完全犯罪 第5部 1ページ目 完全犯罪4部6ページへ戻る 下へ けんた「もしもーし、アクかー?」 アク 「Hello」 けんた「アク?」 アク 「I can speak English a little (俺も少し英語話せるようになったんだぜ)」 けんた「oh really ? that's good for you! (マジ? よかったじゃん)」 アク 「アハハ。 i think ... i can do it if i try hard.(頑張ればできるんだな、俺も)」 けんた「well... Shall we speak Japanese? (そろそろ日本語で話さない?)」 アク 「I forgot how to speak Japanese・・・・・・(日本語忘れた・・・・・・)」 けんた「いやいや・・・・・・」 アク 「冗談、冗談♪」 アクは得意気に笑った。 けんた「いやー、あまりにも連絡無かったから死んだのかと思ったよ」 アク 「アハハ、100回ぐらい死にそうになったけどね」 けんた「一体どんなことしてたんだ?」 アク 「悪の限りを。・・・・・・俺なんかマフィアの間で”悪魔の子”って呼ばれてるらしいし」 けんた「なんだそれ・・・・・・本当に何してたんだよ」 アク 「まあ、日本にいたら経験できないような修羅場だねー」 けんた「で、今どこいるの?」 アク 「今、中国の港。これから日本に密入国するんだ。おかしな話だけどそうなった」 けんた「なんだそれ。船で?」 アク 「おう。貨物船でひょいっとね」 けんた「ソイルは元気?」 アク 「うん。やっと最近俺も人を使う側になれてソイルとの距離も縮まったよ」 けんた「そっかあ。ソイルとも連絡取ってなかったからなあ」 アク 「そういえば、あきはどうなんだ?」 けんた「あきはまだ目覚めないよ」 アク 「なんだー、結局俺の目覚めのキスがないと起きられねーのかねぇ?」 けんた「それで起きたら爆笑だけど、そうも行かないでしょ。最近腕も細くなってきてるし4年ぶりに見ると引くかもよ?」 アク 「ああ、そうだよなあ。ちょっと見るの怖いなあ。でもグロいの死ぬほど見てきたからまあ大丈夫だ」 けんた「まだ時間いいの?」 アク 「うん。まだ俺の部下っていうか、仲間が到着してないから。それに船の準備もまだだし」 けんた「そっかぁ。じゃあユージ達にも連絡しといたほうがいいかな?」 アク 「いやー、突然現れて脅かせるっていうのも面白そうだから言わなくていいよ」 けんた「そっか、あいつ等アクがそっち行ってから、姫の付き人になって一生懸命働いてるみたいだよ」 アク 「へー、あゆみも相変わらず人気か?」 けんた「そうだねー。あいつさ、あきが戻ってきたとき人気が落ちてないようにって頑張ってるよ」 アク 「あいつらしいなあ。 で、けんたは? 東大卒業したの?」 けんた「ああ、したよ」 アク 「仕事は?」 けんた「えーっと、アクに分かりやすくいうと自分でパソコンのプログラム作って企業に売ってるよ」 アク 「え?」 けんた「えーっと、簡単にいえば・・・・・・引きこもりかな」 アク 「おいおいー。引きこもりって東大卒が何してんだよー」 けんた「・・・・・・あはは。 これでもなかなか評判良いんだから」 アク 「まぁ、みんな無事ならそれでいいんだけど」 けんた「うんまあ、たいしたことは無いね」 アク 「そっか、そっか・・・・・・」 けんた「何か面白いことないの? 有名人殺したーとか?」 アク 「んー。エーエスって覚えてる?」 けんた「ああ、マフィアでしょ?」 アク 「うん。そこのボスを仲間が暗殺したよ」 けんた「おー。やっぱ殺しとかするんだね」 アク 「だねぇ。上がやれって言われたらどうにかしてやらないと評価上がらないっていうか、むしろ下がるし」 けんた「大変な世界だ・・・・・・」 アク 「まぁ全部下にやらしてたから俺は無傷だけどね」 けんた「あはは、自分の手汚さずかぁ。ファンバードは?」 アク 「ああ、あいつどこ行ったかなあ、最近見てないけど、なんか前アメリカ行くって言ってたなぁ」 けんた「へー」 アク 「まあ、電話で話せるのはこのぐらいかな。