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完全犯罪 第4部 5ページ目

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ダイスケ 「お。女か(笑)」

アク   「どうだろね」

アクは携帯を見た。

アク   「あれ、知らない番号からだ」

ダイスケ 「出ろ、出ろ」

アク   「いつもは出ないんだけどな」

アクは電話に出た。

アク   「もしもし?」

ミサキ  「ミサキだよー。携帯変えたよーやっほー!」

アクは電話を切った。

ダイスケ 「え? どうした?」

アク   「間違い電話だ」


――。

ゼンの家。

夜中だというのにゼンは過去に父親が愛知からもって帰ってきた書類を見て勉強していた。

ゼン 「やっぱり本物の書類は難しいなあ」

101事件の書類は全部見終わりさらに勉強しようと思ったゼンはデパート事件の書類を見ていた。

ただ本物の書類を見てどうやって捜査を進めていくのか、書類の書き方などを勉強していた。

ゼンがパラパラ書類を見ていると。


注意人物……後藤アク。

ゼン 「え? 後藤アク?!」

ゼンは一瞬だが全身震えた。

ゼン 「今探している人と同一人物なのかな」

ゼンは区切りが着くところまで書類を読むと部屋へ行き寝ようとした。

ゼン 「……ダメだ。寝れない」

ゼンはいろいろなことを考えていた。

自分の父親が解決できなかったデパート事件の解決や今ゆきと探しているなべも見つかるのではと。

すべて後藤アクと会うことで解決できるのだと信じていた。

そして、いつの間にかゼンは眠っていた。

翌日。

ゼンはゆきに電話した。

ゼン 「もしもし、ゆき君ですか?」

ゆき 「うん。どうしたの?」

ゼン 「後藤アクって人はもしかして愛知の人じゃないですか?」

ゆき 「あー。そうかも」

ゼン 「やはりそうでしたか」

ゆき 「どうしたの?」

ゼンは昨日見た書類のことをゆきに話した。

ゆき 「うそー? それってもしかして、デパート事件の犯人かもしれないの?」

ゼン 「確率は低いとは思いますが可能性が無いわけでもないですよ」

ゆき 「おーってことは、一石二鳥だね!」

ゼン 「はい。とにかく探せば何か分かりますよ」

ゆき 「そうだねー! よーしやる気沸いてきた!今から行ってもい?」

ゼン 「はい」


――。


9月に入った。

もうネット上では、”なべは死んでいる”という噂が広まりそれを信じる人のほうが多くなっていた。

しかし、つねおはまだ諦めてはいなかった。

つねお 「あー、もうなべ様のサイトも削除されちゃったし」

なべにかけられていた懸賞金も無くなった。

そんなときだった、つねおにメールが届いた。

古田  【どうやら、ゆきがアクの居所を掴んだらしい】

つねお 【(゚ロ゚; マジですか?】

古田  【('A`)マジだ。もうすぐ全てが分かるかもな】

つねお 【僕もアクと会いたいです】

古田  【なんでだ?】

つねお 【なべ様の仇】

古田  【いやいや、まだ後藤アクがなべ様を殺したって決まったわけじゃないだろ】

つねお 【いやーでも】

古田  【そーいや学校は?】

つねお 【もう少し休みがあります】

古田  【そっか、来たいならこればいい】

つねお 【わかりました( ̄▽ ̄人)】


つねお 「やっと、見つかったんだ。それにしても本当に見つけるなんてすごいなあ」


---
9月上旬。深夜1時。雨が降りそうな天気。

ゼンはピカイチの店の前で話している。

ゼン 「ここがピカイチですか」

ゆき 「あはは、まさかアクってそのままホスト名にしているとは思わなかったよ」

ゼン 「珍しい名前だから本名だとは思いませんでしたね」

ゆき 「そうだね! さて、中に入って誘導尋問だ!(笑)」

ゆきの目は深夜だというのに輝いている。

ゼン 「引っかかってくれるといいんですけどね」

店内はいつもより慌しい。

ダイスケ「いらっしゃーい? ≪って男二人かよ≫」

ゼン  「こんばんは。アクという方はいませんか?」

ダイスケ ≪……?≫

ゆき ≪ホストクラブなんて初めて来たよ(ドキドキ)≫

ダイスケ「もちろん居ますよ。この店のナンバー1ですから。何かご用件がおありですか?」

ゼン  「すいません。ちょっと人探しをしてましてアクさんと話がしたいのですが……」

ダイスケ「あーそうですか。どっちにしろ今営業中なんでね。今すぐアクを貸す訳にも行かないんですよ」

ゼン  「わかりました。携帯番号を書いた紙を渡しますので近日中に電話するように言ってもらえませんか?」

ダイスケ「あー、わかりました」

ゼン  「ゆき君行きましょうか」


ちょうどそのときカネイチがカウンターにやってきた。

カネイチ「お? お二人さんどうしたのー?」

ゆき  「あ、初めまして」

ゼン  「初めまして」

カネイチ「社会見学かいっ?」

カネイチは少し顔が赤く軽く酔っているようだ。

ゼン  「いえ、後藤アクさんに用事がありましてお伺いしました」

カネイチ「あいつ、男にもモテるのかー。あはは〜♪」

場に変な空気が流れた。

ゼン  「失礼します」

カネイチ「ちょっと待てーい!」

ゼン ゆき  「?!」

カネイチ「君たち何歳?」

ゆき  「え? 18ですけど」

カネイチ「そっちは?」

ゼン  「18です」

カネイチ「えっと、高坊か?」

ゼン  「いえ、学生です」

カネイチ「そっかそっか。お前達金欲しくないかい? いいバイトがあるんだけどなー」

ダイスケ「おいっ。やめとけって(笑)」

ゼン  「なんです?」

カネイチ「いやー、最近この店人気出てきてねー。人出不足なんだよ。君たちクールでナイスガイだから俺達と一緒にホストしなかって。ヒックヒック♪ 女の子と仲良く酒飲むだけで面白いよー♪ ヒック♪」

