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完全犯罪 第5部 4ページ目

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最終更新日 11月13日




アク 「?」

アクはそっと顔を上げた。

そこには茶髪で肌は黒く、化粧が濃い女が立っていた。

女  「大丈夫? 家出?」

アク 「・・・・・・」

女  「私ここ(渋谷)を仕切ってるんだけど友達になろうよ、あんたみたいな子たくさんいるから」

アクはその言葉を聞くか聞かないかの時に、力尽きベンチに倒れてしまった。


数時間後――。

アクが目覚めたのはマンションの一室だった。

アク 「ん」

アクは寝ていたベットから横になりながら目を室内に向けた。

渋谷の公園でアクに話しかけてきた女らしき人がアクに背を向ける格好でイスに座り机の上にあるパソコンをいじっていた。

アクが状態を起こすと女がアクの方に体を向け話し掛けてきた。

女 「あ? 起きた?」

アク「・・・・・・」

女 「いきなり倒れるからビビッたよ」

アク「・・・・・・」

アクは何も言わず女の目を見ていた。

女 「感謝の一つぐらい言ってよ」

アク「どうも」

アクはベットから降りると一人で部屋から去ろうとした。

女 「おいおいおいおいおい。あんたねぇ。倒れたのを助けてもらってそれだけ?」

アク「・・・・・・」

アクはその女が感謝されたいがために自分を助けたのかと思うと余計感謝する気がなくなった。
そしてその女の格好がアクには理解できなかった。

女 「変な人だなぁ。あんたカッコ良くなかったらあのまま放置されて死んでたかもしれないんだよ」

アクは小さな声で言った。

アク「・・・・・・死か」

女 「・・・・・・」

女はアクの異様な雰囲気を感じ取り少し怖く感じた。

女 「家出なんでしょ?」

アク「家出?」

女 「あんたがあそこ(公園)で三日ぐらいベンチに座ってたのは知ってるし行くところなくて途方にでも暮れてたんでしょう?」

アク「あぁ・・・・・・」

女 「私渋谷に毎日いるから渋谷のことは何でも知ってるんだ」

アク「はぁ・・・・・・。そうか、あの変な踊りやってた連中だな」

女 「変じゃない!」

アク「まぁ。どうでもいいけど人に迷惑だけはかけるなよ」

女 「それはこっちのセリフだよ。あんなところで死なれたらたまったもんじゃないからね」

アク「はいはい」

アクはその女の部屋から外に出た。

そしてしばらく歩いた――。気付けばまた同じ公園のベンチに座っていた。


そして、アクは空を見上げた。

青い空と白い雲が同じぐらいのバランスで見えていた。

アク 「マジでこれからどーすっかな・・・・・・」

――。


アクがまた渋谷のベンチでこれからどうするか考えていたとき、フランスでは・・・・・・。


ファンバード 「おーみんな久しぶりだな」

けんた 「いい加減にしろよ。いきなり拉致しやがって」

フランスにある高級ホテルの一室にSOILのメンバーと
けんた、ユージ、ミッキー、ヒデ、カネイチ、ダイスケ、ゴウが居た。

カネイチ「・・・・・・お前らもか」

ユージ 「そちらさんもですか」

ミッキー「みんな久しぶりーここどこだー? アクはーいないのー?」


ファンバード 「お前ら静かにしろ今から俺の言うことを聞くんだ」

日本で普通に生活していたユージ達は突然SOILのマフィアに拉致されフランスまで運ばれていた。

カネイチ「聞くしかなさそうだな」

ファンバードはソイルからの伝言をユージ達に伝えた。


------内容-------

アクが仕事で重大なミスをしてSOILをクビになったこと。
そしてアクの両親の殺してアクの実家を燃やしたこと。

今ホテルに集まっているメンバーの家族構成と実家の住所が分かっているということ。

そして、SOILの仲間にならないとその家族全員と今集まっているメンバー全員を殺すということ。

------------------------------------------------------------------------

ダイスケ 「仲間になるって?」

ファンバード「お前達はSOILの一員として日本に戻りアクに近づき日本で暴れてもらう。それが済んだら自由になれるということだ」

ダイスケ 「なんでそうなるんだよ」

ファンバード「SOILが本格的に日本を侵略するためにその作戦を使うことにした。それだけだ」

けんた 「・・・・・・侵略って?」

ファンバード「表向きは今のまま、裏社会を陣取るってところだな」

けんた 「なんだそれは・・・・・・」

カネイチ「凄くヤバそうだな」

ユージ 「・・・・・・SOILなら俺達の力なしでできるんじゃないのか」

ファンバード「確かに今日本には大量の仲間が住んでいる。あとはタイミングだけ」

ユージ 「俺達が暴れて混乱させている間に他にも事件を起こし日本を大混乱にするってこと?」

ファンバード「詳しいことは言えないがそういうことだな、大地震なんかも重なると最高なんだけど」

カネイチ ≪はー。平和に暮らせないもんかなぁ≫

ミッキー ≪祭り大好き♪≫

ゴウ  ≪・・・・・・凄いことになったぞ≫


ファンバード「何か質問は?」

けんた 「アクはいまどこにいる?」

ファンバード「5日ぐらい前に日本に戻した。それからは知らん」

ユージ 「その暴れるっていうのはいつやればいいんだ?」

ファンバード 「そうだな・・・・・・1年以内というとこか」


ユージ達はファンバードの言うことを何故か全て信じていた。

アクの両親を殺したとか家を燃やしたとか自分の家族構成を全て知っているとか。

SOILの手にかかれば余裕で調べれるだろうし、人も殺せる。

ヒデ 「人に何かをさせられるのは嫌なんだけどな」

ユージ「仕方ねーよ」

ファンバード「じゃあ決まりだな。近いうちにこっちの仲間が会いに行くと 思うからそいつとこれからのことを話してくれ。お前たちは暴れるわけだが捕まられても何かとめんどうだから上手くやれよ」

