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完全犯罪 第3部 1ページ目

最終更新日4月30日

<2部最後>
無事高校を卒業したアク達は愛知からヒッチハイクで東京八王子へついた。
あきとあゆみが住んでいるという世田谷に行く予定だったが・・・。


ミッキー  「東京つっても、高いビルとかあんまないねー」

ユージ   「たぶん東京つってもいろいろなんだよ」

アク    「東京タワーとか上ってみるかー?」

ミッキー  「いいねー!」

ユージ   「遠足気分も悪くないね。どうせすぐ飽きちゃうだろうし」

アク    「よし、世田谷は置いといてまず東京タワー行こう!」

ユージ   「東京タワーってどこだろ?」

アク    「・・・どこだ(笑)」

ミッキー  「まあ、困ったときは、人に聞くのが一番はやい」

ミッキーは、前から歩いてくるおばさんに話掛けた。

ミッキー  「すいませーん。東京タワーってどこですかー?」

おばさん  「はい?ああ、東京タワーなら港区にある」

ミッキー  「ありがとうございます」

おばさんは去っていった。

ミッキー  「港区だって」

アク ユージ 「だ・か・ら、港区って・・・どこだよ」

ミッキー 「どこだろ(笑)」

アク達はとりあえず近くにあった駅へ足を運んだ。

ユージ   「やっぱ東京と言ったら電車でしょー」

ミッキー  「おー」

アク    「とりあえず、乗る乗らないどっちにしろ港区がどこにあるのか駅員に聞いてみようぜ」

ユージ   「それがいいな」

アク達は地下のホームへ薄汚い階段を下りて行った。

駅員    「港区?ここだよ」

駅員さんは地図を見ながら指さした。

ユージ   「すいません、世田谷もついでに場所教えて下さい」

駅員    「世田谷はここだ」

ミッキー  「げっ!世田谷より港区のほうが遠いね」

アク    「そうだな。とりあえず電車で東京タワーまで行ってみるか」

駅員さんと別れ電車に乗って振られるアク達。
八王子では都会の真ん中というイメージはつかめなく
「愛知と変わらないな」そんなイメージを3人は持っていた。

だが、都会の中心に行くに連れて・・・

ミッキー  「なんかさ、結構人乗ってきたね」

ユージ   「そうだね。昼間なのにスーツ着たおっさん多いな」

アク    「さっきピンク色の髪の人いたぞ」

ユージ   「宇宙人じゃね?(笑)」

東京の雰囲気に慣れないままアク達は東京タワーを目指す。

40分ほど経っただろうか、新宿駅についた。

アク    「あ!新宿で乗り換えとか行ってた気がする」

ミッキー  「言ってた言ってた」

ユージ   「新宿ってよくテレビで聞くよなあ。とりあえず降りよう」

アク達は新宿で電車を降りた。

アク    「やばいよ。ここ東京だ」

ユージ   「ああ、ここ東京だね(笑)」

ミッキー  「うんまあ、テレビで見てたとこだ(笑)」

とりあえず、駅が大きく今日は祭りか博覧会でもあるのか?というぐらいの人がいる。

アク    「こんな一気にたくさんの人見たことないな」

ユージ   「どうする?新宿歩いてみる?」

アク    「いや、東京タワーを目指そう。余計上から見てみたくなった」

ユージ   「よし、じゃあ次は赤羽橋だ」

ミッキー  「行こう」

人の多さに不安を感じながらもアク達は歩を進めるしか方法がなく後戻りはできなかった。

赤羽橋へつきちょっと上を見上げると東京タワーが見える。

アク    「もう夕方か、やっぱ疲れるよな移動は」

ユージ   「ああ、風呂も入ってねーし」

ミッキー  「うまいもんも食いたいね」

東京タワーが目に映ったことでアク達の張り詰めていた緊張の糸も少し緩んだようだ。

歩くこと5分。東京タワーの真下へついた。


アク    「上ろう」

ユージ   「ジャンケンで負けたやつは階段な(笑)」

ミッキー  「いやいやいや・・・そんな必要どこにもない」

ミッキーは自分の立場をよくわかっている。こんなところでジャンケンしたらミッキーが負けるまで
いい訳つけられて結局ミッキーが負けてしまうのだ。

ユージ   「冗談だよ。とっとと行こう」

アク達は料金を払い東京タワーの大展望台まで行った。

アク    「おおお」

夕日の光に染まっていく東京の風景。

ユージ   「想像していたよりやっぱすげぇや」

ミッキー  「うん。ってかすっげぇ高いビルあるね」

ユージ   「ああ、さすが東京だね」

アクは小さな声でつぶやいた。
アク    「なんか全部俺の物にしたいな・・・」

ユージ   「え?アク今なんかいった?」

アク    「いや、何もー」