ゆき  「……結構です」

ゼン  「すいませんができません」

カネイチ「だよなー。君たち純粋そうで頭も良さそうだからー。家庭教師とかやればそっちの方が面白いかー。あひゃひゃ。女子高生と二人であひゃひゃ♪」

ダイスケ「おい! 酔いすぎだぞ」

ゼン ゆき 「あはは。 では、失礼します」

---
外では。

ゼン 「顔は見れなかったものの見つかって良かったですね」

ゆき 「そうだね。今までで一番苦労したかな」

ゼン 「そうですね」

ゆき 「まさか、ホストにスカウトされるとは思わなかったよ(笑)」

ゼン 「あはは、さすがにホストは抵抗ありますね」


ゼン達は満足そうにピカイチを後にした。


――。
一方店内。

ダイスケ 「人探しといえばネットのやつが思い浮かぶよなあ。 あ!しまったあいつらの名前聞くの忘れた」

カネイチ 「うひょひょ♪」

ダイスケ 「……寝言か。……ってまだ開店して1時間そこらだぞ」


8時間後。

ピカイチの営業が終わり後片付けを終わらすとダイスケがアクを呼んだ。

アク  「どうした?」

ダイスケ「お前に て・が・み」

アク  「なんだよ、その言い方。気持ちわりぃなぁ」

アクはダイスケから手紙を受け取った。

アク  「なんだこれ、電話番号だけじゃん」

ダイスケ「あーそうそう、それ男からだぞ、確か年齢は18とか言ってたかな」

アク  「男から?」

ダイスケ「俺は今まで見たことないやつだったけどヒデと遊んだときの知り合いじゃないか?」

アク  「いや……。それならヒデを通して電話番号教えるのが普通だろう」

ダイスケ「人探しって言ってたから、もしかしたらなべの件かもしれないな」

アク  「はー、なんかめんどくせーなー。こーゆーときは」

ダイスケ「おい! 何してんだよ!」

アクはゼンからの手紙を丸めてゴミ箱に投げてしまった。

ダイスケ「いいのかよ?」

アク  「ろくなことないって、あはは」

ダイスケ「大事な用件だったらどうすんだよ?」

アク  「大事な用件だったらまた来るでしょう〜」

ダイスケ「アクも軽くハイテンションだな……」

ダイスケはふと部屋の周りを見渡した。

ミッキーとヒデが店のソファーに座って話している。

ミッキー「それでそれで?」

ヒデ  「それでさぁー。ボーカルがギターに告った訳よ、んでね」

ミッキー「うんうん」

ヒデ  「そしたら、ギターがいきなり”お前とは奏でる音楽が違うんだ”とかいって振ったんだって」

ミッキー「え?」

ヒデ  「俺そのバンドでドラムやってたんだけどさ。半年間一緒にやってきてそれはねーだろって笑ってしまったんだよ」

ミッキー「あはは。つまんね」

ヒデ  「……」

ダイスケ「よし、お前らとっとと帰れ」

ミッキー「はーい♪」

ヒデ  「はーい……」

ミッキー「おーし、朝マックして帰ろう〜♪ 今日はヒデのおごりだー!」

ヒデ  「いやいや、金ねーよ」

ミッキーはアクとユージとヒデを誘って店から出て行った。

ダイスケ「全く、菓子も捨てないで帰りやがった。ってどんだけ食うんだよ」



数日後。

ゼン  「電話ないですね……」

ゆき  「忘れてるのか、忙しいのか、あえて電話しないのか」

ゼン  「やはりちゃんと目を見て話がしたいですね」

ゆき  「そうだね。誘導尋問もそのほうがやりやすいし」

ゼン  「不本意ですが、また行きますか」

ゆき  「そうだね、今度は仕事が終わる朝に行って話をさせてもらおう」


そして翌日ゼン達はアポなしで朝8時ごろにピカイチに向かった。

ゆき  「もう終わるかなー」

ゼン  「少しここで待っていましょう」


ゼン達の前をいろんな人が通っていく。

アフロヘヤーの人や明らかに水商売ですといったような服装の女性。

外国人やチワワを連れたマダム。

ゼン 「ここは面白いですね、通っていく人を見るだけでも飽きませんよ」

ゆき 「やっぱ僕達みたいな学生の来るところではなさそうだね」

雑談をしているとピカイチの看板の電気が切れた。

ゆき 「終わったみたいだね」

ゼン 「中に入りましょうか」

ゼン達は店内へ。

ゼン 「すいませ……」

ゆき 「なんだこれ?」

ゼン達は凄まじい光景を目にした。

ダイスケ「お? 久しぶりだね」

ゆき  「あ、久しぶりです」

ゼンは頭を下げた。

ダイスケ「ごめんねー。今ジャンケン大会してるところなんだ」

ゆき  「ジャンケン大会?」


カネイチ「最初はグー!ジャンケンポン!」

一同「ワァー!!!!」


ゼン  「何やってるんですか?」

ダイスケ「売り上げが高いと臨時ボーナスでジャンケンしてあの真ん中の人(カネイチ)に勝つと1万円もらえるんだ」

ゆき  「すごい、一万円札が飛び交ってる」

ゼン  「……」

カネイチ「行くぜー! 最初はグー! ジャンケン ポン!」

一同「ワーー!!!」

ゼン  「楽しそうですね(笑)」

ダイスケ「笑ってあの中に入ったら参加できるかもよ?」

ゼン  「結構です」

ゆき  ≪ちょっと混ざりたいかも……≫

ゼン達をよそにジャンケン大会は盛り上がっている!