カネイチ「・・・・・・」

ファンバード「あー! そうそう日本に戻ってから両親にこのことを言って逃げても無駄だ。どこに行こうと見てるから」

けんた 「俺の親父の場所も知ってるの?」

ファンバード 「・・・・・・あぁ」

けんた 「凄いね」


そうしてユージ達はSOILの仲間に連れられ闇ルートで日本に帰国させられた。



ピカイチ店内。深夜1時。

社長不在ということでピカイチは休みになっていた。

ミッキー 「おー、久しぶりの我が家♪」

カネイチ 「違うから」


日本に戻された7人は久々に1つのテーブルを囲み話をすることになった。

沈黙を破るようにダイスケが話を切り出した。

ダイスケ 「夢みたいだったな」

ユージ  「連れ去られたときは、死んだかと思ったけどね」

カネイチ 「俺なんて、夜中にゴミ捨てのために外に出たらいきなり後ろから動くなって言われたし」

ミッキー 「俺はねぇ。仕事帰りに疲れてたからタクシー拾ったんだけど、乗ったらそのまま連れ去られた」

ダイスケ 「マジかよ」

ミッキー 「うそだよ」

・・・・・・。


けんた 「あの、そうじゃなくてさ。これからどうするかを考えよう」

カネイチ「そうだな。ミッキーの嘘にも付き合ってられねーし」

ゴウ  「でもよぉ。暴れろって言われても何すればいいのやら」

ユージ 「適当に爆弾仕掛けて爆発させるぐらいしか思いつかないけど」

けんた 「そんなことしたら大量殺人者になっちゃうよ」

ミッキー「ひぃ」

カネイチ「俺達が昔やったやつは結構騒ぎになったよな」

ダイスケ「今回は確実にあれを超えるよなぁ」


ヒデ  「あー、やらされてる感があるのがイヤだー!」

カネイチ「どうせ俺達が殺さなくてもソイルの奴等が適当に暴れてそれを俺達のせいにされそうだしな」

けんた 「アリバイだけは作っておかないと、か」

ユージ 「アリバイかあ。あーマジで犯罪するんだって感じだなあ」

ダイスケ「アリバイは知人の証言は無意味だから。他人の証言がいるんだっけ?」

カネイチ「確かそうだな。 あと、アクにどう話すか」

けんた 「アクには何も隠さずに話せばいいと思う」

ダイスケ「確かにな、いきなり俺達が犯罪するって言っても意味わかんねーだろうし」


ヒデ  「んじゃ、とっとと犯罪して自由になろう」

カネイチ「マフィアがそう簡単に自由にしてくれるとは思わないが」

けんた 「大丈夫。約束は守るはず。そうじゃなかったらあらゆる手段で抵抗すればいい」

ミッキー「まさか、警察に守ってもらうとかね」

ユージ 「それ面白いかも」


ヒデ  「あはは」

けんた 「とにかく、アクとまた作戦会議だね」



翌日。

けんたがアクに電話をするとアクが出た。

けんた 「もしもーし」

アク  「え? けんた?」

けんた 「うん、アク今どこにいるの?」

アク  「死んだのかと思ってた。皆無事か?」

けんた 「あーうん・・・・・・。とにかく電話じゃなくて直接話したいから今から会える?」

アク  「今、渋谷の公園にいるけど。そうか、よかった。みんな生きてたんだ」

アクの声は元気を取り戻していた。

けんた 「渋谷の公園? 何してんの?」

アク  「いやー、いつまでも終わったこと悔やんでても仕方ないから、新しい仲間を集めて犯罪しようと仲間を集めようとしてたんだ」

けんた 「あはは・・・・・・。≪俺完全に死んだことになってたんだ≫」

アク  「渋谷にいるやつみんなバカが多くてさぁ、昨日の夜とか、『俺に何見てんだ』って4.5人に絡まれたんだけど逆にボコしちゃったよ。それからなんか元気になった。あはは」

