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完全犯罪 第4部 6ページ目

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アク 「よし! 信号で止まったぞ!」


怪しい男の乗ったタクシーが赤信号で止まった。


ゴウは右へ左へ車と車の間を上手く抜けてタクシーに追いついた。

そうすると怪しい男は諦めたのかタクシーを降りて歩道へ出た。

アクも怪しい男から目を外さないようにバイクの後ろから降りると歩道へ出た。


怪しい男はアクに背を向けてじっとタバコを吸っている。

アク 「おい! なんで逃げたんだよ」

男  「ハハハ。決まってんだろ。 捕まりたくないからさ」

アク 「姫野あきの居場所知ってんだろ?」

男  「ああ。そりゃ知ってるさ、だがもう手遅れさ」

アク 「どういうことだよ」


相変わらず男はアクに背を向けタバコを吸っている。
黒い帽子に上着のジャケットの背には緑色の龍が描かれている。

アクと怪しい男の周りは人で溢れていてチラシを配る黒人がうろつく中、怪しい男が口を開いた。

男  「姫野あきはもう、死んでるから」

アク 「はぁ?」

男  「あまりにも可愛かったからつい殺っちまったんだ」

アク 「は? なんだと?」

男  「いや、まだ生きてるかもしれねーな。植物人間で」

アク 「お前さっきから何言ってんだよ。俺がそんなこと信じると思ってんのか」

男  「悪わぃなあ。お前が誰だか知らないが、アクってやつだったら幸せもんだ」

アク 「ハァ?」

男  「”アク助けて”ってずっと泣いてたぜ。あんな可愛い子の彼氏を一目見たかったな」


男は一瞬振り向きアクの顔を見ると、道路に飛び出し大型トラックに轢(ひ)かれて反対側の歩道へ吹っ飛んだ。

アク 「え」

ゴウ 「うあああーーー」

男の頭からだろうか、大量の血が辺りに跳んだ。

大型トラックもいきなり飛び出した怪しい男に対処できるはずもなく轢いてからブレーキを踏むという事態。

周りを歩いていた人達も悲鳴をあげその場は騒然となった。

アクはめんどうに巻き込まれたくなかったのでゴウと一緒にその場から逃げてしまった。

アク ≪意味わかんねーよ。 あきが死んだなんて……≫

---

一方ゼン達。

ゼン 「ゆき君早く来てください」

ゼンは怪しい男がタクシーに乗りアクがゴウのバイクの後ろに乗ってタクシーを追いかけ出したところを見てそういった。

ゆき 「あとで連絡するから先に行って」

ゼン 「はい」

ゼンはアク達を走って追いかけることに。


ゼン ≪人が邪魔で思うように走れない!≫

ゼンは人にぶつかりそうになりながらも必死でアクの乗ったバイクを追いかけた。

車が多いためそこまで飛ばせずにいるバイク。

ゼン ≪次の信号が勝負≫

アク達の乗ったバイクが左折するのが見えたゼンは近道をしようと交差点まで行かずに左折した。

今の状況でアクを追うことが正しいのか分からない。

ただ、アクを追うことが正しいか正しくないのかというよりは楽しかった。

ゼン ≪とにかく会ってもう一度話がしたい≫

ゼンは体力の疲れを気にすることなく全力で飛ばした。

そしてゼンが大通りに出ると。

右側の方で人だかりが出来ていた。

そう、怪しい男が大型トラックに轢かれて倒れている現場だ。

ゼンは走って人だかりへ向かった。

怪しい男 「……」

息が無い。

ゼン  ≪さっきの人はこの人で当っているのか? アクさんは?≫

ゼンは辺りを見回してアクがいないことに気がついた。

ゼン  「すいません、誰か救急車は呼びましたか? 警察にも連絡してください≫

通りすがり「もう連絡したよ」

ゼン  「なんでこんな悲惨な目に」

ゼンの中でアクに大きな蟠(わだかま)りができた。
---


アク達は一度けんたの家に戻った。

アク 「ただいま」