カネイチ「おーし! 最後は10万な!」

一同「おおおおぉぉぉ!」


ゆきの体がピクっと動いた。

ゼン 「どうしたんですか。ゆき君?」

ゆき 「何も(笑)」



「ジャンケンポン!」


ヒデ 「やられたー!」

ミッキー「いやっほー!!!」


ゼン 「あれ? 女性もいるんですね?」

ダイスケ「ああ、あれは常連のお客さんだよ」

アク達の中にミサキの姿があった。まどかはいない。


ジャンケン大会も終わり落ち着くと。

ダイスケ「おーい、アクー? お客さんが話しがあるって」

アク  「ん?」

アクのスーツのポケットには入りきらないほどの万札が入っていた。

アク  「何? 誰?」

アクがそーっと近づいてくるとアクに釣られてユージもミッキーもヒデも後ろからついてきた。

ダイスケ「後ろの連中は”金魚のふん”みたいだな」

ユージ 「うっせ(笑)」

・・・

ゼン  「初めまして、後藤アクさん」

アク  「あーどうも?」

アクはなぜ自分のフルネームを知っているのか疑問に思った。

ゼン ≪周りの人達がいると何かとやりにくいかな……≫

ゼンはゆきの目を見た。

ゆきはゼンを見てうなづく。

ゆき 「ところで、渡辺コウジという方は知りませんか?」

ダイスケだけが渡辺コウジが”なべ”だということが分かった。が、どうすることもできなかった。

ゼン ≪あれ、今の合図は……(汗)≫

アク 「その前に二人の名前が知りたいな。なんで俺の名前を知っているのかも」

アクは凄くめんどくさそうな態度でそういった。

ゼン 「あー、すいません。僕は徳永(とくなが)ゼンです」

ゆき 「僕は白谷(しらたに)ゆきです」

アク 「どうも、初めまして」


ヒデ ≪あれ、徳永ゼンってどっかで聞いたことあるなぁ……まーいいか≫

ゼン 「その渡辺コウジという方を探してまして、後藤アクさんが何か知っていると聞いたので探していたんですよ」

アク 「あっそう。俺はそんなやつ知らないな」

ゆき 「え? 本当に知らないんですか」

アクはなべの本名を知らない。

アク 「あぁ。どんなやつ?」

ゆき 「えっとですね。秋葉原では有名な方だったらしいんですよ。これ写真です」

アクはゆきからプリントアウトされた昔のなべの写真をみた。

アク 「ああ、こいつか」

ゼン 「知ってるんですね!」

ゆき 「はー、ここで知らないって言われたら僕達の今までの苦労が水の泡になるところだった」

アク ≪ネットの奴だな……。知らないふりをして終わらすか≫

ゼン 「それで、今この人はどこにいるか知っていますか?」

アク 「知らないよ」

ゼン 「そうなんですか……」

ミサキは自分の父親のことを思い出していた。

ゆき 「この人を探している人がたくさんいます。何でもいいので情報ありますか?」

アク 「いやー。俺もこの間東京出てきたばかりで何も知らない」

ゼン 「ところで、なぜアクさんは渡辺コウジさんと知り合いなんですか?」

ユージ≪おっと鋭いとこを突いてきたぞ≫

アクの周りにいる事情を知っている人はアクとゼン達の会話をそれとなく聞いていた。

アク 「えーっと……こいつと知り合ったのは友達の紹介だったけな」

ゼン 「友達って?」

アク 「っていうか二人さ、俺はなべのこと知らないって言ってるのなんでこれ以上聞くわけ?」