けんた 「おいおい」

アク  「んで、そいつらが兄貴って言ってパンとか買って来てくれるようになったんだけどそいつ等と犯罪しようかなって・・・・・・」

けんた 「えええ・・・・・・。展開がはやいって」

アク  「でも、みんなビビっちゃって。今のままで十分とか言ってるわけ」

けんた 「それで、それで?」

アク  「え? そんだけ。あーあとは、ホストの勧誘が4回ぐらいあったかな」

けんた 「・・・・・・なんにせよ、元気そうで良かったよ。それで、今から会える?」

アク  「おう、どこに行けばいい?」

けんた 「ピカイチとかどう?」

アク  「え? ピカイチ、か・・・・・・」

アクはさすがにピカイチには抵抗があった。

けんた 「嫌ならいいけど」

アク  「別にいいよ。じゃあ今から行くわ」

けんた 「あいよー」


そして、午後7時ごろ、ピカイチにアクと昨日のメンバーが全員集合した。


アクは周りの様子を窺(うかが)いながら店内へ入った。

ミッキー「あー!」

ミッキーが馬鹿でかい声でアクが来たことに気付き、声を発するとみんながアクの方を向いた。

カネイチだけはそっぽを向いている。

アク  「本当にみんな生きていたみたいだな」

ユージ 「命の危険は感じたけどね」


アクはそっとみんなが座っている方へ行き開いている席についた。

アク  「これだけか?」

アクは、とーるやミサキ、まどかがいないことに気付いた。

けんた 「とりあえずはね」

アク  「で、何? 電話じゃ言えないことって?」

けんた 「あぁ」


一瞬で場が静まった。 カネイチはアクと一番遠い席でタバコを吸っている。


けんた 「実はさ、俺たち昨日までソイルに拉致られてたんだよ」

アク  「あぁ」

アクは思っていた通りだったので驚かなかった。

けんた 「それで・・・・・・」


けんたはみんなのいる前で事情をアクに説明した。


30分後――。


アク  「・・・・・・本当か、俺の両親死んだのか・・・・・・」

けんた 「知らなかったの?」

アク  「いや、知ってたけど信じてなかったって感じかな」

けんた 「・・・・・・」

アク  「で、みんなの両親を人質に日本で暴れろってか」

けんた 「そういうことだね」

アク  「はー。まいったな。それじゃあ人の言いなりじゃねーか」

けんた 「どうする?」

アク  「俺は人を助けるためとかじゃなくて、個人的にやりたいんだよな。なんか人に言われてやるのと自分からやるは違って気分が乗らないな」


アクはすごく複雑な気持ちだった。

アクはすでに両親が死んでいて犯罪をしたとこでそれは戻らない。

けんた達は両親を人質として仕方なくやらざるを得ない状態にある。

けんたの話を聞く限りでは、アク達が暴れたあとでSOILが動き、アク達の行動が”フリ”のような状態になることも納得がいかなかった。




納得がいかないアクではあったがみんなの表情を見て口が動いた――。





アク  「・・・・・・絶対に捕まるわけにはいかないな」

ダイスケ「そりゃそうだ。親が安全になったって俺たちが犯罪して捕まったんじゃ嬉しくもなんともないだろうし」

アク  「そう。それにソイル(SOIL)はまだ親を拉致したわけでもないんだろ? 今は普通に過ごしてるんだから何事もなかったようにしないとな」

