が起こっていた。


会場の裏で待機しているあきは昔のときよりも可愛くなっており、万全の姿で時を待っていた。

アク達は別に興味ないよと言った感じでけんたの家でゴロゴロしながら遊んでいた。


午後6時を過ぎた。

まだ外には1万人以上のファンが集まっていた。

すると、武道館の会場の外にみたこともない大きなテレビが数台運ばれてきた。


中の様子を映すと言うとさらにファンが膨れあがりパニック状態となった。


午後6時10分だった。

姫野あゆみが「ありがとう!」というと会場の明かりがすべて消えた。



「え?」

   「ん?」

「何?」

  「えーん」


「どうした?」

   「真っ暗だ」

「え、あ、ん?」


ざわざわと会場が揺れる。

テレビに映った映像ではファンが持っているペンライトの明かりしか見えない。



あき 「みなさん。私を覚えていますか」


「!!!」



明らかにあゆみとは違う女の声が会場を包み込んだ。

その声はとても優しく癒される声だったように思えた。


次の瞬間、暗闇の中メインステージに1筋のスポットライトが灯りそこには紛れもなくあきの姿が見える。

輝く衣装でライトに反射したまばゆい光が反射する。



「おおおおー!」


大歓声の中、あゆみとあきのデビュー曲が流れた。



それをみていたファン全員に鳥肌が立ち泣き出すファンも多くいた。

武道館の外でも盛り上がりファンにとって忘れない一日となった。



一番泣き、忘れない一日となったのはあきだったかもしれない。




――。

翌日のテレビニュースでは。

マフィアからの恐怖も終わり、あきが復帰したことでこれからの日本は明るいとニュース番組では報じられた。


――。





日本中が幸せな雰囲気に包まれる中アクだけは自分の昔からの夢を叶えるべく行動を開始した。




それから2年後の夏のことだ――。





以上完全犯罪6部です。



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