ゼン 「すいません。こちらも必死なんで」

アク 「まあいいけど。なぜ俺がそこまで言わないといけないかわからないが、友達っていうのは同じ高校だったつねおってやつだ」

ゼン 「つねおさんですか。 ゆき君知ってますか?」

ゆき 「たぶん、先輩の知人だと思う」

ゼン 「そうですか、秋葉原にはよく行くんですか?」

アク 「秋葉原かー、全く行かない訳じゃないけど俺も忙しいから行くことは少ないかなあ」

ゼン 「そうですか。知らないって人にこれ以上聞いても仕方ないですね」

アク 「……俺もう昨日から起きててもう眠いんだけどそろそろいいかな?」

ゼン 「あーはい。また何かあったら連絡してください。この前の紙渡してくれましたか?」

ゼンはダイスケの方を見た。

ダイスケ「あー渡したよ」

アク 「なんのこと?」

ゼン 「あれ。 携帯番号の書いた紙ですよ」

アク 「あーあれか。無くした」

ゼン 「……分かりました。番号教えておきますね」

アク 「ああ……」

アクとゼンが携帯を出したときだった。

アクの携帯が鳴った。


アク 「あ? 電話だ」

ダイスケ「誰からだよ?」

アク 「さっきのお客さんかな」

アクも一応はホストとして携帯番号ぐらいはお客に教えていたが、アクから電話することはなかった。

アクは自分の携帯を見た。

アク ≪姫野あゆみ……?≫

アク 「お客さんだ。ちょっと電話してくる」

アク嘘を付きゼン達を置いて店の外に出て行った。

ダイスケ「あんなに慌ててどうしたんだろ」

ゼン 「じゃあ僕の番号をまた紙に書きましたのでこれで失礼します」

ゼン達は店から出て行こうとアクが出て行った玄関から外へそして、アクの後を付いて行った。


アクは店の裏の路地の方で電話している。

ゼン達はそーっとアクの電話を聞こうとアクを付いて行った。


アク 「どうしたんだよ?」

ゴミが溜めてある場所にはハエが集っていてくさい。

あゆみ「あきが昨日からいないんだよっ」

アク 「はぁ? あきがいないって? 落ち着けって」

---
ゆき 「ゼン君?」

ゼン 「うん」

アクに見つからないようにアクの声を壁際から聞いているゼン達。

ゼン 「もしかしたら何かつかめるかもしれませんね」

ゆき 「気付かれないようにそっと見ていよう」

---

アク 「俺は知らないよ。もう会わないって言うのもあきから聞いてるだろ?」

あゆみ「そうだけど、本当にいないんだって! 私に内緒でいなくなるなんて有り得ないし」

姫野あゆみは泣きそうな声で必死にアクに事情を話した。

あゆみ「マネージャーとか事務所の人も必死で探してるけど、なんか心配で私アク達しか東京で知り合いいないし」

アク 「そんなこと言われたって俺は知らないし、もうあきとは会わないって決めたから」

そういってアクは携帯を耳から離し体の前に持ってきて電話を切ろうとした。

あゆみ「もう会わないって何よ! 心配してんだから助けてよ!」

姫野あゆみの声はアクの耳にかすかに届いたがアクは電話を切った。

アク ≪はぁー。眠い、何もかもやる気出無いな……≫

ハッキリ言ってアクにとってなべがどうとか、姫野あきがどうとか。どうでもよかった。

頭では完全犯罪が成功する確立を1%でも上がるようなことを考え続けていた。