展望台を一周してアク達は下へ降りた。

ミッキー  「もうだめだ。飯食べいこー」


アク    「いこっか」

ユージ   「適当にファミレスだなー」

3人は近くのファミレスに入り東京の飯を楽しんだ。

ユージ   「そろそろ、日も暮れてきたな」

アク    「そうだ、やばい。俺達家ないじゃん」

ミッキー  「お!ってことはあき姫の家にお泊りかなー」

アク    「あき姫・・・はいいとして今売り出し中のアイドルの家に男3人でお泊りは無理だろ・・・」

ユージ   「でもまあ、あきには会いたいね」

アク    「そうだ。けんたも東京にいるはずだ」

ユージ   「あきに電話してみようよ」

アク    「そうだね。もしかしたら繋がるかもしれないし」

ミッキー  「俺達なにかと強運だから大丈夫だよ」

ユージ   「どこが強運だよ(笑)ここまで3日もかかってるんだぞ」

ミッキー  「まあ気持ちって大事じゃん?(笑)」

アク    「まあまあ、とりあえず電話してみる」

アクは、あきに電話した。

アク    「もしもーし」

あき    「はい?アク?」

アク    「あーうん。今時間ある?」

あき    「あるけどどうしたの?」

アク    「今さー東京タワーの近くのファミレスで飯食ってんだけど」

あき    「え?東京タワーって東京じゃない。ウソでしょ?」

アク    「まじだってー。あとユージとミッキーも一緒にいるんだ」

あき    「うそー。で、何?」

アク    「えっとー、俺達今日から東京で暮らそうと思うんだけど家ないんだよね・・・」

あき    「・・・ん?・・・。それで?」

アク    「うんと・・・泊めて♪(はぁと)」

あき    「ちょっと待って今私もそっち行くから」

アク    「あれ?あき今日仕事じゃないの?」

あき    「今日あったけど3時に終わったんだ」

アク    「あゆみもいるの?」

あき    「いるよ。じゃあ一緒に行こうかな」

アク    「ああ。そのほうがミッキーのテンションもあがると思うし」

あき    「あはは。でもミッキー普段からテンション高いでしょ」

アク    「ああ、一応」

あき    「じゃあとりあえずそっち向かうからもうちょっと待ってて」

アク    「わかった。じゃまた」

電話を切った。

アク    「ここ来るって」

ミッキー  「わぁい。芸能人と会える」

ユージ   「あはは。でもそうか。このまえコンビニの雑誌の表紙だったし」

あきとあゆみを待つこと40分。あきたちがやってきた。

ユージ   「来たんじゃないか?あれそうだろ?」

アク    「あれだね。ちょっと呼んでくるわ」

アクは席を立ちファミレスの外へ出た。

ミッキー  「なんで二人とも変装してないんだろうね」

ユージ   「東京ってそういう街らしいよ」

アクは二人を連れて戻ってきた。

あき    「お待たせー」

あゆみ   「久しぶりー」

ユージ   「久しぶりー」

ミッキー  「ひっさー」

あゆみ   「なんで東京いんの?」

アク    「えっとね。面白いかなと思ってこっちで暮らそうと思ってね」

あゆみ   「あー、ちょっとその気持ちわかる。一回は東京で暮らしたいってね」

ユージ   「どうなの?仕事の調子は?」

あゆみ   「面白いよー。来月やっとセカンドシングルでるんだ」

アク    「せ、せかんど?」

ミッキー  「あれ、一枚目って出たの?」

あき    「そういうこと聞くかなー」

ユージ   「それっていつ出したの?」

あゆみ   「えっと、去年の10月だっけなー」

アク    「ああ、俺達が金集めしてたときか。あのころはテレビとか見てなかったからなあ」

あき    「テレビか、テレビはちらっとしかでてないしー。雑誌中心だよ」

ユージ   「なんか芸能界って難しいね」

ミッキー  「モデルなんだね?」

あゆみ   「んー。一応歌手なんだけど・・・」

あき    「でもね、今回のセカンドシングルは自信あるし」

あゆみ   「あるもんねー」

アク    「まあ、いきなり売れるわけないしね、当然かー」

あき    「そうだよ、私達よりかわいくて歌うまい人たちたくさんいるし」

アク    「まあおれたちもなんかあったら協力するよ」

あゆみ   「お。じゃあサクラでもやってもらおうか」

アク    「あは・・・(サクラってスロットかよ)」

ユージ   「ってかそういう話は置いといて、そろそろ俺達の家のこと考えようか」

アク    「そうだな」

あゆみ   「え?家?あっそっか。こっちで住むんだったね」

ミッキー  「とりあえず今日は遅いから泊めてー」

あゆみ   「えー。」