ゴウ 「邪魔するぜ」


けんたの家にはけんたとユージしかいなかった。

アク 「あれ? ミッキーとヒデは?」

ユージ「アクを追ってどっか行ったよ」

アク 「そっか……」

ユージ「なんかテンション低くない? 顔青いよ」

アク 「あぁ。ちょっとな」


アクは今見てきたことを全部けんたとユージに話した。

ユージ「マジかよ」

アク 「わかんねーけど、確かにそういってた」

けんた「死んでいるか、植物人間ってことはどんな状況だろう」

アク 「考えたくも無い……」

今まで見せたことのないアクのへこみ具合を見てユージは思った。

ユージ ≪アクも心の底ではあきのことが好きだったんだな≫

けんた「とにかくあきを探そう」

ユージ「そうだな。まだ死んだなんて決まったわけじゃないし、絶対生きてるよ」

アク 「でもその男は俺達の前で死んだんだぜ……。自分が死ぬほどの状況って人を殺すことなんて簡単だと思う」

ユージ「マイナス思考になったらダメだ。頭の中だけで最悪な方向へ持っていっても仕方ないよ」

アク 「……」


テレビから流れてくる声。

アナウンサー「只今、姫野あきさんと思われる人がマンションの5階から発見され病院に救急車で輸送されていきます」

アク ユージ けんた ゴウ 「!!!」

ユージ 「マジかよ」

アク  ≪落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け……≫

アクは何度も自分の心を平常心に戻そうとした。

けんた 「病院に行ってみよう」

ユージ 「行くしかないな」

アク  「……」

ゴウ  「おい、アク! お前がしっかりしねーでどうすんだ!」

ゴウはアクの肩を激しく叩いた。

アク  「痛ってーな!」

ゴウ  「よし、それでいい!」

アク  「でも、どこの病院だろう」


けんた 「……テレビで言うわけないしなぁ」

そんなときだった。アクの携帯が鳴った。

アク  「あ! あゆみからだ」

アクは電話に出た。

アク  「もしもし」

あゆみ 「ど、どこにいるのよぉ。大変なんだから!」

大泣きしているような声。

アク  「落ち着けって。もしかしてあきの居場所知ってんのか?」

あゆみ 「知ってるよ。今あきがぁ…・・・」

何を言っているのかわからない。泣いていて言葉になっていない。

アク  「おい! どこだよ。俺達も行くから」

あゆみ 「ごめん。港区の南港総合病院」

アク  「わかった。あきは無事なんだろうな?」

あゆみ 「わかんないよ。でも首に縛られたあとがぁ」

また姫野あゆみは泣き出した。

アク  「絶対生きてるから泣くな。お前が泣いたって仕方ないだろ」

あゆみ 「すぐに来て」

アク  「わかった」


アクは電話を切った。

アク  「首に縛られたあとがあるんだって」

けんた 「なるほど、その男が言ってた植物人間かもしれないって脳に酸素が送られてないってことか」

アク  「そんなことはどうでもいい。行くぞ」


アク達はタクシーで南港総合病院へ向かった。

タクシーに乗って数十分後病院へ着いた。

車内では誰も何も言わず、ただ無事であることを祈るだけだった。

タクシーを降りて病院内へ。

救急車を付けて来たのかマスコミ関係者と思われる人がカメラを持って病院の外で待機している。

アク達は玄関へ。

けんた 「入れるのかな」

ユージ 「姫がなんとかしてくれるって」

アク  「・・・・・・」


病院内には入ることができた。

ユージは看護師に聞いた。

ユージ「すいません。姫野あきさんの知人なんですがどこにいますか?」

看護師はアク達の服装や身なりを見て不信に思った。

看護師「・・・・・・今、手術中だと思うからあんまり騒がないでね。向こうの廊下を渡って突き当たったところを左よ」

ユージ「ありがとうございます」


アク達は早足で廊下を渡り左に曲がった。

あゆみ「アク!」

