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完全犯罪 〜ゼン〜 2ページ目

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ゼン 「進路の話してたんですよね?」

ヨネ 「おう。高校へ行かず世界を旅したいって行ったんだ」

ゆき 「え?本当にそんなこといったの?」

ヨネ 「ゆきは黙っとけ」

ゆき 「・・・」

ヨネ 「そしたらなんて言ったと思う?」

ゼン 「そうですね。・・・普通なら高校出てから夏休みを使って行った方が良いといいますね」

ヨネ 「まあそんなもんだけど。とりあえずアホかって・・・一人前に働けるようになってから旅行でもなんでもしたらいいって」

ちえ 「うん。私もそう思うよ」

ヨネ 「分かってないなあ。人生は一回しかないんだぞ。だったらもっとやりたいことやるべきだと思うんだ」

ゼン 「自分のやりたいことだけやって生きていければ最高だと思いますが世の中そんなに甘くないですよ」

ヨネ 「ゼンになにが分かるんだよ・・・」

ヨネはそういうとなぜか目から涙が溢れ出した。

ゼン 「どうしたんですか?」

ヨネ 「ごめんな・・・俺先月さ大好きだった彼女が死んだんだ」

ゼン 「え?彼女いたんですか?」

ヨネ 「ああ・・・遠距離だったんだけどな」

ゼン 「そうなんですか・・・」

ヨネ 「それで良く考えたんだよ。いつ死ぬか分からない人生をもっと後悔しないように生きなきゃって」

ゼン 「まさかそれで、世界を旅したいって?」

ヨネ 「おう。いろんなとこ行って・・・いろんな人と話して落ち着く場所があれば砂漠の真ん中だって住んでもいい」

ちえ ≪かわってるなあ・・・≫

ゼン 「口でいうのは簡単ですけど・・・もっと高校で勉強してからのほうがいいと思いますよ」

ヨネ 「あーゼンかたいな・・・今の俺の言ったこと全部覚えてるか?」

ゼン 「はい。それを聞いた上で言ったんです」

ヨネ 「じゃあな・・・その高校へ行ってる間に交通事故に巻き込まれて死んだらどうするんだよ?」

ゼン 「・・・そういうことですか」

ヨネ 「いつ死ぬかわかんないだろ。どうせ俺みたいなやつは高校行っても途中でやめちまうんだよ」

ちえ 「行ってみないと分からないじゃない。また高校で新しい彼女ができるかもしれないし」

ゆき 「そうだよ」


ヨネ 「だからな。それは俺にも言えるセリフで別に高校行かなくても世界で暮らせるかもしれないだろ。やってみなくちゃ分からない訳だし」

ゼン 「そうですね・・・。親はなんて言ってるんですか?」

ヨネ 「親とはもう1年以上話してないな」

ゼン ≪信じられない・・・≫

ヨネ 「もーいいや、お前等みたいな頭カタイやつと話してても無駄だ。帰る」


そういってヨネはゼン達の前から姿を消した。

ゼン 「ヨネ君・・・変わってますね」

ちえ 「そうだね。いろいろ悩む時期なんだよ」

ゆき 「世界へ行きたいなんて思ったことなかったな・・・」

しばらくヨネについて話した。

ゼン 「そろそろ帰りましょうか」

そういってゼン達は帰ることにした。

ゆきはゼンとちえのラブラブを邪魔しないようにと
コンビニで雑誌読んで帰るといいゼン達の前から去った。


ちえ 「ねえ・・・ゼン君。もし私が死んだらゼン君泣いてくれる?」

ゼン 「・・・泣くけど。なんで急にそんなこと言うんですか?」

ちえ 「ヨネ君の彼女が死んだって聞いてさちょっと聞いてみただけ」

ゼン 「ああ。そうゆうことですか」

ちえ 「ってこの前敬語使わないって約束したばっかじゃない!」