アク ≪やっとここまで来たのに厄介に巻き込まれることだけは避けたいな≫


---

ゼン 「聞きました?」

ゆき 「あきって人がいないみたいだね?」

ゼン 「でも普通友達がいないからって誰かに相談しますか?」

ゆき 「しないよね、特別な事情がなければ……」

そしてゼン達はアクが店に戻るのを確認するとそれ以上アクに近づくことなく、ふらっとなべの情報を得ようと秋葉原に向かって歩いていった。
---

アクは店に戻った。


ダイスケ「あいつら携帯番号の書いた紙置いていったぞ」

アク  「要らない。 ゼンってやつの態度というか雰囲気が嫌いだ。もう会いたくも無い」

ユージ 「俺もちょっと鼻に付くタイプだとは思ったけど」

ヒデ  「俺あいつ見たことある」

ユージ 「え?」

ヒデ  「徳永ゼンってやつ剣道の試合で全て一本勝ちで全国優勝したって新聞で見たことある」

ユージ 「全国優勝?」

ヒデ  「親が警視庁かどっかお偉いさんで剣道の先生もしてんだって新聞の記事に書いてあったの思い出した」

ダイスケ「ふーん。親が警察官って最悪だよな。人生を半分も楽しめてないんじゃないか」

アク  「もういいよ、どうせ会わないんだし」

ダイスケ「とか言ってまた向こうから会いにくるかもよ」

アク  「向こうもさっきの俺の態度見たらもうこないだろ。なべは知らないって言ったんだし」

アクはいつになく疲れきったような顔をして店から出て行った。

アク  「久しぶりに遊びすぎたな……」

アクは普段使わないタクシーを使ってけんたのマンションまで戻るとぐっすり寝てしまった。


数時間後。

ユージ「おい! アク! 大変だぞ。起きろ」

アク 「ん? どうした?」

アクは眠そうな顔でユージの声に反応した。

ユージ「あきが誘拐されたってテレビでやってる」

アク 「何?」

アクは起き上がるとテレビを見た。


アク 「マジかよ……」


テレビでは。

アナウンサー「何者かが、人気歌手の姫野あきさんを誘拐し、事務所に対して身代金5億円を要求したことが事務所の報告で明らかになりました。この事件に対し警察は……」

ユージ 「もうどのチャンネル見てもこのニュースだ」

アク  「今何時だ?」

けんた 「午後6時」

アクは自分の携帯を見ると何件も姫野あゆみからの着信があった。

アク  「……」

ユージ 「どうする?」

けんた 「この前酔ったときにもう10年間会わない約束したって言ってたよね」

アク  「はぁー……」

アクは大きなため息をすると立ち上がった。











アク 「助けに行くに決まってんだろ!」


アクはぐっすり寝たせいか朝の嫌な雰囲気は消えていた。

ミッキー「おー!」

けんた 「でもどうやって」

アク  「受け渡し場所に行って犯人をぶっ飛ばす」

アクはゼンと会ったことでイライラが溜まっていたのかテンションが上がっている。

ユージ 「それじゃあ犯人と一緒に俺達が捕まっちゃうよ」

アク  「そっか。それはいくらなんでもマズいな。まあそのとき考えればいい」

アクは携帯を持ち姫野あゆみに電話した。

アク  「俺だけど、今どこにいる?」

あゆみ 「何よ今更!」

アク  「ごめん。さっきはどうかしてた。俺達もあきを助けるから協力してよ」

あゆみ 「テレビみたの?」