次の仕事も決まっててさ、それは日本に着いたら話すよ」 けんた「分かった」 アク 「じゃあそろそろ仲間が集まってきたから電話切るわ」 けんた「はーい。じゃねー」 アク 「じゃねー」 アクは電話を切った。 けんた ≪はー、マフィアと話してると思ったらアクなのにちょっと緊張しちゃった≫ そして、けんたはアクが無事であったことにほっとした。 数時間後、真夜中。 アクは日本へ着いた。 アク 「久しぶりだなー、この感じ」 アクは石川県にある港に降りた。 船内で仲間とは一たん別れるということで日本に降りてからはアクの周りには仲間がいない。 アク 「石川県かー、東京までどうやって行こうかな」 アクはとりあえず港から離れ駅がありそうな方角へ歩きだした。 アク 「みんな元気かなあ」 数日後。東京。 「カタカタカタカタカタ・・・・・・」 けんたが仕事であるプログラミングをしていると電話が鳴った。 けんた 「お! アクからか」 けんたは電話に出た。 アク 「もしもーし、脅かそうと思って4年前に住んでたマンションに行ったんだけど、変なカップルが出てきて焦ったぜ」 けんた 「あーごめんごめん(笑) 引っ越したんだった」 アク 「もう少し俺がヤンチャだったら不法侵入して捕まってたところだよ」 けんた 「あぁ。それも面白そうだね」 アク 「あはは、そんなところで俺が捕まったら今までの苦労が全て終わっちまうぜ。で、今どこだよ?」 けんた 「今ねー。知ってるかなぁ? 六本木ヒルズってところなんだけど」 アク 「んー? 知らねーなぁ」 けんた 「結構有名なんだけどなあ。とにかく港区だよ。今どこにいるの?」 アク 「今はー、新宿だね」 けんた 「まぁ適当にタクシーでも使って来なよ」 アク 「分かった。ユージ達とは一緒に住んでないの?」 けんた 「うん。あいつ等はずっと家持ってないね。仕事とかで使う住所は俺の家の住所使ってるけど、実際来ないし。どこでどうやって寝てるのか分からないや」 アク 「へー。まぁ、物もあんま持ってないだろうしあいつ等らしいや」 けんた 「そうだね。あいつ等ももう22歳なのに何してんだろ」 アク 「あーそっか、みんな成人式やりに愛知戻ったわけ?」 けんた 「いやー。アクはどうしたの? とか聞かれてもめんどくさいからやめといた」 アク 「そっか、そーいや久しぶりによしきんとこのラーメンも食いたいなあ」 けんた 「あぁ。そういえば、神様の楽園だっけ? あれ全国展開してるよ。東京にも何件かある」 アク 「うっそー? 調子乗り過ぎでしょ」 けんた 「いやー。この前の雑誌ではキャバクラより可愛い子が揃ってるって書いてあったし」 アク 「あー、まかさ姫野あきが働いてたとか言って売名行為とかしてそうだな」 けんた 「書いてあったかも」 アク 「やれやれ・・・・・・」 けんた 「またみんなで食べに行こうよ」 アク 「あーうん。じゃあタクシー拾えたから電話切るわ。また」 けんた 「あいよ」 けんたは電話を切った。 けんた 「さーて、にぎやかになりそうだ」 1時間後。 アクはけんたに電話をし、けんたをファミレスまで呼ぶと二人で軽く飯を食ったあとけんたの住んでいるマンションへ向かった。 けんた 「ここだよ」 アク 「え? ビルじゃん?」 けんた 「うん。有名人もたくさん住んでるよ」 アク 「へー」 エレベーターを使い24階へ。 けんた 「ここが俺の部屋」 アク 「24階かあ。高いなあ。いちいち降りるのめんどくねーか?」 けんた 「言ったでしょ。引きこもりって(笑)」 アク 「ああ」 一人で住むには勿体無いというのが本音。 窓から見える景色は言うまでもなく美しく気持ちが良くなる。 アク 「ここに一人かあ。彼女は?」 けんた 「彼女かー引きこもりにいると思う?」 アク 「ああ」 ――。 けんた 「じゃあ、疲れてるだろうから、マッサージ師でも呼んであげよっか?」 アク 「え? マジ?」 けんた 「マジだって俺もパソコンばっかいじってるから肩凝りが激しくてね」 アク 「なるほどねえ。じゃあ呼んでもらうかな」 けんた 「おっけー」 けんたは電話した――。 