ゼン 「すいません・・・」


ちえを家まで送りゼンは自宅へ帰った。

ゼンの家。

ゼン ≪大丈夫かな・・・ヨネ君・・・≫

そうは思いながらもどうすることもできないゼンであった。


翌日。


ゼンは学校へ行った。

教室へ入り少しゆきと話をしているとチャイムが鳴り・・・


「ざわざわざわざわ・・・」

生徒達が先生が来ないこと気付きざわめく。


ゼン 「ちょっと先生呼んできますね」

ゼンは自分からそういうと職員室へ向かった。

職員室。

ゼン 「失礼します」

ゼンの目の前には机に座っている担任の先生とそれを囲む先生や教頭先生たちがたくさんいた。



担任 「ああ、ゼン君か。今替わりの先生に教室に行ってもらったよ」

ゼン 「どうしたんですか?」

担任 「隠しててもしょうがないな・・・昨日ヨネとなんか話したか?」

ゼン 「なんか進路のことで悩んでましたけど。相談されました。」

担任 「そうか・・・はあー実は今なヨネ君のお母さんが学校へ来てヨネ君が書いたと思われる手紙を持ってきたんだよ」

ゼン 「手紙ですか?」

担任 「教頭先生は遺書に近いって言うけど・・・読むか?」

担任の先生はゼンの普段の行動からゼンを信じてヨネの手紙をゼンにみせた。

ゼンはその手紙を読んだ。

---
手紙内容。


最近よく全てがどうでもよくなってしまうときがある。

でも殴られたときの痛さと同じでやがて消えるんだ。
昨日もそうだった。胸が苦しく死にたかった。



現状は常ならず。
今日金がなくても明日あるかもしれない。
今頭悪くても1ヵ月後は頭よくなってるかもしれない。

どうでもよくなっている今でも明日は
どうでもいいなんて言えなくなっているかもしれない。

なにか新しいものをやろうとするときはいつも一番下。

この世にはおいしい話はなくて全ては積み重ねで。
生まれたときからすでに出来ているルールがあって
それに合わせないと生きていけないんだ。

子供は親から生まれるのではなく親に作られるもの。

生まれたくて生まれたやつなんていないけど、、
子供がほしくて生んだ親ならたくさんいる。

親は子を選べず子も親は選べない・・・。

積み重ね・・・

生きている理由なんてないんだと思う。

子供がオモチャを作る。
オモチャはその作った子供を喜ばせるために生まれたもの。

そう考えると子供は親のオモチャ。

しかし人間はオモチャではなく。人。

自分の考えを持ち行動するようになり・・・

時間がたてば親の元を離れ自由に生きるんだ。

そして子供は・・・自分を作ったように自分の子供を作る・・・。

子供はオモチャなんだ。
今の大人はその親のおもちゃ。

そう考えると・・・。
作られた俺達の人生の目的はない・・・。
あるとすれば親を楽しませること。





太陽の光がだんだん弱くなってきているらしい・・・

地球が滅ぶそのときまで・・・

人間は子孫を残すんだ。

全ての人間が地球から消えたって

どうもならないのに。なぜ俺達は生きているんだろう。

神様なんていないのに・・・。

毎日仏に頭を下げているばあさんをみると悲しくなる・・・

宗教は・・・昔頭の良かったやつが楽に金儲けするために作ったものだと思う。

自分の祖先に祈ってるって・・・母さんは言ってたけど
祖先は・・・子供が欲しかったから作っただけのこと・・・さっき書いたよな・・・。

「生まれてきてよかった」なんて生まれてこなければ分からなかった。

天国地獄もなく・・・人が死ねば灰になり煙となって消えるだけ。



それでも俺達は生きるようプログラムされている。


なぜ生きなければならないのか・・・わからない。