アク  「おう。俺が絶対助けるから協力してくれ」

あゆみ 「今事務所にいるけど」

アク  「丁度いいや、どうせ犯人からの電話があるんだろ、身代金を渡す場所が分かったらそっと俺にも教えてくれ」

あゆみ 「でもいま。警察がいて、大丈夫かなあ〜?」

アク  「警察もいるのか。気付かれないようにメールでも送ってくれ」

あゆみ 「できるだけ頑張ってみる」

アク  「わかった」

アクは電話を切った。


アク  「よし、とりあえず俺達も足を用意しよう」

けんた 「足?」

ミッキー「ゴウさん?」

アク  「そう、バイクの後ろに乗ってみたかったんだな」


アクはゴウに電話するとゴウは快く協力することに。

けんた 「でもさ、芸能人誘拐しても捕まらない自信があるって単独犯じゃない気がするんだけど」

アク  「確かにな。一般人のおっさんなら1億もあれば事足りるし。5億も要求するのは変な話か」


ヒデ  ≪”あきあゆ”にあえるんだ。ワクワク≫

アクの携帯が鳴った。

アク  「ゴウが着いたみたいだ。行ってくるからみんなはここで待ってて」

ヒデ  「え」

アク  「だってバイクは二人乗りだろ」

ヒデ  「あ」

ミッキー「行きたいー」

ユージ 「いや、お前は行きたいんじゃなくて、会いたいんだろ?」

ミッキー「そうともいう」

アク  「じゃあ俺行ってくるから、なんかあったら任せた」

けんた 「何かって何だろ……(笑)」


アクは財布と携帯を持ってマンションから降りて行った。


ユージ 「どうする? 俺はテレビから入ってくる情報をアクにメールで教えたいと思うんだけど」

ミッキー「俺は姫に会いたい」

ヒデ  「俺も会いたい」

けんた 「行ってこい。何か役に立てるかもしれないしな」

ミッキー「ヘイ! ナンバー2〜!」


---

一方ゼン達。

秋葉原でなべの情報を歩いて探していたゼン達はなべ探しも一休みにして電化製品売り場で新しいパソコンを見ていた。

ゆき  「このパソコンすごくない?」

ゼン  「そうですねー」

ふとプラズマテレビがいくつも置いてあるところにイスがあったのでゼン達は歩き疲れたせいか休むことにした。

ゼン  「最近は凶悪犯罪をする年齢も下がっていますからね。知ってます? この前小学生が親を刺したの」

ゆき  「あー知ってる知ってる」



なんとなくテレビをみるとメジャーリーグがどのテレビでもやっていた。

ゆき  「日本の相撲には外国人が増えて、メジャーリーグには日本人が増えてきてるね」

ゼン  「そうですね」

何気ない会話をしていると後ろを通った店員が何かのDVDを持ってゼン達の前にやってきた。

店員はテレビの下の機械にDVDを入れた。

ゆき  「あきあゆの新曲だ」

ゼン  「この人たち僕達と同じ歳らしいですね。最近テレビでよく見ますよ」

ゆき  「そうだねー。世の中にはこんな可愛い子もいるもんだね」

ゼン達は休憩も終わり店から出て行った。


ゆき  「さーてと、また渡辺さんの情報を探しますか」

ゼン  「早くしないと学校も始まりますし」

人気の多い道を歩いていると交差点の上の大きなテレビで姫野あきが誘拐された事件についてのニュースがやっており 、そこにいる人達は皆テレビを見て動こうとしていなかった。