けんた 「40分後ぐらいに来るって」 アク 「そっかぁ」 40分間、アクとけんたはお互い質問し合いお互いの情報を交換した。 40分が過ぎマッサージ師が到着。 アクは気持ちがよかったのがそのまま寝てしまい、その日は終わってしまった。 深夜11時。 けんた 「おーし、プログラム完成! 今度は2000万ぐらいで売れたらいいなあ」 アク 「Zzz・・・・・・」 けんた 「アクも一回りぐらい大きくなって威圧感が増したように思えるけど中身はそこまで変わってないのかなあ」 そして、けんたも寝ることにした。 翌日。 アク達はあきの元へ。 けんた 「本当に驚かないでよ。4年前とは全然違うから」 アク 「ああ、覚悟はしてる」 VIP室にいたのは三日ほどで植物人間となったあきは個室ではあるが安い病室へ。 ファンからの手紙は耐えることなく毎日20通近く送られてきていた。 アクが渡した指輪はネックレスのようにして首からぶら下げている。 「ガチッ」っとドアを開けるとあきがカーテン越しに寝ていてそのベットの横にはあきの母親が本を読んでいた。 けんた 「久しぶりです」 あき母 「あらぁ。けんた君ね」 けんた 「はい、この人覚えてます?」 あき母はアクを見た。 あき母 「んー。もしかしてアク君?」 アク 「はい」 あき母 「久しぶりねー」 あきの母親はあきを見た。 あき母 「あきー、アク君が来てくれたよー。ほらぁ起きなさい」 あきの母親は精神的ショックからか平常心ではなくあきが生きているかのような扱いをするときがたまにあった。 アクはあきを見た。 アク 「・・・・・・」 一切動かない手足の筋肉は無いに等しく栄養は管で与えられるためあごの力も弱くなりもう”あき”の面影は無いに等しかった。 アク 「やべ、泣けてきた・・・・・・」 アクは涙を出さないもののそう口にすると いきなりあきにキスをした。 あき母 「あらぁ」 けんた 「え!」 アクはあきから口を離すと「4年間もほっといて悪かったな」と言った。 しかし、あきは動かず。 けんたは正直、アクがキスしたことに驚いた。 もう4年前のあきとは全く違う人間と言っても良いほど形が変わっており正直何度見ても引いてしまうほどの人間。 アク 「さすがに、童話のようにはいかねーか」 あき母 「・・・・・・ありがとう」 あきの母親はそういうとその場からどこかへ行ってしまった。 けんた 「・・・・・・懐かしいよな。中学生のとき3人でよく一緒に帰ってたときのこと思い出すと」 アクは窓を眺めながら、「そだな」とだけ言った。 しばしの沈黙。 アク 「あと6年のうちに目ー覚まさないとあきが約束を破ることになるか」 けんた 「え?」 アク 「4年前にさ。10年後結婚してやるって言ってあるんだ」 けんた 「ああ、そういうことか。あきのことだ。起きるでしょ」 アク 「あはは、それもそれで困るな」 けんた 「なんだそれ(笑)」 アク達はそのままあきの母親に挨拶をすると病院から帰っていった。 アク 「あきもあれじゃあ、今目覚めたところで芸能界に戻るには不可能だな」 けんた 「さすがにそうだね」 アク 「さーて次はユージ達を驚かしに会いに行くかー。あいつらどこにいるんだろ?」 けんた 「休みなしで働いてると思うから、電話するのが一番はやいよ」 アク 「じゃあけんたに連絡してもらって、驚かそっか」 けんた 「分かった。電話するね」 けんたはユージに電話した。 けんた 「もしもーし? ユージー?」 ユージ 「どうしたー?」 けんた 「久しぶりに会わない?」 ユージ 「あー、いいよー。明日は俺達があきの世話する番だから看護婦さんに任せれば暇になるし」 けんた 「そうなんだー、さっき行ったけどあきのおばさんいたよ」 ユージ 「あーそうだね。今日はおばさんの日だ」 けんた 「変なの・・・・・・」 ユージ 「さすがに4年もやってるとちゃんと決めておかないとさ、いろいろめんどうなんだよ」 けんた 「そっかあ、まあいいや。じゃあ明日の何時がいいかな?」 ユージ 「そうだね、寝たいから午後3時ぐらいがいいかな」 けんた 「いいよ。俺んち来る?」 