アク    「えっと二人は同じマンション?」

あき    「そうだよー。プロダクションが持ってるマンション」

アク    「それって俺達入れないんじゃ・・・?」

あゆみ   「でも、ほかの子達は普通にお兄ちゃんとか言って入れてるけど」

あき    「っていうかまずばれないねー」

ユージ   「なんか、ゆるいなあ」

あき    「えっとねー、自己責任だって。スキャンダルでだめになっても知らないよってこと」

アク    「自由でいいな」

あき    「言い忘れてたけど、昨日けんたと偶然街であったよ」

アク    「え?けんた?」

あき    「なんか背も高くなっててすごく変わってたからあっちから声掛けてもらえなかったら気づかなかった」

アク    「へーそうなんだー」

あゆみ   「それってさ、けんた君の家に泊まればよくない?」

アク    「あ・・・」

ミッキー  「あちゃ・・・」

ユージ   「そっかこっちでもまたけんたの世話になるんだ・・・俺達(笑)」

アク    「じゃあちょっと電話してみるね・・・」

アク    「もしもーし」

あき    「出るかなー?」

けんた   「もしもーし」

アク    「おっ!けんた?」

けんた   「うん。久しぶりー」

アク    「久しぶりー」

ユージ   「ホント久しぶりだなあいつ・・・」

アク    「今さー東京いるんだけどー、けんたもいるんだろ?あきから聞いてるぜ」

けんた   「あーうん。俺東大受かったからいるよ。昨日あきにも偶然会ったし最近ついてるんだ」

アク    「ついてるって、運じゃ入れないだろ・・・」

けんた   「あはは、まあ俺帰国子女だしね」

アク    「なんか、別の世界の人に感じるぜってそれホントなの?」

けんた   「まじまじって今東京いんの?」

アク    「ああ、でね、家無いから泊めてくれー」

けんた   「あはは、また俺の家に泊まるのか。あはは」

あゆみ   「笑われてるよ」

あき    「あはは。そりゃね(笑)」

けんた   「まあ、思ったよりいい部屋だからいいんだけど、ずっと一緒は無理だよ?」

アク    「ああ、最悪でも1週間ぐらいで出て行くよ。」

けんた   「今どこいるの?」

アク    「えっと今 世田谷のファミレスにいるよ。あきもユージもいるってかみんないる」

けんた   「みんなって?ミッキーだっけ?」

アク    「おう。あとあゆみもいる」

けんた   「あー姫かー(笑)会いたいなー」

アクは耳から携帯を離し。

アク    「東大生があゆみに会いたいってどうする?」

あゆみ   「いいんじゃない?アクの友達なんでしょ」

アク    「ああ、一番頼りになる親友かな」

ユージ ミッキー 「おいおい・・・」

あき    「あはっ。会ってみようよ。私たち明日から3週間ぐらい仕事うまってるし」

あゆみ   「まあそうだね!」

アク    「よしじゃあ今から会おっか」

けんた   「もしもーし」

アク    「会ってもいいってー」

けんた   「やったー。この前雑誌でみたとき惚れたっていっといて(笑)」

アク    「そっか、写真ではみたことあるんだね」

けんた   「うん。じゃあどうしようか。どうせ俺ん家泊まるならこっち来たほうが手間はぶけるよな」

アク    「そうだね。さすが東大生」

けんた   「そんなこと小学生でもわかるだろ(笑)」

あき    「なんか変わってない気がする。けんた」

ユージ   「だね」

アク    「じゃあ、文京区だっけ?そっち行くからついたらまた電話するわ」

けんた   「ああ、髪にワックスつけてキメとくわ」

アク    「ああ・・・好きにしといて」

アクは電話を切った。

ユージ   「よし行こうか」

あき    「いこーう」

5人は1台のタクシーに乗れないと思いジャンケンで2つのグループに分けた。

アク    「俺とあきとユージか」

ミッキー  ≪やっほお≫

あゆみ   「じゃあいこう」

文京区についた。

あき    「運転手さんこの辺でいいです」

タクシー運転手 「あいよ。仕事がんばってね」

あき   「え?知ってるの」

タクシー運転手 「ああ、これみて」

タクシー運転手はカバンの中から雑誌をだした。

あき   「あ、これあたしだ(笑)」

タクシー運転手 「やっほお、タクシー運転手になって初日で芸能人乗せるなんてさすが東京だぜ」

アク   「あはは」

あき   「応援よろしくー」

タクシー運転手 「じゃあこの雑誌にサイン書いて窓に貼っとこうか?」

ユージ  ≪そうすることで乗る客が増えるってか・・・≫

あき   「いいよー」

