完全犯罪 〜ゼン〜 2部 3ページ目 完全犯罪〜ゼン〜 2部 2ページ目へ 最終更新日7月28日 101事件は全国で被害があり組織的な犯罪として警察では扱われた。 インターネットによる仲間集めがあったことは警察はすぐに知ることができたがそこから主犯への手掛かりは一切なかった。 マスコミも大注目で各紙で大きく取り上げられた。 大事件ということもあって犯罪に詳しい大学教授等も捜査に加わったが全国で被害があったため警察の人出不足もあり捜査は思うように進まなかった。 これはインターネット社会が作った大犯罪として時代に名を刻んだ。 ゼンの父親も毎晩徹夜で捜査していたが主犯を捕まることはできていなかった。 全国での犯人の数は推定200人〜300人といわれその中で捕まったものは2割程度だった。 その捕まった2割から主犯への情報が全く得られず捜査はいったん打ち切りとなった。 101事件から2ヶ月が経ち12月。 ゼンはゆきと話し合い将来必ず101事件の主犯を自分達の手で捕まえようと夢を語っていた。 12月のある日。 ゼンは父親が師範をしている剣道道場で小学生を相手に父親に代わって剣道を教えていた。 ゼン 「もっと大きな声で気合いれてー!」 昔から父親に言われてきたことを小学生に教える。 小学生もゼンが師範の息子だということを知っていたのでゼンの言うことはちゃんと聞いて時には笑って楽しく剣道を教えていた。 ゼンの父親は剣道では名が通っていてあの人なら我が子を任せれるとたくさんの生徒が道場に通っていた。 ゼンが教える小学生の中には日本人だけではなく中国人やブラジル人アメリカ人とさまざまな人種の子が習っていた。 12月25日。クリスマス。たまたま剣道の練習と重なった。 その日は日曜日ということもあってゼンは父親に頼まれていた子供用のプレゼントをちえと一緒にデパートまで買いに行った。 ゼンとちえはお互いにプレゼントを交換するとゼンは剣道の指導のためちえと別れプレゼントを持って道場へ向かった。 クリスマス会があると知っていた子供達は全員出席でニコニコ笑っている。 ゼン 「プレゼントは最後に渡すからそれまで一生懸命練習してほしい。もし気合が出てない子がいたらプレゼントは渡しません」 と、慣れた口調でいうと練習は始まった。 子供達は素直でその日は全員一生懸命気合を入れ1年で一番充実した練習となった。 そして練習が終わりそれぞれにプレゼントのお菓子を渡していると・・・・・。 ゼン 「1つ足りない・・・・・」 気付いたときは残り3つでゼンの前には4人並んでいる。 しかも一番最後にはまだ日本語がほとんど分からないブラジル人の子だ。 ゼン 「しまった!」 と同時にゼンの頭の中では・・・・・ ゼン≪このまま順番に3人に渡してプレゼントが無くなるとあの子は泣いてしまう。もしかしたら人種差別なんて思われるかもしれない≫ ゼンは困ったが子供達は容赦なくゼンに言ってくる。 子供A「はやくー頂戴よー。早く帰ってテレビみたいんだ」 残りの子たちがワンワンと言ってくる。 ゼンは仕方なく順番通りにプレゼントを渡すと最後のブラジル人の子がゼンの前にやってきた。 ゼン 「ちょっと待ってね」 ブラジル人の子は日本語が分からずただその場に立っていると日本語の分かるそのブラジル人の兄が近寄ってきた。 「どうしたんですか? 指導員?」 ゼン 「ちょっとお菓子1つ買い忘れちゃって・・・・・」 ゼンは困った顔でそういうと 「そうなんですか、大丈夫ですよ」 とその子の兄は言うと弟にポルトガル語で何か言った。 そのまま弟は兄に連れられて道場を後にした。 ゼン 「・・・・・マズイことしたなあ」 と、ゼンは思ってすぐに後片付けをすると一人で近くのデパートへ走った。 