ユージ 「完全犯罪、か・・・・・・」



・・・・・・。

カネイチ「また、やるのか・・・・・・」

アクが来てから一言も言葉を発していなかったカネイチが話し始めた。

カネイチ「一生で一回だと思ってたのになー」

ダイスケ「お?」

カネイチの生い立ちは貧しいものであり、金を得るための一番の近道は頭を良くすることだと考えていた。

しかし、大学生になって就職のことを本気で考えると1000万、2000万・・・・・・1億という金を手に入れるのには数年あるいは数十年かかると分かった。

そして、カネイチは今まで勉強してきたものを犯罪を通して使うことで大金を手に入れることを思いつきダイスケに相談する。

綿密な計画を立てインターネットを使い仲間を集め一世一代の賭けに出た。

そして見事に成功させ大金を手に入れることができた。


正直カネイチは大犯罪は二度としないと初めから決めていた。

捕まれば人生が終わる。今までやってきたことが全て無となるからだ。


そう思っていても人間一度おいしい思いをするともう一度やりたくなる。

自分からやりたいとは思っていなかったもののアクがやりたいと言ってきたときは自分の運命というものをかすかに感じたのは事実だった。

やると気持ちを固めていたにもかかわらず、アクが一人マフィアになると言ったときはある意味良かったとさえ思った。


そして今回、両親が人質が取られてしまった。

金が一番だと思っているカネイチもさすがに両親を死なせるわけにはいかなかったのだ。



――。

これでカネイチも覚悟を決めた。



しばらく話し合うとアクが少し割り切った声で言った。

アク 「ぐだぐだ言ってても仕方ねー!シンプルに、やるしかないだろ!」


アクの両親は死んでいると聞かされている。

『人のために何かをする』という純粋な気持ちはアクにとってほとんどないに等しい。

あるのは、『自分がこうしたら、きっと相手が後からそれ以上のことを自分にしてくれる』という計算のみだ。


もともと大きな犯罪がしたいと考えていたアクにとってはある意味良いタイミングだったのかもしれない。

『自分の両親の命を守る』という1つの目標ができた今、もうここにいるメンバーに迷いはなかった。


ユージ 「そうだよな! シンプルに考えて成功させればいいんだ」

ゴウ  「でも、一回成功させたらまた何か脅してくるかもしれないぞ?」

アク  「それは大丈夫だ。次何か言ってきたら今度は俺たちがあいつら(SOIL)を潰せばいい」

ゴウ  「潰せばいいって・・・・・・無理でしょ」

アク  「大丈夫、大丈夫。人間頭を使えば月にだっていけるんだ。何でも考えれば勝算は見つかるさ」

ゴウ  「月か・・・・・・」

アク  「まぁこれは知人からの受け売りだけどね。とにかく目の前のことを片付けて行こう」




マフィアという存在が本当にあるのだと認識し、マフィアに目をつけられたら人生終わりだと思っていた。

そんなみんなはアクの発言を聞いて勇気づけられたのは言うまでもない。


アク  「な? シンプルにやればいいんだ。俺たちは適当に暴れて逃げればいい。万が一捕まったとしたらマフィアに脅されたとか言えば刑も軽くなるだろ? ま、捕まる気はさらさらないけどな」