アク 「お」

姫野あゆみの後ろには事務所関係者と思われる人が5人いてそのうち二人は忙しそうに紙を見ている。

紙を見ていない残りの3人のうち一人の男がアク達の方へやってきた。

男「話が違うじゃないか」

あゆみ 「友達なの」

男「こんなチャラチャラしたホストみたいなやつと知人だとマスコミにバレればお前達の評価も世間で下がってしまうぞ」

アク 「何言ってんだよ。こっちは心配して来てんのに!」


「うるさい! ここをどこだと思ってんだ!」

また違う男がアク達をどなり病院内に響いた。

ユージ 「一番うるせーのあいつだな」

あゆみ 「ごめんね。みんな向こう行こう」


ゴウは姫野あゆみを生で見て目がハート状態だった。

ゴウ  ≪世の中捨てたもんじゃねー。あいつのためなら俺、死ねる≫


けんた 「おーい。ゴウさん行くよ」

ゴウ  「ごめん、ごめん」

男   「ったく仕方ねーな。田舎者は・・・・・・」


少し歩くと患者が誰もいない6人部屋と思われる部屋があったのでそこに入り話すことにした。

アク  「確かに俺達と知り合いってのは評価下がるかもな」

あゆみ 「評価か・・・・・・」

けんた 「ここなら外からは見られないから大丈夫そうだね」

あゆみ 「いろいろ気ー使ってもらって悪いね」

アク  「いいよ」


重い空気が部屋を包む。

アク  ≪どこのどいつだ。あの男一人でやっとは思えない≫

ユージ ≪仮にここであきが死ぬとなると、アクが何言い出すか分からないぞ≫

けんた ≪こんなとき何もできない自分が嫌いだ≫

ゴウ  ≪携帯番号聞けないかな・・・・・・≫

あゆみ ≪神様お願いっ。あきを助けて≫


口数も少なく90分が経過したときだった。

事務所の関係者と思われる人が一人部屋にやってきた。

男  「あきが出てきたぞ」

「!」

5人は部屋から出てあきの元へ。

アク ≪頼むから生きててくれ≫

普段、あれだけ犯罪のことしか頭にないアクも今はあきが無事でいることを一番に願っていた。

タンカーに乗せられて毛布がかけられているあきが廊下にいた。

その後ろには医者が事務所関係者になにやら話しをしている。

アク 「あき! おい! しっかりしろよ!」

看護師「どいてください。病室へ運びます」

アク 「くっそ」


アクは今までみたことのないあきの顔を見てぞっとした。

あゆみ「あきーあきー」

姫野あゆみは看護師達と一緒にあきを追って行ってしまった。

アク 「俺達も医者から話を聞こう」

アク達は医者のそばへ。

男  「おい。お前達はどっかいけ」

アク 「俺達にも知る権利はあるだろうが!」

医者 「静かにしたまえ。説明するから」

アクは息を呑んだ。

医者と事務所関係者との話が終わり事務所関係者はどこかへ行ってしまった。

アク 「俺達にも・・・・・・」

医者 「ああ、少しは聞こえていたかもしれないが、姫野あきさんは生きている」

アク 「良かった」

医者 「ただ・・・・・・」

アク 「?!」

医者 「心臓が動いているだけで意識はない。いつ意識が戻るか分からない。明日かもしれなければ10年後かも、そのまま死んでしまうこともあるいは・・・・・・」

アク 「嘘だろ? なんでだよ! おい!」

ゴウ 「おい、アク、医者にそんなこと言っても無駄だろ」

アク 「だってよー。ってことは植物人間ってことだろ?」

医者 「あぁ。意識が戻っても記憶が無いという場合もあるかもしれない」

・・・・・・。

医者 「他に聞きたいことは?」

アク 「・・・・・・」

アクは何もいわずその場を後にした。

けんた「ありがとうございました」

医者は軽く頭を下げるとその場から消えてしまった。

アク達はあきの病室へ。

VIP室と呼ばれる部屋にあきはいる。

政治家や有名人、プロスポーツ選手などが主に使用する部屋で一泊8万とかするらしい。

ユージ「病院にこんな部屋があるなんてな・・・・・・」