なぜがんばらなければならないのか・・・分からない。





ただ生きているだけではつまらないから・・・夢を持ち・・・

夢は儚く・・・。全てを犠牲にしても掴めないこともある・・・。


急に好きだった人が死に・・・100年経てば今生きている人はいなくなる・・・。

それでも俺達は生きるようプログラムされている・・・


人類はRPGのようにエンディングがあるわけではないだろうし

どれだけ子孫が長生きしようが・・・死ぬ俺達はただの・・・繋ぎ目。

バトンを次へ渡す・・・ゴールはないのに・・バトンを渡す・・・。

俺達はたぶんまだ人類ができてから最初のほうの人間なんだろう・・・


これから俺達の子孫が何を感じ・・・どう生きていくのかは分からない。

あと1000年もすりゃだれかが人生の目的・・・子孫を残す意味をはっきりさせるかもしれない。

でもいまの俺達はあと100年で死ぬ・・・。


生きててなにが面白いのか・・・。

親や先生に夢を語れば高校へ行けという。

一回しかない人生でみんなと同じレールの上を走るのが嫌になった俺・・・

どうせ一回しかない人生なら・・・好き放題やらせて欲しい。

高校は義務教育じゃないんだ・・・だったら行く必要ないってことじゃないのか。


好きだった彼女が先月交通事故で死んだんだ・・・。

絶対守ると約束した彼女が死んだんだ。

元気だった彼女が急に死んだんだ・・・

人はいつ死ぬか分からない・・・やりたいこともできない人生なんて・・・もうウンザリだ。

---


ゼン 「これは?・・・」

担任 「ヨネ君がこんなに悩んでるなんて知らなかった。ただ世界を旅したいとしか言わなかったし」

ゼン 「それでヨネ君は今どこにいるんですか?」

担任 「それが分からないんだ」

ゼンは頭で考える前に声がでた。

ゼン 「必ず探して連れてきます」

ゼンは教室を飛び出した。

担任 「え・・・っていうかゼン君・・・授業は・・・?」


職員室を飛び出したゼンではあったがヨネがどこに行ったかなんてわかるはずも無かった。

ゼン 「とりあえずヨネ君の家に行って話を聞けば分かるかもしれない」

ゼンはヨネの家を知らない・・・。


一方・・・学校では。

ゆき 「ねーちえさん。ゼン君遅いね」

ちえ 「そうだね」

教室では担任の替わりの先生がSHR(ショートホームルーム)を行っていた。

ゆき 「先生ー。ゼン君はー?」

替わりの先生「知らないよー」

ゆき 「知らないのかよー」



SHRが終わるとゆきはゼンがなぜ教室へ戻ってこないのか心配になり職員室へ恐る恐る行った。

ゆき 「失礼しまーす」

担任 「あ。今度はゆき君かどうした?」

いち早くゆきの存在に気付いた担任の先生がゆきに話しかけてきた。

ゆき 「いや、ゼン君が教室に戻ってこないので・・・何してるのかなって思って」

担任 「ああ、ゼン君か・・・」

担任の先生は明らかに困ったような顔をしている。

ゆき 「どうしたんですか。あ!そういえばヨネ君も来てませんね」

ゆきはSHRで欠席の確認をしているときにヨネがいないことも疑問に思っていた。

ゆき 「まさか、ヨネ君となにか関係が?」

担任 「まあそうだね・・・・」

担任の先生は、ヨネが自殺した、もしくは自殺するのではないかと心配でどうすることもできず
イスに座ったまま両手で顔をふさいだ。

ゆきは机においてあったヨネの書いた手紙を発見し手に取った。

ゆき 「これは?・・・」

担任 「ん? あ! それは・・・」

ゆきはさっきゼンが読んだのと同じ手紙を読んだ。


ゆき 「そういうことですか。先生しっかりしてくださいよ!」

職員室には1限の授業が始まるということでほとんどの先生はいなかった。