ユージ 「うん。けんたの家が一番落ち着くしあのマッサージもしてもらいてー」 けんた 「あはは。ミッキーとヒデは?」 ユージ 「あー、いるよ。変わる?」 けんた 「いやーいいや。明日みんなでおいでよ」 ユージ 「わかった。じゃあそういうことで」 けんたは電話を切った。 ユージ ≪まさか、普通に4人で遊ぶために呼ぶわけないよなあ。アクでも帰ってきたのか、なにか自慢するものでも手に入れたか・・・・・・≫ 相変わらずユージの勘は鋭かった。 翌日。 ユージ達がけんたの部屋へ。 けんた 「いらっしゃい、上がって」 ユージ 「久しぶりー」 ミッキー「フォー!」 ヒデ 「お世話になりますぅ〜」 ユージ達は靴を脱いで部屋に上がると隠れていたアクがさっと現れた。 アク 「よう、みんな相変わらずだな」 ミッキー「うほ、いい男」 ユージ 「どう見たってアクだろ」 けんた ヒデ 「あはは」 アク達はリビングへ行き雑談を2時間ほどするとマッサージ師が訪れた。 みんなマッサージされながら好きなことを言う。 ユージ 「あー、俺も金持ちになりてー」 ヒデ 「俺もー、今の給料月12万って高校生でも稼げるしね」 けんた 「悪いけどこのマッサージ5人呼んだから一人4万で20万だよ」 ヒデ 「ウ…・・・」 ヒデはショックが大きかったのか寝てしまった。 ミッキー「あ〜ん。そこイイ!もっともっと!」 ユージ 「おいおい、お前だけそういうマッサージかよ」 マッサージ師も思わず笑ってしまう。 アク 「あーよくよく、考えたら俺二日連続だった」 けんた 「あはは。さすがVIP」 アク 「でもこれマジで最高」 マッサージ師「ありがとーございま〜す」 マッサージ師も帰りみんなご機嫌の中、アクが話し出した。 アク 「突然なんだけどさ、今度の俺の仕事手伝ってくれない?」 ユージ 「お? 久しぶりにこのメンツで動くのか、悪くないなあ」 ミッキー「待ってましたよー、アク様ぁ〜」 ヒデ 「姫に悪いけどもう十分だしね」 けんた 「何やるの? 危険なことは避けたいけど」 アク 「なんか、SOILというか俺に入った依頼なんだけどさ、ノートを取り返して欲しいとかいう話だ」 ユージ 「ノート? どんなノート?」 アク 「詳しくは会ってみないと分からないんだけど。金はいくらでも払うとか言ってるし。とにかくそいつが大阪にいるらしくて、会いに行かないと始まらないんだ」 ユージ 「大阪かー」 ミッキー「大阪〜食い倒れてーな〜」 ヒデ 「なんでやねんっ」 アク 「おいおい、漫才始まったぞ」 けんた 「あはは」 ユージ 「でも、ノートを取り返すってさぁ。子供のケンカじゃないんだし、どういうことだろう?それにSOILを知っている日本人っていうのも結構ヤバイことに足突っ込んでると思うし・・・・・・」 アク 「そいつさ、独自でそのノートがエーエスの幹部が持ってるってところまで突き止めたらしいんだ。だからマフィアにはマフィアと思ったんじゃないか?」 ユージ 「エーエスかぁ、ってかマフィアが持っているもの欲しがるって相当アホだな。マフィアにケンカ売ってるようなもんだし」 アク 「まぁまぁ、とにかく大阪に行って会ってみよう。俺のSOIL仲間も大阪に集めてあるし」 けんた 「お? SOIL仲間ってどんな人がいる?」 アク 「基本的に日本での活動だから日本語が分かるやつを選んで連れて来たんだけど、中国人が多くてアジア系の奴等だなあ」 けんた 「そっかぁ、だから中国から入ってきたんだね」 アク 「あーまぁね」 ユージ 「そっかー。大体のことは分かったけどいつ行くの? 俺たちの仕事も休みもらわないとね」 ヒデ 「確かになぁ、一気に俺たちが抜けると雑用やる奴がいなくなるし」 アク 「んーっと、いつがいいかな、今週末には行きたいけど」 ユージ 「分かった」 アク 「よし、じゃあそういうことで!」 9月17日。 アク達は大阪へ。 ユージ達は4年間ほとんど休まずに働いていたため、休暇が欲しいというとすんなりと受け入れてくれた。 ミッキー「大阪やねんここ〜!」 ユージ 「おーい誰に言ってんだよ。