天使のような顔でベットに横になっているあき。

あゆみがあきの手を握って泣いていた。

アク 「・・・・・・」

アクも泣きそうになったが実際目から涙が出ることは無かった。

とりあえずあきを囲むようにアク達は座った。

姫野あゆみのマネージャーと思われる人があゆみに今日の仕事は全てキャンセルしたと言ったがあゆみはうんともすんとも言わなかった。

重い空気が流れる。


あゆみ「どうして、こんなヒドイことを・・・・・・」

あゆみは全身から力が抜けたようでずっと目から溢れてくる涙をハンカチで拭いていた。

アク 「大丈夫。絶対目ー覚ますから。こいつはそんな弱い奴じゃない」

ユージ「そうだよ。昔から知ってるけどいつも何かに一生懸命で決して諦めることのないやつだ」

けんた「これからどうなるんだろうな・・・・・・」



何時間だろう。外はもう真っ暗で病院内もだいぶ静かになった。

アク 「ふー。そろそろ俺達も帰らないとな」

あゆみ「私はまだ残るよ」

アク 「そっか。もしも目が覚めたら俺に会いたいときはいつでも連絡してと伝えといてくれ。俺はしばらくここには来ないから」

あゆみ「え? もう来ないの?」

アク 「あぁ。でも、目が覚めたときは一番にすっ飛んでくるからな」

あゆみ「わかったよ」

アク 「これ俺が最近買った指輪なんだけどあきに渡しといて」

アクは唯一着けていたお気に入りの指輪をあゆみに渡した。

あゆみ「わかった」

アク 「帰ろう。やることができた」

けんた「そうだね」

ユージ「やることって?」

アク 「帰ったら話す」


アク達は病院から帰宅した。


けんたの家に着いた。

ゴウもけんたの家へ。

アク 「もう11時か」

けんた「そうだね」

ユージ「あれ? そういえばミッキーとヒデってどこに行ったんだろう。病院では携帯の電源切ってたからわかんねーや」

アク 「どうせ、あいつ等どっかで油を売ってるんだろ」

ゴウ 「ところで、さっき病院で行ってた”やること”ってなに?」

アク 「あぁ、二度手間になるからミッキー達も揃ってから話したかったんだけどなぁ」

そんなときだった。

ミッキー ヒデ「ただいまー」

ミッキー達が帰ってきた。

ユージ 「お前らどこ行ってたんだ」

ミッキー「姫達を探してたんだよ。誰に電話しても繋がらなくて大変だった」

アク  「結局会えたのか?」

ミッキー「いや・・・・・・ニオイで探そうとしたけどダメだった」

ユージ 「お前は犬か」


アク  「まぁいい。終わったことを話ても仕方がない」

ミッキー「そういえば、みんなは会ったの?」

アク  「おう」

ヒデ  「うっそー」

ミッキー「うわー!なんで、なんで? こんな難しいかくれんぼどうやって見つけたの?」

アク  「姫野あゆみの方に教えてもらった」

ミッキー ヒデ 「あ」

ミッキー「そりゃあ。考えたね」

ユージ 「なんだそれ」

ヒデ  「で?どうだったの?」

アクはあきが植物人間になったことを話した。

ミッキー ヒデ 「・・・・・・」

ミッキー「俺達そんなのもう騙されないよ?」

ユージ 「残念ながら俺達も信じたくねーよ」

ヒデ  「・・・・・・」


11時30分。

アクの携帯が鳴った。

カネイチ「おい! どこにいるんだよ! 11時には店の準備するっていつも言ってんだろう!」

アク  「・・・・・・今日仕事だったか」

カネイチ「今すぐこい!」

カネイチは電話を切った。


アク  「話は後だ。ってか俺決めたことがあって、今日の仕事終わりみんなに話そうと思う」

けんた 「そんなに改まってどうするつもり?」

アク  「あとで話すから。ごめん」

アクはあきを病院で見ていたときずっと考えていたことがあった。

アク達はとりあえずピカイチに向かい仕事をこなした。


仕事が終わり午前9時。


アク  「悪い。みんな集まってくれ。重要な話があるんだ」

ダイスケ「どうしたんだ?」