ゆきの声が職員室中に響いた。

担任 「あ、ごめんごめん。まさかゆき君にそんなこと言われるなんて」

ゆき 「ゼン君はヨネ君を探しに行ったんですね?」

担任 「そうだと思う。けど・・・ゆき君は教室へ戻って授業を受けるんだこれ以上・・・」

担任の先生の話を最後まで聞かずにゆきもゼンと同様職員室を飛び出した。

担任 「・・・学校側としては生徒を外へ出すのは禁じられているんだけどなあ・・・」


その頃ゼンは、剣道で全国大会を制したときに親からのプレゼントで貰った携帯電話を使ってちえにメールしていた。

ゼン 【ヨネ君の家を知っている人いたら教えて欲しいのですが誰かに聞いてもらえませんか?}

ちえ 【っていうかゼン君今どこにいるの?】

ゼン 【今学校の外でヨネ君の家を探してるんですが】


ちえは・・・1限が始まっていたので先生にトイレに行くと言って
携帯を持ちトイレに入った。

ゼン 「あれ、電話だ」




ちえ 「もしもし。ゼン君?」

ゼン 「はい。ちえさんヨネ君の家誰か知っている人いたら教えてもらってください。
早くしないとヨネ君が自殺してしまうかもしれません」

ちえ 「え?それ本当?」

ゼン 「冗談だったらいいんですが、さっき担任の先生から事情を聞いて」

ちえ 「分かったわ。今から聞いてみる!」


ちえは勇気を振り絞って電話を切らないまま教室へ戻った。

ちえ 「この中でヨネ君の家知ってる人いるー?教えて欲しいんだけど」

1限の授業は数学で数学の先生もヨネが書いた手紙を読んでいたので
空気を読み。

数学の先生「誰か知ってるやついるか?いるなら教えてやれ!」

ちえの真面目な顔と秀才ということで先生も協力してくれた。


ちえ  「ゼン君分かったわ。ヨネ君の家は・・・・・・・・・」

ゼン  「ありがとう」

そういうとゼンは急いでちえから教えてもらった場所へ走った。



一方ヨネ。

ヨネは朝5時頃にあの手紙を書いたあと親には内緒で家を抜け出し死んでしまった彼女の事故現場と墓に行っていた。

ヨネ  「なんで俺だけに不幸が訪れるのなかなあ・・・」

赤信号やちょっとしたことでも大げさに全部自分が不幸な人間だから、運が無いからと思うようになっていた。

ヨネ  「よし。こんな世界なんてもう嫌だ。死のう」

ヨネは手紙を書く前から自殺することを決意していた。

ヨネは最初クビ吊りで死のうと思ったが・・・
いざロープをコンビニで買って公園の木にロープを吊るすと・・・

ヨネ  「だめだ・・・。自分からロープにクビを入れることなんてできない」

死のうと決めた者でも”いざ”となったら行動に移せないようだ。

ヨネ  「あーそうだ。どっか高いとこから飛び降りた方が楽かな。
それに彼女が死んだのは9時50分か・・・時間を合わせるのも悪くはないか」

ヨネはそう思い高そうなビルを探した。

が・・・そう簡単に死ねる高さのビルを見つけることができず。
できても屋上まで上がることができないでいた。

そんなことをしているうちに朝9時30分・・・。

ゼンがちえからヨネの家を知った時間となっていた。


結局ヨネは自宅のマンションから飛び降りるしかないと考え自宅に帰っていた。


9時35分。

ゆきはゼンに連絡と取ろうと何回もゼンの携帯に電話をかけたが繋がらず・・・

その原因はゼンが普段からマナーモードにしていたことと全力でヨネの家まで
走っていたことの2つだ。


仕方なくゆきはちえに電話をし・・・ちえからヨネの住所を聞いた。


9時40分。

ヨネは自宅のマンションの7階へ上がっていた。


ちょうどそのときゼンより先にヨネの家に着いたのはゆきだ!