梅田でそんな騒ぐなって田舎者バレバレだぞー」 ミッキー「いーじゃん。いーじゃん。初めてだったかなー大阪?」 ヒデ 「いやー。仕事で5回ぐらい来てるぞ」 ミッキー「え・・・・・・。そんな来てたっけ」 ――。 アク 「今から俺の仲間と会うけど笑うなよ、デブとチビとノッポとメガネとサルだ」 けんた 「サル? 人間じゃねーの?」 アク 「あだ名、あだ名(笑) 俺はそのまんま読んでるけどみんなある意味面白い奴だからみんなも気に入ると思う」 ミッキー「すっげー楽しみやなぁ」 ユージ 「無理して関西弁使わんでも・・・・・・」 ヒデ 「ほんまやなぁ」 ・・・・・・。 アクを先頭に梅田にあるお好み焼き屋へ入った。 アク 「確かこの店だった気がするんだけどな」 けんた ≪マフィアがこんな店にいるとは誰も思わないだろうな。それ考えると笑えてくる≫ けんた 「あー良い匂い」 ヒデ 「匂いだけ飯食えそうだ」 ユージ 「それは言いすぎだな」 店員がアク達に話しかけるが無視して店の奥へ。 アク 「あーいたいた」 けんた 「・・・・・・マジで、デブとチビとノッポとメガネとサルだ」 ミッキー「おー、漫画みたいやなあ」 ヒデ 「ってか、何? ノッポとメガネは女なんだ?」 アク 「そうだったっけ」 デブ 「アクさんどうもー。いやー、美味いっすねー。このコーラ」 ユージ ≪おいおい、コーラかよ。どこでも一緒だろうが≫ アク 「お前は食いもんのことしか言えないのか」 デブ 「いやーだてに、太ってませんから」 アク 「な? みんな、日本語上手いだろ?」 けんた 「確かに、これなら日本人でも通用しそう」 メガネ 「あら、アクさん来てたんだ。目が悪くて見えなかったやねん」 アク 「おいおい、ちょっとお前日本語変だぞ・・・・・・」 メガネ 「ありがとう」 アク 「誉めてないよ・・・・・・」 けんたはアクの耳元で けんた 「こいつら、本当にマフィアか?」 アク 「ああ、いざとなったときだけ力を発揮するんだ。こいつ等のチームワークに勝てる奴はいない」 けんた 「普段、あほそうに見えて実はやり手って訳か。世の中には変わった奴等もいるもんだ」 アク 「あはは、やっぱ俺もいつも厳しい顔してるやつらよりこういう奴等とチーム組んでた方が面白いしねぇ」 けんた 「なるほど」 けんたはちらっとミッキーを見た。 ミッキー「ん?」 けんた 「何も」 ミッキー「また悪巧みですやん?」 けんた 「違うって」 ミッキー「ほ」 ヒデ 「ほ?」 ミッキー「ほっとしただけだよ」 ヒデ 「あっそ・・・・・・」 アク 「まぁ、合コンのような感じで飯食おうぜ。それから依頼人のところに行けば良い」 ヒデ 「いやっほー!」 ミッキー「いえい、いえい!」 1時間後、ミッキーとヒデは食い倒れていたが気合で起き上がり依頼人の家へ。 お好み焼き屋でそれぞれ打ち解け合い一緒に仕事するという仲間だということを認識した。 アク達は電車を乗り継ぎバスに揺られること1時間、依頼主の住む家までたどり着いた。 メガネ 「ここです」 アク 「本当かよ? いくらでも金だすって言った割りには貧相な家だな」 電車で乗り継ぎバスにも乗ってようやくたどり着いた家はボロ屋敷。 アク 「まぁいいか」 アクはインターフォンを鳴らした。 アク 「おーい。SOILから来たアクっていう者なんだけど」 「あ! はい。今開けます」 そういうと玄関から「ガチャ・・・・・・」という重い音がした。 ユージ ≪ごっついカギだな≫ おじさん 「ようこそ、こんな遠くまでみなさん上がってください」 アク 「あれ あんたが依頼主?」 おじさん 「いえ、私はただの雇われです」 アク 「人を雇う金があったらもっと良い家住めばいいのに」 おじさん 「あはは。雇い主はこの奥にいます」 アク達はぞろぞろと奥へ。 けんた 「外見はボロいけど中にある物は結構有名なブランド品だ」 雇い主のおじさんが両手で戸を開けると大きな黒いイスに若そうな男が座っていた。 キョウ 「初めまして、悪魔の子さん。依頼主のキョウという者です」 アク 「初めまして。ってかなんで俺が悪魔の子と呼ばれてるの知ってんだ?」 キョウ 「有名でしょう。