ゼンは自腹で2000円もするお菓子セットと可愛い雪だるまの絵がついているタオルを買った。 店員さんに綺麗に袋に入れてもらうとゼンは走って家に帰った。 ゼンは父親の部屋に入り剣道の練習生達の住所録を見てブラジル人の子の家の住所を調べるとまた走ってその子の家まで走った。 15分ほど走るとブラジル人が多く住む団地のようなところへ着いた。 ゼン 「ここら辺かな」 住所の書いてある登録所を携帯のカメラで撮って置いたので何度も確認しながら家を探した。 ゼン 「ここだ」 ゼンはインターホンを押すと母親らしき人が出た。 上手いことに母親は日本語を少しだけ話すことができたので家の中に上げてもらうとその子は泣いていた。 母親からゼンに対していろいろ嫌なことを言われたがゼンは我慢した。 ゼンはプレゼントを渡し忘れた子の前に行くと ゼン 「ごめんな。これ渡しに来たんだ」 と一言いい袋を渡すとゼンは帰って行った。 ゼンが家に帰るともう夜の9時でゼンの父親にどこに行っていたのか聞かれたがゼンは適当に友達の家で勉強してたと嘘をついた。 そして1週間後の練習ではそのブラジル人の子はゼンのあげた雪だるまの絵のついたタオルを使って汗を拭いていた。 ゼン ≪よかった。人種差別とか思われなくて済んだみたいだ≫ 時は流れゼン達は学年が1つ上がり3年生になった。 ゼンは剣道の全国大会で個人優勝をした。 ゼンの学校は一気に有名になりゼンの名も全国の新聞に載ることで有名になった。 3年前まで影では賭け事やケンカが絶えなかったたちの悪い剣道部であったがゼンのおかげで有名になりそんな悪さをする人がいなくなった。 3年生にもなると進路の話が頻繁にされるようになった。 ゼンは一刻も早く警察官になりたく高卒でもなれる試験があったが父親に大学に行ってから警察になったほうが将来的に良いといわれあっさり大学に進学することに決めた。 ゆきも大学へは行くことにしてちえももちろん大学へ進学すると決めていた。 高3の10月。 東京では姫野あきとあゆみのディオがちょくちょく雑誌に登場し有名になってきていた。 11月。 大学の推薦入試を通った生徒達が浮かれ始め授業に集中しない生徒が増えてきた。 ゼン達は一般で受験するため推薦入試は受けなかった。 12月。 学校以外で一日6時間勉強。 ゼンは最初は入れればどこでも良いと思っていたが勉強していくうちにどうせなら一番良いところがいいと思うようになった。 そう、ゼンは東大を目指した。 ニュースを一切見なくなったゼンは世間ではどんなことが起こっているのか分からない。 が、そんなことはどうでもよかった。 3月。 東大の試験ではアク達も試験には向かったのだがここではアク達とゼンは顔を合わすことは無かった。 --- ゼンは東大に合格することができた。 ゼンが剣道の全国大会で優勝したことがプラスに働いたことは言うまでもない。 もちろんちえも東大合格。ゆきもなんとか東大合格を果たした。 ゼンの通った学校からは全部で26名の東大合格者が出た。 まさか自分の子供が東大に合格するなど夢にも思ってもいなかったゆきの両親が3月末にゼンの家を訪れた。 ゆきの母親は「ありがとうございます。ありがとうございます」と何度も頭を下げた。 「こんな馬鹿息子が東大にいけるなんてゼン君がいたからこそ。本当に感謝しています」 と、ゆきの父親も頭を下げたが ゼン 「いえ、僕は何もしてませんよ。ゆき君が頑張ったから入れたんです」 ゼン母「はい。うちは何も」 そういうゼン達の話を聞いてはただただ感謝の気持ちを残しゆきの両親は去っていった。 やはり東大となると人が自分を見る目が変わる。 