ユージ  ≪あきも軽いな・・・≫

タクシー運転手 「やったー、サインペン買っといてよかった」

そんなやり取りがありながらもタクシーを降りた。


あき  「サイン書いちゃった」

アク  「慣れたもんだったよ」

あき  「まだあんまり書いてないだよね」


ユージ 「まあ、けんたに電話しよ」

アク  「そだな」



けんた 「もしもーし、ついた?」

アク  「おうー」


5人はけんたと会いどうでもいいような話をしてあきとあゆみは自宅へ帰り

アク達3人はまたもやけんたの世話になることになった。


けんたのマンション。深夜2時。

アク  「すげーな、けんたの家はいつも・・・」

ユージ 「ああ、金かかってるよな」

ミッキー「ふかふかソファ〜いいな」

けんた 「ここ家賃が一ヶ月40万でネットやり放題でセキュリティーも万全だってよ」

アク  「けんたの親父さんって何してんの?」

けんた 「ああ、ある人に聞けば研究者と答えるしまた違う人に聞けば発明家とかいうし、よくわかんね」

アク  「とりあえずすごい人なんだね」

けんた 「ああ、この前アメリカの政府に呼ばれてたけど」

ユージ 「意味わかんね・・・」

ミッキー「うん・・・わかんね」

アク  「そういやけんたって背伸びたね」

けんた 「ああ、ここ3年で10センチぐらい伸びたんじゃないかな」

ミッキー「それで東大か・・・んー完璧だよね?」

ユージ 「うん・・・。ちなみに将来の夢とかあるんだろ?」

けんた 「ああ・・・アメリカで原爆作って金儲けがいいかな、なんて思ってる」

ユージ 「原爆???」

アク  「あはは、そりゃいい(笑)」

ミッキー「それいいのかな・・・」

けんた 「まあ今のは冗談だけどねー(笑)」

ミッキー「だよねー」

けんた 「そうそう、アクの夢はどうなった?そのためにこっち(東京)きたんだろ?」

アク  「ああ、その通り(笑)」

けんた 「やっぱアクはそうだよな」

ユージ 「アクはちょっと固いところあるよね、良い意味で」

アク  「そうかな?」

ユージ 「まあ自分では気づいてないだけだよ」

けんた 「じゃあまずは、東京の道を全部覚えたほうがいいね。逃げるとき迷子になったらヤバイし(笑)」

アク  「ああ、それは考えてた。あと仲間だ」

ミッキー「仲間はいるよね。昔デパートやったときは仲間がいたからできたようなもんだし」

ユージ 「そういや、あいつらそろそろ少年院から出てくるんじゃないか」

アク  「あ、そうかも。まあ携帯番号変わってないから出てきたら連絡くるでしょ」

ユージ 「でもあいつら愛知だ・・・」

ミッキー「あは・・・」


けんた 「そうそう、仕事とか当てあるの?」

アク  「無いよ、今日東京ついたばっかだし」

けんた 「街でチラシもらったんだけど、どっかのホストクラブが新しくオープンするんだって」

ミッキー「ホスト?・・・ってキャバクラの男バージョンだよね?」

けんた 「簡単にいえばね・・・」

ユージ 「ホストか・・・なんかもうそれしか無いような気もしてきたな・・・」

アク  「だよね・・・。俺達普通にバイトとかできそうにないしさ」

けんた 「じゃあ決まりだね」

アク達は翌日そのチラシをけんたからもらいそのホストクラブへ足を運んだ。

ユージ 「しかし、けんたもよくこんなチラシ持って帰るよなあ。俺ならすぐ捨てるけど」

アク  「俺達が来るの分かってたんじゃないの?」

ミッキー「さすが東大生だね」

ユージ 「たぶんそれ東大とか関係ないと思う」

アク  「まあどんなもんかものはためしだ。行こう」

アク達は新宿歌舞伎町へ。


ユージ 「文京区から新宿って近いね」

アク  「そうだね」

ミッキー「ワクワク」


アク達はチラシを見ながら店がオープンするという場所へ向かった。


男A  「おい、急げ急げ!!間に合わねえぞ!」

男B  「わかってるってー」

男A  「はよ、机持ってこんかい!」


ユージ 「あれれ・・・。内装まだだね(笑)」

アク  「大丈夫かここ・・・」

ミッキー「ってか、チラシの店ここじゃないの?・・・」

アク  「あ!ここだ(笑)」

ユージ 「ってか今日の深夜12時からだろ・・・、今2時だけど間に合うのか」

アク  「中も結構広そうだし。無理だね」


男A  「おい、君、そのチラシ持ってるってことは働きたいんだね?」

ユージ ≪やけに、観察力あるな・・・≫

アク  「あー、一応・・・」

男A  「じゃあ手伝ってくれよ。カッコいいからお前働いていいぞ」

アク  「え?簡単ですね」

男A  「ああ、なんかお前売れそうだし」

アク  「この二人もいいですか?」

男A  「あ?あぁ、連れか。どうだろうなあ、まあ、まだ空きがあるからいいぜ」