ゼンは最初ヨネのマンションとは全く逆の方向に走っていたため遅れていた。


ゆきはヨネが7階から遠くを見つめているのを目で確認していた。

ゆき 「気付かれないように行こう!」

ゆきは自分の存在が気付かれると慌てて飛び降りてしまうのではないかと思いそういう行動を取った。

9時45分。

ゼンがやっとヨネのマンションまで着こうとしていた。

ゆきは7階にいてヨネの背中を確認できる位置まで近づいていた。


9時46分。

ヨネは携帯で彼女の写真を見て泣いていた。
ヨネ 「46分か」

そういうとヨネは彼女が死んでから吸うようになったタバコを
吸っおうとポケットからライターを出そうと下を向いた瞬間。

ヨネ 「あれ?ゆき?なんでおまえここにいるんだよ?」

そうヨネが言い終わるかどうかのときゆきはヨネに飛び掛って押さえつけた。

ヨネ 「おいやめろよ!!!なんだよ?まさかあの手紙読んだのか?ハハハハ・・・あれは冗談だよ」

ゆき 「え?・・・冗談?」

ヨネ 「俺は死なないよいいから放せ!!」

ゆき 「あ。ごめん」

ヨネ 「まさかお前わざわざ学校から抜け出して俺を助けようなんて思ったのか?ハハハッ」

ゆき 「何がおかしいんだよ」

ヨネ 「お前もバカだねーーーーーーーーーーーーーー」

ゆき 「え?」


ヨネがお前もバカだねーーーーーーと言うと同時に素早くヨネは7階から飛び降りた!!!

それは9時49分のことだった。

ゆき 「うわあああああ。しまったああああ」


ゆきはマンションの下を見ることができず腰を抜かしてしりもちをついていた。

ゆき 「うはあ・・・俺が嘘だと気付けば・・・」


本当にヨネはマンションの7階から飛び降りたのだ。


・・・
ヨネが飛び降りる2分前。

9時46分 ゼン!


ゼンは7階でヨネが遠くを眺めているのを見ていた。
ゼン 「はぁはぁ・・よかった。ヨネ君・・・生きてる・・・はぁはぁ・・・」

全力で走っていたのでさすがのゼンも息切れを起こしていた。

ゼンはゆっくりとヨネを確認しながらマンションのそばまで近づいていった。

ゼン 「あそこから落ちるとか考えてたりしないですよね・・・(笑)」

ゼンはそんなことを想像していた。

ゼン 「とにかくヨネ君と会って話さないと」

ゼンはそう思い呼吸が元に戻るのを待っていると


ゆきの声が!

ゆき 「うわあああぁぁぁぁぁーーーしまったぁぁあ!」


ゼン 「ん?」


ゼンはゆきの大声に気付きヨネがいた7階を見上げると・・・


ヨネが上から降ってきた!!!
ヨネは死を覚悟して目をつぶっている。



ゼンは慌ててヨネの落下地点へ走った!










ゼン 「絶対死なせるもんか!!!」





ゼンは体中に気合を入れて両手を前へ出した。

両腕でヨネを受け止める格好になった!

そしてヨネがちょうどゼンの両腕へ振ってきた。

「バキバキバキッ!!!」





骨が折れるすさまじい音!!!







ゼン  「うわあああああああああああああああああ!!!」

全国の中学生の中でもトップクラスの肉体を持つゼンであったが同級生一人を
マンションの7階から落ちる重力とそれを支えるだけの筋力はなくゼンの両腕は折れさらに・・・

ヨネは地面に落ちた!