それを知って依頼したんですから、これがまず前金です」 キョウは何も持ってなかった右手からさらっと札束を出した。 ミッキー「うっそ! すっげ! こいつちょべりば!」 キョウ 「こいつってお前何言ってんだよ」 そういうとキョウは何も持っていなかった左手から拳銃を素早くだすとミッキーに銃口を向けた。 ミッキー「ごめんなさい」 キョウ 「少なくとも依頼主だぞ」 けんた ≪なんだこいつ、マフィアだと分かってて強気だ≫ ユージ ≪ただものじゃねーな。それにアクと似たような目つきだ≫ アク 「・・・・・・ってか前金100万か。なめられたもんだ」 アクがそういうとキョウは札束を持った。 キョウ 「面白いものを見せましょう」 キョウが両手でその札束を隠し何度か上下に振る札束が次々と床に落ちた。 ミッキー「うっそ! え? ありえる? いや ありえねーよ!」 ユージ 「ノリツッコミ・・・・・・」 アク 「おお、増えた」 キョウ 「へへ。これでも一応マジシャン希望なんで」 仲間の印にとキョウは自慢のマジックを見せてくれた。 アク達は目の前で行われるありえない光景にただ驚かせるだけだった。 おじさん=執事(スケさん)「やっぱり 根は良い子なんだよな」 スケさんはリハビリを終え元気になってキョウの元で働いていた。 それから数時間後。 アク 「そろそろ本題へ入りましょう」 キョウ 「あぁ、まずどこから話せばいいんだろうな」 ――。 キョウは、アク達に今までのことを洗いざらい話した。 アク 「なるほどな、命を賭けてそのノートを取り返す気持ちも分からなくも無い」 ユージ 「でもさ、仮にそのノートが戻ったからって内容はコピーされてるだろうし、取り返す意味あるのかな」 キョウ 「親父の形見だ。内容の問題ではない。それに・・・・・・」 アク 「それに?」 キョウは言うのを戸惑った。 アク 「全部話してもらわないと・・・・・・信頼関係というのが大事なんで」 キョウ 「ああ、実はあのノートには一般人が見ても半分ぐらいの内容しか理解できないんだ」 けんた 「お?」 キョウ 「暗号化というか、そのノート自体にもマジックがあってね。大事なマジックはあのノートを普通に見ただけでは分からないようになっている」 ミッキー「おー! かっけー! 俺みたい」 ユージ 「どこがだよ」 キョウ 「つーことで、お前ら頼むわ。金は取り返し次第払うから」 アク 「仕方ないなあ、丁度エーエスのボスも死んでゴタゴタしてると思うから今がチャンスだしな」 キョウ 「お前の仲間が殺ったんだろ? まぁそれを聞いてお前に依頼したんだけどな」 アク 「ああ」 アク達に取ってキョウは不思議な存在だった。戸籍に名前がないと聞いたときはみんな驚いた。 ノートを取り返すためにそこまでする意味があるのか? と。 「死んだはずの人が自分の目の前に現れたら相手がどんな顔するのか、それがみたいだけ」と言う、キョウのマジシャン魂には頭が下がった。 --- 【キョウがアクに依頼をするまでの簡単なまとめ】 キョウからノートを奪った犯人グループはキョウから得た金で海外へ飛びノートを高額で買うマジシャンを探すと共に裏の世界で名を広めていた。 キョウからノートを奪ってから1年半後、キョウからノートを奪った犯人グループが日本人ということでアジアで主に活動していたAASSがその犯人グループに目をつけ傘下に治めた。 キョウはというと、戸籍から名前が消えてからしばらくマジックの腕を磨き3年が経過してからラスベガスや海外で行われるマジックショーを”見る”ために金に物を言わせて世界中を旅していた。 ある日、ラスベガスでマジックショーを見ているとキョウがノートを持っていたときにキョウが知っていた父親のまだ非公開であったマジックが披露され、キョウはピンときた。 キョウはそのマジシャンを半ば脅すような形で事情を聞くと父親の弟子だと最初は言っていたが父親にそんな弟子はいないと分かっていたためさらに追求するとマジックのネタを売っているという人物を紹介してくれた。 キョウはそのネタを売っている人物をさらに脅すと、父親のノートがAASSにあるということを突き止める。 