ミッキー「俺らはおまけかよ(笑)」

ユージ 「まあ、いいじゃないの。働ければ。見返そうぜ」

男A  「俺はな、ここの社長のカネイチだ。まだ23なんだけどな」

ユージ 「23っすか?若いっすね」

カネイチ「ああ、金さえあればなんでもできるのがこの世界だ」

ユージはカネイチにただならぬ気配を感じた。

男B  「おーい、ってかお前らは何歳だ?まだわけーだろ?」

アク  「あー全員18です」

カネイチ「わっけえなあ。まあ表向きは20にしとくからな」

アク  「あーはい」

カネイチ「じゃあさっそくだがそのトラックから机とイス中に入れてくれー」

ミッキー「はーい」


もしろん、カネイチは101事件(ネット集団銀行強盗)のリーダーだ。

ユージ 「このテーブルはどこですかー?」

カネイチ「あーわからないことは、あの人に聞いて。あの人は副社長ね」

男C  「俺、ダイスケっていうんだ。よろしくな・・・ってお前ら・・・」

アク  「あ!ハイジャックの?」

ダイスケ「ああ、なんでここに」

アク  「いやいや、っていうか大学で化学の勉強してるって言ってたよね?」

ダイスケ「ああ、してたけど。大学いったらホストクラブの副社長しちゃだめか?」

アク  「いや・・・」

ダイスケ「まあ、話はあとだ。とりあえず荷物だけ中いれないと初日からだめだと一気に信用なくしちまう」

アク  「そうだな」

アク達はカネイチ、ダイスケと他に8人のメンバーで店の中に物を置いていった。

午後11時。

ダイスケ「ふーこれで完璧だなー」

アク達は高級そうな店のソファーに座って話している。

ダイスケ「アクに、ユージにミキヒサね。おっけ」

ダイスケはノートに名前を書いた。

ダイスケ「なんでお前らはここにいるんだ?地元愛知らしいじゃん」

ミッキー「ジャパニーズドリームをつかみにね」

カネイチ「いやいや、全然決まってねぇし」

ミッキー「あはは」

カネイチ「ってか、お前らは今日は見学な、とりあえずいきなり店出すわけにはいかんしな」

アク  「ホストは最初トイレ掃除かららしいけどそうなの?」

カネイチ「なんでおまえため口なんだよ。社長だぞ」

アク  「あ、すいません。で掃除やらなあかんの?」

カネイチ「・・・。」

ダイスケ「しかし、ハイジャックのときは面白かったな。あはは」

ユージ 「そうですね。ミッキーは犯人から銃奪うし」

ダイスケ「だよな。ハワイ行ったしなー」

カネイチ「おいおい、会話に社長も混ぜろって」

そんな雑談をしながら時間は過ぎ11時30分。


スーツでばっちり決めた店のホストが店の外へ出た。

ユージ 「この店の名前はー・・・。ホストクラブ、『ピカイチ』・・・ふざけた名前だな・・・」

ミッキー「まあ社長があれだしね」

ユージ 「どうやったら23でホストクラブの社長になれるか教えてほしいね」

ミッキー「今度聞いてみようよ」

ユージ 「そうだね」


アク  「なあ、あいつどう?」

アクは一人のホストに指さした。

ユージ 「ああ、あんなやつさっきいたっけ?」

ミッキー「なんか高校のときのつねおを思い出すな、独特の雰囲気持ってる」

アク  「でも、めちゃくちゃカッコいいよな」

ユージ 「ああ、カッコいいな。まだちょっと時間あるし話かけてみないか」

アク  「俺行ってくるわ」

アクは一人でカッコイイ男のほうへ向かった。

アク  「ねーねー。君、かっこいいね」

カッコイイ男「ん?そう?君たちもここで働くんだって?よろしくね」

アク  「よろしく。ちなみに名前なに?」

カッコイイ男「ああ、俺の名前とーるね。みんなと同じ18だ」

アク  ≪とーる、とーる?なんか昔ネットで読んだモテない少年と同じ名前だな。まさか?≫

アク  「ってさあ、君の初恋はまいって子じゃない?」

とーる 「え?・・・なんで知ってるの?」

アク  「まじかよー。あれからどうなったの?」

とーる 「あれからっていつだよ」

アク  「高校行ってからだよ」

とーる 「あー勉強もせずにな、ただひたすら3年間カッコよくなろうと思って生きてきただけだよ」

アク  「なるほどね。じゃあもう夢叶ったんだね」

とーる 「いやそれほどでもって・・・。俺の夢はまいと結婚することだし。」

アク  「へーそうなんだ。今まいと付き合ってるの?」

とーる 「ああ、先月からね。今生きててよかったってホント思うよ」

アク  「よかったな。なあ今日仕事終わったらちょっと話あるんだけど話さないか?」

とーる 「まいが家で待ってるからだめだ」

アク  「同棲してんのか、いいなあ。でも5分でいいんだ。頼む」

アクは、とーるを完全犯罪へ誘う仲間にしようと心に決めていた。