カネイチ「深刻そうだな」

アク  「あぁ」

ユージ 「やっと聞けるかあ〜。仕事中も気になって集中できなかったよ」

カネイチ「おいっ。普通それ経営者がいる前で言うか?」

ユージ 「いーじゃん。売り上げは同じなんだし」

カネイチ「今日は良かったかもしれないけどお前に着いた客が常連にならなかったらダメなんだよ」

ユージ 「はいはい。ごめん、ごめん」

カネイチ「・・・・・・全く」

ミッキー「で、話って何? 面白いこと?」

アク  「面白くはないんだけどさ。この前言ってた来年の予定なんだけどちょっと先延ばししたいと思って」

カネイチ「どうした急に? 予定立てといた方が実感湧くから良いって言ってたじゃねーか」

ダイスケ「俺もネットで少しずつではあるけど仲間も集まってきてるんだぞ」

アク  「悪い。ちょっとなあ。どうしても許せないことができちまったんだよ」

カネイチ「なんだ?」

アク  「なんつうのかなぁ。俺の彼女って言うのか婚約者というのか。モトカノっていうのか知人というのか・・・・・・」

カネイチ「ん?」

アク  「まあ要するに俺の大切な人が分けわかんねー奴に殺されかけて昨日植物人間になっちまったんだよ」

ダイスケ「マジかよ」

カネイチ「植物人間か・・・・・・」

アク  「それで彼女の顔見てたらどーしてもその犯人が許せないんだ。今までに無い怒りを覚えた」

ダイスケ「殺すのか?」

アク  「いや、主犯なのか、仲間なのか。そいつ一人でやったのかわからないけど、犯人の一人はもう死んでる」

ダイスケ「どういうことだよ? じゃあもういいのか?」

アク  「いや、ちょっとこの腐った世の中が嫌になった」

ダイスケ「え?」

一同は静まり返る。

アク  「潰そうと思うんだ」

カネイチ「潰すってどういうことだよ? 具体的に言えって」

アク  「あぁ、そうだな。東京に原爆でも落としてやりてーよ」

カネイチ「いやいや、ピカイチ潰す気かよ」

ミッキー ≪え、問題そこ?≫

アク  「それはちょっと大げさだけど、とにかく俺はもうなんつーのか、嫌になったんだよ」

ダイスケ「落ち着けよ。とにかく感情に任せて動いたら後悔するだけだぞ」

カネイチ「お前一人がそんなこと言ったって何も変わりゃしねーよ」

ダイスケ「いいからとにかく落ち着けって!」

しばらく沈黙があった。
沈黙を切り裂くようにカネイチが言葉を発した。

カネイチ「・・・・・・正直いうと、俺はこの店が順調だから金は入ってくるし毎日が楽しいから犯罪は正直どうでもよかったんだ」

アク  「守りに入ったか、いいよなあ。成金は」

カネイチ「お前何言ってんだよ! なめてんのか!」

アク  「ハハ。カネイチはもう仲間から抜けて良いよ。いざとなったとき躊躇(ちゅうちょ)されても困るし」

カネイチ「なんだよそれ、せっかく俺が仲間になってやるって言ったのに俺を振るのか」

アク  「だって今のままでも幸せなんでしょ。じゃあ”仲間”として犯罪を誘うのをやめただけだよ」

アクの目は普段とはまるで違っていた。
本心から言っているというのではなく口先だけで言っているようだ。

カネイチ「そうか。お前がそういうのであればお前に付き合うこともないな。そんな女一人のために計画を狂わせるようなやつじゃあ完全犯罪なんて無理なんだよ」

アク  「言っとけ」

カネイチはその場から消えてしまった。

アク  「ダイスケはどうするんだ? ”今が幸せ”ならわざと危ない橋渡るのはやめたほうが良い。みんなもそうだぞ。今ならまだ引き返せる」

ダイスケ「待てよ。さっきから何度も言っているが落ち着けって。酒も入っててちょっとおかしいんじゃないか? 今までの俺達の付き合いはなんだったんだよ」

アク  「なんだったんだろうなぁ、夢だったのかな。まあ俺はカネイチとダイスケからいろいろためになること聞けたしピカイチも俺がいることで売り上げは上がったとは思うからお互い様なんじゃねーのか」