ゆき  「あれ?」

ゼン  「あれは……」

ゼン達も立ち止まりテレビを見ていた。

ゼン  「もしかして! 朝のホストで”あきがいない”っていうのこれじゃないですか?!」

ゆき  「え? それだったらアクって人と姫野あきが繋がってることになるよ」

ゼン  「ありえないですか……」

ゆき  「あ! でもあきあゆって確か愛知県出身だったから同じ高校ってこともありえるかも!」

ゼン  「だったら須賀さんに聞いてみればどうでしょう」

ゆき  「そうだね。それが一番早い」

ゆきは須賀に電話し須賀は古田に電話し姫野あきとアクが愛知で繋がっていることを知った。

ゼン  「凄いですね。人ってどっかで繋がっているというか。世間は狭いというか」

ゆき  「そうだ! 渡辺さんを探すよりも今からだと遅いかもしれないけど姫野あきさんを探してみようよ?」

ゼン  「え……。僕達の出番なんてないですって」

ゆき  「捕まえるとかじゃなくて現場を見てみたい」

ゼン  「現場は緊迫してて少しでも遊びのような雰囲気だしたら怒られますよ」

ゆき  「大丈夫だよ、僕達東大生だから」

ゼン  「理由になっていませんよ……」

ゼンは不本意ながらもあきあゆの事務所がある港区へ行こうとすると、ものすごい勢いの大型バイクが交差点を通過していった。

ゼン  「もしかして今のバイクの後ろに乗ってたのって後藤アクさんじゃないですか?」

ゆき  「それがわかるのはゼン君ぐらいだよ、僕は髪が茶色ぐらいしか分からなかった」

ゼン  「とにかく向かいますか」

ゼン達は電車で事務所のある港区へ向かった。

---

バイクを飛ばし気がつけばアク達はあきあゆの事務所がある港区についていた。

アク  「道詳しいんだね」

ゴウ  「そりゃね。趣味だから」

アク  「でも運転はプロだったよ」

ゴウ  「ははは、まぁな」

アクはゴウにバイクを任せ一人で事務所の玄関まで向かうとそこにはマスコミ関係者と思われる人が溢れかえっていた。

玄関では事務所の関係者らしき人がマスコミを抑えている。


アク  「ここまで来るとリアルだな」

ゴウがバイクを置くとアクに合流した。

アク  「とりあえず、来たもののどうすりゃいいんだ」

ゴウ  「俺は事情がわかんねーからなんともいえない……」

アクはゴウに今起こっていることを説明した。

ゴウ  「なるほど……難しいな」

ゴウの頭では今の状況が理解できないようだ。

アク  「とにかく、あゆみからの連絡を待つしかないか」

20分後・・・。

アク  「連絡こねー」

ゴウ  「マスコミは増えたり減ったりだな」

アク  「これじゃあどうしようもないよ」

---
ゼン達もようやく事務所のそばまで来た。

ゆき  「うわー。すごいマスコミの数」

ゼン  「ですね。もう少し近づきましょう」


---

アク  「あれ、あそこ見てよ、なんか怪しい人いない?」