とーる 「5分ならいいか」

アク  「じゃあ仕事がんばって」

とーる 「おう」


アク  「大好きな彼女いるのにホストで働くって俺好みの性格だ(笑)」


しばらくするとアク達のいるホストクラブに客が集まってきた。

カネイチ「いらっしゃいませー」

ダイスケ「ようこそー」

ありふれた表現で来てくれた客に挨拶をするカネイチとダイスケ。

アク達もカネイチの支持で店に容易してあったスーツに着替えた。

深夜11時50分。店の外にいたホストは全員店内に入り営業がはじまった。

アク達は店内のカウンターのソファーに座って中の様子を見ている。

ユージ 「んーおばさんばっかだなあ」

アク  「マダムってやつか?(笑)」

ミッキー「金持ってるんだろうなあ」

ユージ 「あれ?カネイチも客の相手しだしたぞ」

アク  「社長自ら?(笑)」

ミッキー「てか、ダイスケもやってんじゃん」

アク  「人手不足かな?」

ユージ 「まあ、10人ぐらいしかいないしなー」


しばらくすると一人の若そうな女性が店へ入ってきた。

お姉さん「ねぇ。君達なんでソファーなんかに座ってるの?」

ユージ 「こんばんは、お客様ですか?」

お姉さん「そうよー!何座ってんのよー。店員なら立ちなさい!」

ミッキー「すいません」

3人はソファーから腰を上げた。

アク  ≪くせっ・・・既に酔ってる・・・≫

お姉さん「あーもう、席空いてる?飲ませろ」

ユージ 「あーちょっと待ってください」

ユージは店内を見渡した。

お姉さん「あ、あの人は?」

お姉さんはとーるを指さした。

ミッキー「とーるですねー。」

お姉さん「あのコとーるっていうのー。ふーん」

ユージ 「すぐに呼びますのでこちらの席へどうぞ」

お姉さん「待って!やっぱやめた!君でいいや」

お姉さんが次に指さしたのはアク。

アク  「俺ですか?・・・」

お姉さん「あー。よ〜く見たらとーるってコより私のタイプだ、あはは」

アク  「あはは・・・」≪って俺ホストしたことねえぞ・・・≫


開いていた席へアクとお姉さんは移動していった。

ユージ 「さすがだよねー」

ミッキー「うんっ」


カネイチ ≪あれっ。アクが接客か、出世はえーな≫

ダイスケ ≪アクかー。すぐNO1かな≫


お姉さん 「ねー、アクー。携帯番号教えてよー」

アク   「お客さん・・・もうボトル2本目ですよ」

お姉さん 「いいのよー。金ならあるんだからー」

アク   「そうじゃなくてね。体心配なんだ」

お姉さん 「えー、私の体の心配してくれるのー。うれしー」

アク   ≪あはは・・・≫

お姉さん 「あーもう。今日振られちゃってさー」

アク   「へーそうなんですかー。かわいーのに」

お姉さん 「そうかなー?」

アク   「うん。聞いていいかなー何で別れたの?」

お姉さんはベラベラ話し始めた。


カネイチ ダイスケ ユージ 「アク・・・ホストのセンス絶対ある!」



30分後。

アク  「そうなんですかー。へー」

お姉さん「何で、私の名前聞かないの?」

アク  「ああ。聞いてなかったっけ?」

お姉さん「私の名前はね、ミサキっていうんだ」

アク  「ミサキさんねー」

ミサキ 「さてと、そろそろ帰るかしらね」

アク  ≪・・・さっき彼氏に振られて帰る家ないっていってたのに≫

ミサキ 「あーそうだった。家ないんだ。今日はホテルにでも泊まるかー」

アク  「ねー、なんでそんな金あるの?」

ミサキ 「うちねー。親が医者やってるから。あはは月の小遣い40万」

アク  「40万?!」

ミサキ 「あはははは。友達なんて50万もらってるし普通だよ」

アク  ≪住んでる世界・・・違っ・・・≫

ミサキ 「私まだ学生なんだー」

アク  「そっかー」

ミサキ 「じゃー帰るね」

ミサキは席を立った。

アク  ≪足元フラフラかよ・・・≫

アクはとっさにミサキに自分の肩を貸した。

ミサキ 「ありがと」


40万近い金をキャッシュで払うとミサキは店の外へ出て行った。

ミッキー ユージ 「おつかれー」

アク   「おつー」

ユージ  「どうだった?」

アク   「なんとかなったかな。すごく疲れたけど。最初から酔ってたしね」

ユージ  「今のところアクが一番売り上げだしてるよ」

ミッキー 「そうだね。一人にボトル3本だもんな。しかも高いやつ」

アク   「おれも少し飲んじゃったけどね」


時間は過ぎて 閉店。


カネイチ 「おつかれ。オープンにしてはまあまあだったな」

ダイスケ 「引き抜きが成功したんだね」

カネイチ 「そうだな」


ダイスケ 「もうさ、明日からおまえら3人やっていいぞ」

ユージ  「お?」