ゼン  「うはああ・・・痛い。痛い!!」

ヨネは気を失って倒れている。

気合ではどうすることもできない痛みがゼンの両腕から脳に伝わり
ゼンはそのまま気絶しヨネのとなりに倒れた。

それはちょうど9時50分のことだった。



9時50分ヨネのマンションの7階。
ゆき 「・・・?」

ゆきは下でゼンの叫び声がするのが聞こえた。

そしてゆきだけではなくマンションに住む住人や道を歩いている人にも聞こえていた。

ゆきは・・・下でヨネが死んでいると思ってなかなか下を見ることができなかったが
ゼンの声も聞こえたのでそっと下を見てみると・・・



ゆき 「うわ・・・やっぱ死んでる?・・・」

ゆきは下で起こっていることをすぐには理解できなかった。

ゆき 「あれ?・・・なんで二人倒れてるんだ!あ!まさかヨネ君人に当たったな?」


ゆきは気が動転しているようだ。


ゆきはそれでも慌てて下へ降りてきた。

そのときはには既にマンションの住民が気付いており救急車を呼ぶ手配をしていた。

そしてゼンとヨネの周りには10人以上の野次馬が集まり・・・

おっさん  「おい。大丈夫か?おい!」
 
おばさん  「ちょっと・・・この子の手折れてないか?」

女子高生A 「あれ?この人この前新聞に出てた剣道の子じゃない?」

女子高生B 「あーほんとだ」



「ざわざわざわざわ・・・」

野次馬達は好き放題言っている。




ゼンもヨネも気絶してなんの反応もない。

そこへゆきが駆け寄ってきた。


ゆき 「ちょっとどいてください。僕の友達です」

ゆきはそういってゼンの元に駆け寄りゼンの耳元に話しかけた。

ゆき 「ゼン君しっかりして!」

ゼン 「ぅぅ・・・」

ゼンは目を閉じたまま意識朦朧(もうろう)としている。


ゆきの目からは涙が溢れ出した。

ゆき 「死んじゃだめだよ。ねえ。ゼン君もヨネ君も!!」

おばさん「まさかこの子上から飛び降りたのかい?それじゃあ助からないね」


ゆきには野次馬の声は届かない。


5分後・・・やっと救急車が来た。

救急隊 「どいてどいて」

救急隊は慣れた手つきでゼンとヨネが生きているのか脈を調べた。


救急隊員 「・・・」

ゆき 「大丈夫ですか?」

ゆきは恐る恐る救急隊に聞いた。

救急隊 「二人とも脈はある。病院に運ぶからどいて」

ゆき  「・・・。 みんな退いて下さい!!!」

ゆきは一刻を争うと思い野次馬達をどけさせ救急車へゼンとヨネを運べるようにした。
さらにゆきは救急車に同乗し病院へと向かった。

病院廊下。

ゼンとヨネが集中治療室へ入って3時間が経過していた。

ゆきは学校とゼンの家に電話をして連絡と取っていた。

学校からヨネの家に連絡が入り・・・


今ゆきの周りにはゼンの母親ヨネの母親、学校の担任がいる。

ゼンの母親は心配そうな顔をして担任と話しているがヨネの母親は泣いていた。

ゆきは長いすに座り下を見ながら祈っていた。


それからさらにしばらくすると集中治療室から看護婦さんと一緒に両腕をギブスで固定されたゼンが出てきた。

ゼン母 「ゼン!大丈夫?」

ゼンの母親がいち早くゼンに気付き廊下にいた全員がゼンの方を向いた。

ゼン  「おっ!みんなどうしたんですか。両腕折れただけで元気ですよ(笑)」

ゼンはニコッと笑った。

ヨネ母 「聖(さとし)は?」

ゼン  「なんとか大丈夫みたいです」

ゆき  「さとし?」

ゼン  「ゆき君どうしたんですか?ヨネ君の名前はさとしですよ。本名は米長聖(よねながさとし)です」

ゆき  「そうだったんだ・・・みんなヨネ君って呼ぶから知らなかった」

ゼン  「クラスメイトの本名ぐらい覚えておきましょうよ(笑)」

ヨネ母 「で、聖は今?」

ゼン  「もうすぐ出てくると思います」


そういうとゼンの後ろから車椅子に乗ったヨネが出てきた。

ヨネは頭に包帯を巻いていて腰も白い布のようなもので固定されていた。