ミッキー「じゃあ、その前にまた世界旅行でもいく?」

アク ユージ 「行かねーよ」

一同 「あははははは」

ミッキーが場の空気を一瞬で明るくした、これはもう天性の才能としかいいようがない。



その日はピカイチにあったシャンパンなどを豪快に開けて一夜を過ごした。

それから二日後、SOILからのスパイがけんたの元に訪れた。

彼の名前はアンズ。女のような名前だが男だ。

年齢は29歳と言っているがもう少し若く見える。

もちろん日本語は話せる。

アンズは命令口調で話すことはなくあくまでけんたを仲間だという感じで話をし てくれるためけんたも好感を持てるが心の底まで信じることは最後までできなかった。

1週間後――。

けんたとアンズの二人で話は進んでいた。

それは内緒にしていた訳ではなく、ある程度完成させたところでみんなに話さないと話がややこしくなり時間がかかるからだ。

それにそのことはみんな知っている。

それぞれ役割があるので自分の仕事以外のことを考えるのは嫌だったからだ。

そして、みんなが一同に集合し話すことはこの1週間1度もなかった。




それから数週間後。11月に入った。


渋谷の街では大きな集会のようなものが開かれ肌を茶色に焦がした男女達が肌を露出し自慢の踊りを披露していた。

最初はマナーよくやっていた彼らも時間が経つに連れて酒が入り暴れる連中が現れイベント会場では警察が入るという状況になっていた。

今の渋谷ではそんなイベントが月に1回程度行われており、警察も一層渋谷の若者には目を向けていた。


アク達はそれをよそに着々と犯罪の準備を進めていた。

まずは道。東京の抜け道という抜け道を隈無(くまな)く探し、覚える。

ゴウは車では通れないがバイクでは通れるという道も覚えるためそれ相応の努力をしていた。

けんたとアンズの話し合いは具体的なところまで進んでいた。その中に、

国会議事堂に爆弾を仕掛けるという作戦がある。

大きな作戦の1つだ。

国会議事堂を爆破するということは日本を全て敵に回すと同じような意味になるがアンズがそれは絶対条件というので仕方なくやることになった。


それに加え日本銀行に侵入。

これはアクが昔からやりたかった夢の1つだ。

日本のお札が作られるこの場所に侵入し金を奪いたい!というのである。

実際今考えると有り得ない。

ハードルが高すぎるように思える。

21世紀のこの時代に日本銀行に侵入することがどれほど有り得ないことか、小学生でも予想はつく。


ある日、あきの見舞いに行ったアクはたまたまいたユージとそのことについて話していた。


ユージ「それはいくらなんでも無理でしょ」

アク 「でもやりてーんだよな」

ユージ 「日本銀行ねぇ・・・・・・」

アク 「どうせあっち(日本銀行)だって誰も侵入なんてしてこねーって最初から高くぐってるはずだぜ」

ユージ「いやー。無理だって」

アク 「・・・・・・まーいいや、日本銀行は次の機会だな」

ユージ ≪ふー。よかった≫


アク 「しかし、あき起きねーなー」

アクはあきの頬を軽く突いた。

ユージ「突いて起きたらギャグだって」

アク 「それもそうだよな」

あき 「・・・・・・」


ユージ「俺はここにくるといつも安らげるんだよね。なんか天国みたいで」

アク 「天国って死人がいるみたいだな。あはは」

ユージ「あー・・・・・・そういう意味じゃないんだけど」

アク 「冗談だって」

ユージ「いつもここにはあきが居てさ、会いたい人にいつでも会えるっていうか、・・・・・・そんな感じ」