カネイチ 「人手不足って実感したし、アクなんてもうやってただろ?」

アク   「ああ、すいません」

カネイチ 「まあいいんだけど。」


そんなこんなで1日目の営業は終わった。



アク   「おーーーい。とーーーるーー」

とーる  「あ!アクどうした?」

アク   「どうしたって。さっき5分時間くれっていったじゃん」

とーる  「ああ。そっかそっか」

アク   「ちょっとこっちきて」

アクは人気の少ない路地に入っていった。

アク   「ねえ。直球でいうけど、犯罪に興味ない?」

とーる  「え?犯罪?いやだ。せっかく人生最高だと思ってるのに、牢屋にはいるなんて」

アク   「そっか。そういうと思ったぜ。もう1つ質問いいか?」

とーる  「いいけど、はやくして」

アク   「そうせかすなって。なんで、ホストで働いてるんだ?」

とーる  「そんなもん、儲かるからに決まってんだろ」

アク   「まいには内緒?」

とーる  「え、まあ、言ってないけど」

アク   「なんて言ってあるんだ?」

とーる  「ファミレスで深夜バイトって」

アク   「そっか。金ほしいんだろ?」

とーる  「ああ、まいの親父さんが結婚したいなら2000万貯めて来いって」

アク   「2000万か。すげーなあ。でも2000万なんてホストじゃ何年かかるかわからないぜ?」

とーる  「まあ本気でがんばるからすぐだよ。今までだって努力して成功させてきたんだし」

アク   「バカだなー。毎回、家かえって酒臭かったらあやしまれてすぐバレちまうぞ」

とーる  「あ!」

アク   「ほらぁー。だろ?もうホストなんてやめてさホントにファミレスで働けよ」

とーる  「それじゃあ。一生2000万なんてたまらないよ!!!ふざけたこというな」

アク   「だーかーらー。俺らと一緒に犯罪しないかって言ってんだよ。」

とーる  「あほだな!犯罪してつかまったらすべて終わりだろうが!」

アク   「大丈夫。絶対捕まらない。俺達のやろうとしてるのは完全犯罪だ。2000万は最低やるよ」

とーる  「ホントかよ。信じられねえ」

アク   「でも、お前さ。それしか方法なくねえか?ホストなんてバレたら振られちゃうんじゃないのか?」

とーる  「まいは許してくれても、親父さんが許してくれそうにはない・・・か」

アク   「だろ?じゃあ決まりだ」

とーる  「それっていつやんだよ?」

アク   「ああ。仲間が集まり次第準備に入る。今はまだ少ないけど」

とーる  「仲間集めか。なんか、楽しそうだな」

アク   「だろー。とりあえず携帯番号交換しようぜ」

とーる  「お・おう」

アク達は携帯番号を交換した。

とーる  「じゃあおれ帰るね」

アク   「ちょっと待て一緒にコンビニいこう」

とーる  「いいけど」

アク   「おーい。ユージーミッキー帰るぞー」

ユージ  「ほいほい」

ユージとミッキーが路地の外で待っていた。

ミッキー 「全部聞かせてもらったよ。もう仲間だね」

とーる  「ああ、二人も仲間だったんだね」

アク   「まあとりあえずコンビニいこう」


アク達は近くのコンビニへよった。


アク   「ちょっとまってて」

アクは一人でコンビニに入りATMで50万を引き出した。

アク   「これやるよ」

ユージ  「え?」

とーる  「くれんの?」

アク   「ああ、ファミレスで働くんだろ。それに俺を信じてもらいたいから」

とーる  「ああ、じゃあ、信じるよ」

アク   「よし。じゃあ俺のほうからカネイチにやめたいって言ってたっていっとくから」

とーる  「ああ」

ユージ  「何も心配することはないって」

とーるは泣きだした。

アク   「おい、どうした?」

とーる  「俺さ。中学高校と友達いなくて・・・なんか仲間だ。とか言われたことなくて」

アク   「何言ってんだよ。友達いなくてもな、まいと付き合えたんだし。それでいいんだよ。よくがんばったな」

とーるは感激していて言葉がでない。

アク   「男が泣くなよ。まいにも笑われるぞー」

とーる  「ありがとう」

アク   「あと、くれぐれも内緒な。まいにも言っちゃだめだよ。犯罪するってこと」

とーる  「わかった」

アク   「じゃあ、また電話するから。またな」

とーる  「ありがと。また」

とーるはアク達の前から去っていった。

ユージ  「いいなあ。努力家好きだぜ」

アク   「なんか完全犯罪がまた一歩近づいた気がするな」

ミッキー 「そうだねー。よしー俺達も帰ろうー眠いー」


朝8時。アク達は帰宅した。



次の日。

午後7時に起きた3人はまたホストクラブへ足を運んだ。

それから2週間後。仕事の帰り道。