ダイスケ「今日お前おかしいぞ。仲間から抜ける前にもう一度考え直せって、カネイチだって誤れば機嫌直すと思うしさ」

アク  「大丈夫だ。なんなら完全犯罪ぐらい俺が一人でやってやるよ。ミッキーもみんなもそうだけど今ならやめれるぞ」

ミッキー「・・・・・・ここまで来てやめろって言うのは無しでしょ」

ユージ 「あぁ。俺達はいつでも一緒だったじゃねーか」

ヒデ  「俺は今の生活が幸せじゃないから仲間のままでいるよ」

アク  「ダイスケはどうする?」

ダイスケ「今決めろってか? 分かった。やめよう。 ネットの奴等にもまだ詳しい話はしてないからそれとなく断っておくな」

アク  「ああ、どうせネットなんかで集めた仲間は使えねー奴等ばかりなんだろ。リストラされるとか無職とかその時点で終わってんだよ」

ダイスケ「お前言いすぎだ」

アク  「じゃあ言いたいことは全部言ったから、俺はもうここにはこねぇ。今月の給料は要らないや。あぁ、そうだな。拳銃と交換でいいだろう。あんなもん一般人が持ってていい代物じゃないしな」

ダイスケ「そりゃ助かるわ。どう処分しようか今考えてたところだ」

アク  「他のメンバーは今の生活に満足してないだろうから、仲間のままなんだろうけど、ミサキはやめるかもしれないな」

ダイスケ「ああー分かったよ。お前達が犯罪しようとしていることは黙っといてやる」

アク  「あぁ。お別れだ」


ダイスケは拳銃を10丁と弾のケースを持ってきた。

ユージもミッキーもヒデもホストをやめることになった。

ユージはこっそりダイスケと話した。

ユージ 「なにかあったら連絡するからそのときは協力してね」

ダイスケ「わかってる。俺も大人だ、アクも今だけだろ」

ユージ 「じゃあ表向きはお別れってことで」

ダイスケ「ああ、楽しかったぜ」



アク達は拳銃を持ってけんたの家に戻った。


けんた 「おーみんなおかえり」

アク  「ただいま」

ユージ 「ただいまー」

ヒデ  「いえーい」

ミッキー「やっほー」


けんた 「あれ? いつもよりテンション低くない?」


アク  「今ホストやめてきた。この袋に入ってるのが拳銃で、と・・・・・・」

けんた 「え? やめたの?」

アク  「うん。まあ別にホストやりに東京来た訳じゃないしね」

けんた 「そりゃそうだけど。あんな簡単に金稼げるのなんてほかには無いんじゃないの?」

アク  「まあまあ、金ならあるし。っていうかテレビ見ようぜ。あきのことなにかやってるかもしれない」

けんた 「ああうん」

けんたはリビングにあるテレビの電源を入れた。


アナウンサー「人気歌手の姫野あきさんは大事を取ってしばらく休養するという報告があり これからは姫野あゆみさんは一人で活動するということになるようです、予定されていたライヴも姫野あゆみさんはあきの分まで頑張ると意気込んでいました」