アク 「そーいえばユージはあきのことが好きだったんだっけ」

ユージ「・・・・・・遠い昔の話さ」


窓から心地よい風がアク達のいる部屋に入ってくる。


あきは依然として目覚める様子はなく静かに眠っている。


アク 「じゃあ俺そろそろ行くわ。ここにいると目標を見失いそうだ」

ユージ「そっか」

アク 「じゃ、また電話する」

ユージ「はーい」



それからアクはけんたの家に行った。


部屋の中でけんたは、パソコンで仕事をしアクはテレビをつけてニュースを見ている。

アクは最近自分から進んでニュースを見るようにしていた。

最近と言っても2週間ほど前からだ。

毎日犯罪に関わるニュースがある。

少年犯罪、引ったくり、コンビニ強盗、クレジットカードの偽造、悪徳リフォーム問題、人殺し・・・・・・。

アクはそんなニュースを見ては規模が小さいと思っていた。

どうせリスクを犯すのならもっとでかいことをやるべきだと考えていた。

2,3万の金で人を刺すなんていうニュースが流れるとアクは笑う。

今が幸せであればそれでいいと思う考えでは犯罪は成功しない。


そしてアクはテレビから流れる少量の情報でその背景を探る習慣ができていた。


『パチンコで勝った金を数えながら帰宅している主婦を、後ろからバイクで引ったくり。』

この一文を聞いてアクはその背景を瞬時に思い浮かべる。


バイクで引ったくりをしていた奴は、たまたま通りかかった主婦を狙ったわけではない。

その主婦がパチンコ屋から出てくるのを見ているはずで、人気の無いところまで歩かせた。

そしてスキを見て動く。




『30代女性が150万円の入ったバックを路上で引ったくられた。』

この一文からは、

銀行から金を引き下ろしたところを犯人は見ている。

そして人気のないところまで後ろからついていき行動する。


150万という大金を普通に持っているはずもなく、アクはそう推測する。



それがこれからする犯罪にとって何かプラスになるか、といわれれば特にないが一種の趣味のようになっていた。

そしてアクは思う。狙われるのはいつも女、老人。

なにか卑怯でアクにとっては弱いものから何か奪うことはとてもダサいことだと思っていた。

それで成功しても何も嬉しくないと。











そして、半年が経過した。

アク23歳。


あきはまだ目覚めない。

姫野あゆみは上手くやっているようで、ドラマ出演などもするようになっていた。

ユージやミッキー、ヒデは姫野あゆみの付き人のような仕事を最近までしていたが本格的に犯罪内容が決まりつつあったので思い切って辞めることにした。

けんたもプログラミングの仕事をしていたが、最近完成させたプログラムが売れるとそれからは仕事をやめて遊んでいた。

カネイチとダイスケはピカイチの経営を依然続けており順調。

ちなみに、よしきのラーメン屋は全国展開して今度は北京当たりに店を出すとか出さないとかで悩んでいた。






そして、5月某日。

半年ぶりにピカイチに全員集合した。

SOILからの仲間として来たアンズもけんたと一緒に訪れアク達がアンズと会うのはここで初めてということになった。



アンズと軽く挨拶を交わし、本題に入ることに。


アク 「じゃあ、この約半年間でそれぞれがやったことや調べたことを一人ずつ発表してもらおうか」


酒が入らない場所でのマジ話が始まった。


ミッキー ≪わくわく≫








5部は以上です。



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