アクが気付いたのは事務所の玄関を見るいかにも怪しそうな男の姿だった。

ゴウ  「良く放火犯は自分が燃やした家を野次馬に混ざって見にいくっていうけどそれかな?」

アク  「たぶんちげーよ。でも暇だから近づいてみようぜ」

ゴウ  ≪そういや、いつからアクは俺に対してタメ口なんだ……これでも7個上だぞ……≫


アクはそーっと怪しげな男に近づいていった。

アクは携帯を耳に当て電話をしているふりをして近づく。

ゴウはなぜか後ろパケットを気にしながらすごく怪しい動きだ。


ゼン  「あれ? あれって後藤アクさんじゃないですか?」

ゆき  「本当だ。後ろに怪しい人が二人いるね」

ゼン  「行って見ますか」


アクが怪しい男に近づくと怪しい男はその場から逃げるようにアク達が向かってくる方向とは逆の方に早足で歩きだした。

アクも早足でその男を追う。

アク  「ゴウさんはバイク持ってきて!」

ゴウ  「あ、ああ」

ゼン  「あれ? 少し早足になりましたね」

ゆき  「僕達も急ごう」

---

事務所からどんどん離れていくがそんなことはお構いなし。

怪しい男も完全にアクが後ろから付いてきていると認識し人気が少ない道路に出ると走り出した。

アク  ≪絶対なんかある!≫

アクは確信すると全速力で怪しい男を追う!

角を曲がった辺りでアク達が走っていることに気付いたゼン達もアクを追って走り出した。

ゼン  「体育祭での短距離は負けたことがないんですよね」

ゆき  「……僕が遅れたら先にいっていいからね」

ゼン  「はい」



4人でマラソンがスタートした。

ゴウはバイクを取りに行っているので遅れている。

怪しい男は道に詳しいのかアクの知らない道を抜けていく。


アク  「なんだあいつ、走りながら電話してやがる!」


ゼン  「もうすぐ追いつきますよ」


ゆき  「はぁ……はぁ……」


信号のない道を選び逃げる怪しい男はくねくねと道を曲がりアクを振り切ろうとする。が、アクも鍛えた体。全然振り切れてない。

ゼン  ≪あれ、結構走ったのに思ったより距離が縮まらないなぁ≫


角を曲がったところで大通りに出ると怪しい男はタクシーに乗ろうとタクシーを止めるため手を挙げた。

アク  「間に合え!」

最後のスパートで全力で走るアクだったが一足早くタクシーが怪しい男の前に止まりとっととタクシーは出て行ってしまった。

ゼン  「あれ? 止まってる」

アク  「くそっ」

アクがどうすることもできずその場に立っているとゴウがやってきた。

ゴウ  「乗れっ!」

ヘルメットをアクに投げアクが後ろに乗るとバイクはもの凄い音を立て発進した。

ゼン  「そういうことか」

ゼンが後ろをふりかえると ゆきは遠くのほうを歩いていた。



――。

アク 「前のタクシーだよ」

ゴウ 「わかった。任せろ」



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