親戚や近所の人からは「すごい、すごい」と言われゆきは有頂天であった。 そしてゼンにならゆきの人生を任せれると思ったゆきの両親がゆきの夢であった探偵への道を拒むことはこれ以上なかった。 4月になりゼン達は大学生になった。 ゼンは今までの学校生活では考えられなかった自由な時間ができた。 剣道の練習は週に1,2回となり大学の剣道部には入らなかった。 ゆきは東大生という看板を背負い家庭教師をしてバンバン金を稼ぐようになった。 ゼンは自分用のパソコンを購入してもらい毎日さわるようにはしていた。 ただゼンが一番生活で変わったことは父親の仕事の手伝いだ。 将来警察官になるというはっきりした目標があったためゼンの父親も早くから実際の仕事がどんなものか教えておきたいということもあったので手伝いをさせていた。 ちえはゼンの影響で弁護士を目指していた。 3人とも東大法学部。 ゼンの父親の手伝いではまだ101事件についての資料がたくさんあった。 いまだ全く糸口が掴めていなかった。 8月。 ゼンは夏休みということでずっと父親の手伝いをしていた。 ゼンは父親に連れられて警視庁へ何度も行くうちに父親の部下達と顔なじみとなっていた。 8月中旬。 ゼンはちえと二人で旅行に行くことになった。 一泊二日。 初めての二人での外泊だ。 目的地は愛知。 日本で一番おいしいラーメン屋があるとテレビや雑誌で良く聞いていたのでラーメンを食べるというのが第一の目的。 あとは東京にない自然を味わうということも目的の1つだった。 なにより二人で一緒に居られるということがなにより幸せだった。 いざ、愛知へ。 新幹線で2時間。 名古屋についた。 雑誌を片手にとりあえずラーメン屋へ向かう。 名古屋駅からさらに電車にのり40分ほどだろうか駅についた。 バスに乗り・・・うわさのラーメン屋へ。 ちえ 「ここだよ、ここ。神様の楽園」 ゼン 「おーやっとついた」 ちえ 「いつもにぎわってるって書いてあるけど本当にそうだね」 駐車場には入りきらないほどの車が駐車されていた。 ゼン達は神様の楽園に入った。 店員 「いらっしゃいませー。何名様ですかぁ〜?」 ゼン 「二人です」 店員 「少々お待ち下さいー」 そういうと店員はどこかへ行ってしまった。 ゼンはミニスカートの店員をみて少し戸惑った。 ちえ 「店員さん高校生かな? みんな可愛いね」 ゼン 「そうですね」 しばらくすると席が空いたのでゼン達は席に案内された。 ちえが天使ラーメンを食べたいというのでゼンは反対の悪魔ラーメンを注文し二人でそれぞれ少しずつ交換しては食べていた。 すると・・・厨房で。 よしき 「こらぁあああ! あ? おまえおにぎりばっか作って食ってんじゃねえよ。とっとと麺ゆでんか!」 よしきの怒鳴り声だ・・・起こられているのは・・・おにぎり大好き乱馬君。 乱馬はよしきに憧れてラーメン屋で今年の夏から社員として働いていた。まだ経験は浅い。 乱馬は飯も上手いしなによりいつも可愛い店員がそばにいるというこの環境が大好きだった。 だが、よしきからは毎日怒られてはたまには殴られたりもしていた。 殴られるほど女性店員から優しい言葉を掛けられるのでそれはそれでおいしかった。 乱馬 「すいません。すいません」 ゼン 「やはり働くって大変なんですね」 ちえ 「そうだねー」 ラーメンを食べ終わったあとゼンたちは少し自然が豊かだったのでラーメン屋の周りを歩くことにした。 ゼン 「こーゆーところで育った人はきっと性格いいんでしょうねー」 ちえ 「だろうね。大らかな人が多そう」 そうして愛知を満喫してゼン達は東京へ帰った。 --- 完全犯罪〜ゼン〜はここまでです。 次からはアクに戻ります。 完全犯罪・4部へ トップページへ戻る |