AASSはノート本体を売るというより1つずつネタを売ることに寄ってノートを売るよりも金が稼げるということでバラ売りしていた。 それを知ったキョウはAASSのアジトをどうにか突き止めノートを独自で奪おうと試みていたが、ある日突然AASSのボスが射殺されてしまう。 AASSの中で権力争いが行われノートを誰が所持しているのか分からなくなったキョウは路頭に迷い情報を集めているうちに射殺した人物がSOILのメンバーだということを知る。 ノートを誰が持っているのかも分からなくなりもう一人ではどうすることもできないと分かったキョウは裏の世界で最近名が通ってきたアクに依頼したのだった。 --- キョウ 「じゃあ俺が知っているAASSのことを全部話すからみんなよく覚えてくれ」 キョウはボスが死んでからのAASSの内部の状況を詳しくアク達に話した。 ――。 ユージ 「ふーん。俺思うんだけどさ、そのノートはエーエスに取ってそんな大事なものではないだろうから金払えば売ってくれるんじゃないの?」 キョウ 「いや、元は俺の持ち物だったのを金払って取り返すなんてありえない」 ユージ ≪あれ? 今までの話を聞くと結局金使いまくってるじゃん・・・・・・≫ それから1時間ほど雑談した――。 アクがSOILに行ってから平穏な暮らしが4年間続きユージ達は正直いうとマフィアと関わりたくないと思っていた。 最初は久しぶりにアクと一緒に居られるということが嬉しかったユージ達だったが、いざマフィアと関わる仕事だと分かると気が引けた。 アク 「あれ? なんかみんなテンション低くない?」 ヒデ 「いや・・・・・・マフィアなんて見たことないから」 アク 「ここに(俺)いるじゃん」 ヒデ 「いや、でも外人となるとまた話が違う」 アク 「あれあれ、びびっちゃてる? 確かにヤバイ奴等ではあるけど」 キョウ「まぁ、人は多いほうがいいけど素人が混ざってて足を引っ張られるのは勘弁だな」 アク 「俺も最初はファンバードのやる仕事を見ていただけだし、いきなり本番はきついか?」 ユージ「確かに4年間ぬるま湯に浸かっていたから正直気が引けるのはあるね」 アク 「そっか、まあ俺も正直この依頼をなめてた部分があるから誘ったけどやめとく?」 けんた「んー」 ヒデ 「んー」 ユージ「・・・・・・」 ミッキー「マンボ!」 ノッポ 「ホホっ」 アク 「まあ、こいつら(デブ達)が居ればどうにかできるだろうし、みんなは日本に居ていいよ」 けんた 「・・・・・・」 4年という時間がユージ達から犯罪をするということに対して違和感を感じるという結果が生まれてしまっていた。 安い給料ではあったが、姫野あゆみの雑用をすることで、さまざな有名人を会うことができ大きなイベントの終わりには打ち上げをし、 姫野あゆみの仕事でグラビア撮影をするためにいろいろ世界を回ったりして人生で一番楽しい時期を過ごしていたからだ。 今が十分幸せな人が犯罪なんてすることはなく、現状維持でも十分と考える。 アクには悪いが正直このまま日本に帰ってこなくても良いとも思ったときも口にはしなかったが時にはあった。 ――。 アクはユージ達の表情を見てこういった。 アク「分かった。お前達東京に帰れ、大丈夫。裏切ったなんて思わないから、また帰ってきたら今度こそアレをするからそんときはまた誘うよ」 けんた「うん・・・・・・」 キョウ「アレってなんだよ?」 アク 「言えないからアレなんですよ」 キョウ「そっかぁ、まぁ俺はノートさえ取り返せばいいしな」 それから数時間が経ち・・・・・・。 ユージ、けんた、ミッキー、ヒデはアク達に見送られながら東京へ帰ってしまった。 キョウが住んでいる家の庭でユージ達の背を見ながら話している。 アク 「しょうがないか」 デブ 「ふふふ」 アク 「なんだよ?」 デブ 「いや、腹減ったなぁと思って」 アク 「意味わかんねーって」 チビ 「まぁ、マフィアなんて一般人が会ってはいけない存在だし大事な仲間なら合わせないほうが良いね」 アク 「昔はなんでも一緒にやってたのになぁ」 アクは帰ることを進めたがそれでも着いてくるということを心のどこかで期待していた部分もあった。 