ヨネ母 「さとしっっ!」
ヨネの第一声は・・・











ヨネ  「なんでお前がいるんだよ。クソババア!!」

担任  「・・・」
担任は母親をお前呼ばわりしているヨネに言う言葉がなかった。


ゼン母 「げ・・・元気な子ねえ・・・」

ゼン  「あはははっ」

ゆき  「本当だよ。それだけ大きな声が出れば問題ないね」

ヨネ  「ちょっと頭から血が出てただけで問題ないって」

ゆき  「それ大問題だよ」

ゼン母 「あはははっ。あははははっ」

ゼン  「母さん、笑いすぎです・・・」


そんなとき後ろから医者が出てきた。

医者  「みなさんどうも」

ゼン母 「先生詳しいことを教えてください」

医者  「分かりました。二人は見て分かる通り大丈夫です。が・・・」

ゼン母 「が・・・?」

医者  「今日は大事をとって入院させます。ゼン君の腕は全治三ヶ月と重症ですし」

ゼン  「三ヶ月ですか?」

医者  「はい。詳しいこと言っても分からないと思うので簡単にいうと奇跡的な状況です。
普通なら腕が取れててもおかしくない」

ゼン母 「よかったわねえ。剣道やってたおかげよ」

ゼン  「あ・・・はい」


ヨネ母 「ありがとうございます。こんな子でも救ってくれて・・・」
ヨネの母親はヨネの無事な姿をみてさらに泣いていた。

ゼン  「あそこで手を出さなかったら一生後悔が残ります。誰でも助けますよ(笑)
それにもしもこの手が一生使い物にならないものになっても後悔しませんよ」

ヨネ母 「なんてお礼を言えばいいのか・・・ありがとうございます」

ゼン  「僕だけじゃなくてゆき君にもお願いします。先にヨネ君のところに着いたのはゆき君ですし」

ヨネ母 「ありがとうございます」

ゆき  「いや・・・僕は何も・・・」


そんなこんなでゼンとヨネは無事だった。

ヨネはそれ以来少しおかしな言動はするようになったが日常生活には問題はないものだった。

問題なのはゼンだった。翌日退院して家に帰ったものの両腕が使い物にならない。

食事をするにも服を着替えるにも風呂に入るにもトイレに行くにも・・・なにも一人ではできない状態だった。

もちろん大好きな運動もできず剣道部の顧問の先生には事情を話し部活にも顔を出さなくなった。


それから1週間が経った。

学校。

両腕が折れたゼンは文字を書くこともできずちえやゆきがゼンのノートを作っていた。

ゼン  「すいませんね。ちえさん」

ちえ  「いいよー」

ちえは正直嬉しかった。今までのゼンは全て完璧でちえがやれることは何1つなかったからだった。
前々からちえはゼンの役に立ちたかったので丁度良い機会だった。

給食の時間。

ちえ  「あーーーーん。はーーいゼン君お口開けてー」

ゼン  「・・・」

ちえは周りを気にせずゼンの世話をしていた。

ゼン  「ちえさん恥ずかしいですって」

ちえ  「いいじゃん私達付き合ってるんだから」

ちえはゼンが両腕を折ってから前より明るくなっていつも笑顔を絶やさなかった。

ゼンは両腕の負傷で部活に参加しなくなり家に帰っても勉強も筋トレもできないのでいつもちえと遊んでいた。

ちえにとってゼンと付き合ってから一番楽しい時間が流れていた。

ゼン  「ちえさんいつもすいません」

ちえ  「いいんだって。困ったときはお互い様でしょ」

ゼンはちえに謝りっぱなしだった。

一方ヨネは・・・

一度は死ぬと覚悟し飛び降りまでしたヨネは学校には来ていない。

ヨネの夢は依然変わらず世界旅。
そのまえにヨネは日本を歩いて一周すると言い頭の包帯が取れた頃に家を出て行った。

家族はヨネを止めることはできなかった。

---
さとし・・・聖。

実はヨネの両親にはヨネより先に生まれてくるはずの子供がいた。

その子は出産時に大変な難産になり赤ちゃんを救うと母親が死に
母親を助けると赤ちゃんが死ぬという状況になった。

医者は止むを得ず母親の命を優先し赤ちゃんを死なせた。