アク  「やっぱ現実か」

けんた 「一日経って世間も落ち着いたみたいだね」

アク  「そうだね。あきを誘拐した犯人は警察に任せるとして俺は・・・・・・言いにくいんだけど」

けんた 「え? 何するの?」

アク  「ちょっとまた海外旅行したいと思ってんだ」

ユージ 「いや、旅行じゃなくて移住でしょ?(笑)」

アク  「まぁ、そうだな」

けんた 「え? 来年やるんだよね?」

アク  「ああ、あれ延期になった」

けんた 「延期?」

アク  「あぁ、よくよく考えたらさ けんたも大学生活満喫したいだろ?」

けんた 「まぁ、したいかしたくないかで言えばしたいけど。どうせ捕まらないんだからいいんじゃない?」

アク  「いやでももう決めちゃったから、けんた悪いけどまたファンバードと会えるように連絡してくれないか?」

けんた 「それはいいんだけど。大丈夫?」

アク  「何が?」

けんた 「怖くないの?」

アク  「怖くはないよ」

けんた 「今度は人殺しとか頼まれるかもしれないよ?」

アク  「人殺しは嫌だなあ」

けんた 「誰も好きでやる人いないよね」

ユージ 「そりゃそうだ」


けんた 「わかった。連絡しとくよ」

アク  「おーし! ソイルとの距離を縮めて世界制服だ」

ミッキー「おー!」

ヒデ  「まじー?」

アク  「冗談、冗談。でも目標は高く!」

けんた 「でも今回は俺行けないから通訳は別の人にお願いね」

アク  「ファンバードがいるじゃん」

けんた 「あいつも忙しいかもよ」

アク  「どーにかなるって」

ユージ 「拳銃どうする?」

アク  「そうだな。森に穴でも掘って隠しておくか。いつか使う日がくるかもしれないから」

ユージ 「おし!」

アク  「っていうかみんなはどうするの?」

ユージ 「え? 行くよ?」

ミッキー「もちろん!」

ヒデ  「んー! 行く!」

アク  「えー」

ユージ 「え? ダメ?」

アク  「んー。一人で行きたいっていうのがある」

ユージ 「えー」

ヒデ  「うわー」

ミッキー「ソロデビュー?」


けんた 「なんかみんな反応がおかしいよ(笑)」

アク  「どうせ、数年で帰ってくるからさ。みんな東京で遊んでてよ」

ユージ 「えー!」

ミッキー「うっそーん」

ヒデ  「どっひゃー」


けんた 「いやいや、ここはそんなノリでいいのか?」

アク  「あはは。わかった。5年以内に必ず帰ってくるからさ。たまには一人で行かせてくれよ」

ユージ 「ミッキーどうする?」

ミッキー「うーん。アク様がそういうならいいんじゃない? どうせ5年で帰ってくるんでしょ」

アク  「おう!」

ミッキー「じゃあ、俺達は姫をお守りするってことでいいんじゃない?」

ユージ 「おー!いいねー! 姫野あゆみの熱烈ファンにでもなるか」

ミッキー「両方だよ! 姫に言えば俺達なんとか使ってくれるかもしれないしさ」

ヒデ  「おー! 芸能人とお友達の人生も面白そうだね」

ミッキー「でしょ、でしょ」

ユージ 「おーし。じゃあそうすっか」

アク  「決まりだな。また帰ってくるときはけんたに連絡するからそんときはまたよろしく!」

ユージ ミッキー ヒデ 「はーい!」






こうしてアクは一人でヨーロッパへ行ってしまった。

残ったユージ達3人は姫野あゆみに土下座をして雇ってもらうことに。

いわゆる付き人だ。

毎日のように姫野あきの見舞いもし、それなりの楽しい生活を送っていた。



アクは無事ファンバードと会うことができ、まずはファンバードと一緒に闇の仕事に手を出しソイルに気に入ってもらおうと一生懸命仕事をしていた。


ゼン達はアクを探していたが探せずに
法律や犯罪の勉強をコツコツすると同時に人探しを中心とした探偵ごっこもしていた。


――。

そして4年の月日が経ちけんたの携帯が鳴った。

けんた ≪やっと来たか、連絡も取れないし死んだのかと思ってたぜ。俺もう大学卒業しちゃったしなあ≫

けんたは4年前のことを思い出しながらアクからの電話に出た。





完全犯罪4部はここまでです。


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