アク 「まぁいいさ、ノートを取り返して金もらってSOILの中でもAASSに一泡吹かせたってことで評価上がるだろうし良いことだらけだ」 メガネ「さすがアクさん。ってもう十分評価高いじゃないですか?」 アク 「あは、ソイルが継ぎの頭に俺を推薦するぐらいまで行きたいな」 メガネ「アジア系の頭なんて聞いたことありませんよ」 アク 「冗談だ」 しかしアクは本気そうな目をしていた。 --- 現在のアクはSOILの中で上から20位ほどに位置づけられている。 それはすごいことで全世界にSOILに関係している奴等は数十万人。 いかにアクが4年間で頑張ったのかがこれで分かるだろう。 もともと、ソイルと面識がありファンバードと一緒に行動することが多くソイルに信頼されることでグングンと地位が上がっていった。 SOILの中の幹部達はそんなアクに好感は持っていないがソイルが言うことは絶対なのでどうすることもできないでいた。 --- 翌日。 キョウ 「じゃあ早速だけど取りに行くか」 アク 「ああ、とっとと終わらせよう」 アク達はアジア中心で動いているAASSの本拠地があるといわれているインドへ飛んだ。 キョウが戸籍がないためパスポートがないので闇ルート。 闇ルートというのは貨物船に乗って移動することでバイクや車に混じって運ばれる。 貨物船内。 キョウ 「切ないよなぁ、バイクと一緒っていうのも」 アク 「俺はもう慣れたけどね。闇ルートを仕切っている人がいくら稼いでいるのか知りたいぜ」 キョウ 「あはは、そりゃすごいだろうなあ。麻薬とか条約で禁止されている物も運んでるらしいから」 アク 「あー、前みた白い粉はそうだったんだ」 キョウ 「結局人間がやる検査なんてグルになっちまえはどうにでもできるっていうこの社会が嫌だなぁ」 アク 「あはは、そんなものは逆用してやればいいんだってヤバイものほど仲間にすると良いんだよ」 アクとキョウの怪しい話は中国へ抜けるまで続いた。 スケさん≪私は普通に飛行機で行きたかったなぁ≫ 中国へ着きアク達はSOILが所有している飛行機を手配し一気にインドへ。 飛行機内。 キョウ 「これ自家用ジェット?」 アク 「いや、借り物だよ」 キョウ 「いくらすんの?」 アク 「さぁ? メガネー? これっていくらすんの?」 メガネは知能派だ。 メガネ 「日本円で42億円です」 キョウ 「マジかよ」 アク 「さぁ?」 キョウは始めアクを金を払って雇った人、例えて言えば店長とバイトぐらいの感覚で接していたが貨物船などで話をしているうちに意気投合し仲良くなってきていた。 キョウ 「そうだ! 俺が最近作ったマジック見せてやるよ」 そういうとデブたちが集まった。 キョウは慣れた手付きでコインを右手に持ち「1,2,3」と唱えながら手を上下に振り手を開くとコインが消えていた。 アク 「消えた」 キョウ「上着のポケット見てみろよ」 アク 「え?」 アクは自分の上着のポケットに手を入れた。 アク 「あ、入っている、いつの間に・・・・・・」 キョウ「あはは、いい反応するじゃねーか、次はもっと凄いやつみせてやる」 キョウは持っていたカバンから帽子を取り出しアクに何も仕掛けが無いことを確認させると防止をかぶった。 アク 「で?」 キョウが「1、2、3」とゆっくり数え帽子を取ると頭の上に白いハトが現れた。 アク 「え? 生きてるの?」 キョウ「もちろん」 アク 「意味わかんねー」 キョウは一般的なマジックを次々と行いアク達を喜ばせているとインドに着いた。 アク 「ふはー。インドかぁカレーのイメージしかねーな」 デブ 「アクさん、本場のカレー食べたいです」 アク 「この仕事が無事に片付いたら好きなだけおごってやるから我慢しろ」 デブ 「やっほー!」 デブは食いものが絡むと本気になる。 そうしてアク達は安いホテルに向かい作戦を練ることにした。 ホテルの室内。 キョウが自前の地図を床に広げ説明を始めた。 キョウ 「この辺りに本拠地があるらしい」 アク 「まさかここって・・・・・・」 次のページへ トップページへ戻る |