そんなことがあり・・・
次に生まれてくる子は絶対生きて欲しいということから生まれる前から名前を「生」にしようと考えていた。

それだとヒネリがないと思ったヨネの父親が
「生→聖(せい)→聖(さとし)」という名にしたことをヨネが知ったのはずっと先のことだ。



---

あまりにもゼンとちえがいい感じだったので
ゼンの母親はこのままゼンが骨折していても良いなんて思ってたりもしていた。



それから3ヶ月が経ち。ゼンはギブスを外し治った腕を見ると・・・

ゼン  「うわっ!!腕細くなってる!!!」

ゼンは衝撃を受けまた筋トレを励むようになった。

それからゼンはちえに世話してもらっているときに約束した遊園地デートの約束を果たすために
ある日の日曜日遊園地に向かった。

ゼン母 「あの子たち受験生なの分かってるのかしら・・・もう1月よ(汗)」


そうはいいながらもゼンとちえの成績は1年のときから同じで1位と2位をつねに競い合っていた。


そしてゼンとちえとゆきはその中学からいける
距離で一番頭の良いとされている公立高校へ進学すると決め勉強に励んでいた。

1月下旬のある日。学校。

ゼン  「ふー。疲れましたねー」

ゼン達は学校の放課後学校に残って勉強していた。

ちえ  「そろそろ帰ろっかー」

ゆき  「そうだね」


そんな話をしていると担任の先生が戸締りの確認にやってきた。

担任 「まだやってたのか。もう帰れよー」

ゼン 「すいません。いつも」

そういって学校を後にした。

ゆきは・・・いつものようにゼンとちえに気を使いコンビニに立ちよると言いゼン達と別れた。

ちえ 「最近毎日勉強で疲れるねー」

ゼン 「そうですね。でも仕方ないですよ」

ちえ 「そうだよね。受かるまでの辛抱かあ」

ゼン 「入試終わったらまた遊園地行きましょう」

ちえ 「うん」


そして入試。3人は持てる力を発揮した。

さらに時間は進み卒業式。

答辞を読むのはゼン。

ゼン 「今日無事に卒業することができるのはここにいらっしゃる先生方を始め家族や地域の方々に支えられてきたおかげです。
本当にありがとうございました。まだまだ未熟者の私達ですが
これからも精一杯夢に向かって生きていくので今まで通り暖かく見守っていてください」

ゼンは自信を持ちはっきりとした声で体育館中に響く声で答辞を読み上げた。

体育館の影からは旅の途中のヨネがそーっと卒業式を見守っていた・・・


卒業式が終わり教室へ帰ると担任の先生が泣きだしそれにつられて女子達が泣く。

なぜかゼンもゆきも泣いていた。


そして下級生達の見送りの後解散。

ゼンは運動場から校舎を眺めていると後ろから「トン、トン」とゼンの肩を叩かれた。

ゼン 「うわっヨネ君!」

ヨネ 「静かにしてよ。みんなにバレたくないんだ」

ゼン 「で・・・でも」

ヨネ 「それにもう解散した後だろ」

ゼン 「それでも・・・」

ヨネ 「いいんだよ、俺はゼンに一言言いたかっただけなんだから」

ゼン 「え?」

ヨネ 「ありがとな。俺生きることにしたよ。日本中を歩いて旅したらみんな優しくしてくれて・・・」

ヨネの話を全部聞くまえにゼンが言った。

ゼン 「そっか!良かった」

ヨネ 「・・・本当にありがとなー」

ゼン 「はい」

ヨネ 「じゃあ俺これからまた行くんだ。またなー」

ゼン 「はい。また会いましょう」

ヨネはそれだけを言いに広島から帰ってきてまた広島へ戻っていった・・・。



ゼン 「あー最後の心残りが晴れた。すっきりしたー」

ちえ 「おーいゼン君ー」

遠くでちえが呼んだ。

ゼン 「はーい」

ちえ 「写真撮るよー」

ゼン 「今行きますー」

そういってゼンはちえのいるほうへ走っていった。


---
ゼン1部終わり。






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