アク  「ホストも慣れてきたし、そろそろ俺達もけんたの家から出ようぜ?」

ユージ 「そうだねー。けんたも昼間は大学行ってるみたいだしね」

ミッキー「俺達は完璧に昼と夜逆転しちゃってるしね。ちょっと迷惑なのかも」

アク  「そうだよなー。金なら一応あるんだし」

ミッキー「そうだ!世田谷いこーよー」

ユージ 「それ、あきとあゆみがいるからだろー」

ミッキー「うん」

ユージ 「素直だな・・・」

アク  「あはは。世田谷か、いいかもね」

ユージ 「でも、あいつら今一番大事な時期なんじゃないの?」

アク  「ああ、例えば俺達と遊んでるのがバレちゃうとまずいよね」

ミッキー「だって俺達こうみえても・・・ホストだしね・・・」

ユージ 「ああ・・・カネイチには全員茶髪にしろって美容院いかされるしね」

アク  「ホストって意外と大変だよなあー」

ユージ 「でもまだよかったよ。ダイスケがいて」

アク  「そうだねー」

ユージ 「俺達とあきが遊んだら・・・あき、ホストと遊ぶって週刊誌だっけ?あれに書かれちゃうんだろ」

アク  「だねー、あきとあゆみはディオで最近テレビにも結構出てるみたいだしね」


そんなことを話していると・・・

ミサキ 「あれー?アクー?それにユージとミッキーじゃーん」

ミサキは2日に1回のペースでホストクラブに足を運んでいた。

アク  「あれー帰ったんじゃなかったの?」

ミサキ 「あー今そこのバーでちょっと飲んでたんだー」

アク  「店であれだけ飲んでまだ飲めるのかー(笑)」

ミサキ 「あはは〜」


ユージ ≪なんでこいつは会うときいつも酔ってんだよ・・・≫

ミサキ 「ミッキいいいいいいいーーー い、いぇーい!!」

ミッキー「いえーい!!!!!」

ミサキ 「いいねー、ミッキーそののり!!!」

ミッキー「よく言われます」

ミサキ 「なんだー?よく言われるって女たぶらかしてんのかーミッキー!」

ミッキー「そりゃホストですから〜」

ユージ 「悲しいウソつくなよ・・・」

アク  「あはは」

ミサキ 「あーねー。今から遊ばなーい?うちでゲームしよーよー」

ユージ 「えー?ゲームー?」

ミサキ 「王様ゲーム!」


アク  「それ店でいつもやってるだろー」

ミサキ 「あーもう今月お金ないからいけないやー。あはは〜」

ユージ 「あはは〜って・・・また来月になれば金もらえるんだからいーじゃん」

ミサキ 「あははー。そうだけどー」

アク  「じゃあまた来月だねー」

ミサキ 「なにそれー。なんか冷たくない?」

アク  「えー・・・」

ミサキ 「明日もいくもん!」

アク  「だって金ないんでしょー」

ミサキ 「友達に借りるもん!」

アク  「まあ好きにすればー」

ミサキ 「好きにするもん!」

ユージ 「あはは、まあ今日は帰ろうよー」

ユージはタクシーを止めた。

ミサキ 「あーもうーかえるー」


ミサキはタクシーに乗って帰っていった。

アク  「はー・・・。東京って怖いな・・・」

ユージ 「だなー」

ミッキー「ミサキさんは特別だと思うよ」


そんなこんなでアク達はけんたの家に戻った。



午後1時。アク起床。


アク  「あーそういや今日は、初めての休みだ・・・」

ミッキー「ZZzz・・・」

ユージ 「Zzzz・・・」

アク  「まだ寝てるか・・・」

アクは一人立ち上がるとリビングへ行った。リビングへ行くとけんたがパソコンをやっていた。

けんた 「おはよー」

アク  「あれ?けんたじゃん学校は?」

けんた 「今日日曜だぜ。休みだよ」

アク  「そっか」

けんた 「改めて二人でこうやって顔合わせて話すのも久しぶりじゃない?」

アク  「そうだね。電話はよくしてたねー」

けんた 「そうそう」

アク  「懐かしいよなー中1のときかあれは・・・」

けんた 「ああ、アクがいきなり完全犯罪やろうと言ってきたやつか」

アク  「あはは、そうそう。あれからもう5年かー?」

けんた 「そのぐらいなるのかーはやいよなー」

アク  「はやいなー。どう大学楽しい?」

けんた 「あーうん。まあ自由だよね。講義もほとんど出なくていいし」

アク  「へー。暇なんだー」

けんた 「まあ個々に勉強してんだよ。」

アク  「ああ、誰に何も言われなくても勉強するんだよなー」

けんた 「まあーそうだねー」

アク  「あ!そうそう前はなしたとーるって子一回会っとく?」

けんた 「あー、あのホストで見つけた子かーいいね」

アク  「電話してみるわー」

けんた 「あーうん。俺レポートやっとくね」


アクはとーるに電話した。

とーる 「もしもーしアクかー?」

アク  「おうー。今暇かー?」

とーる 「あー今起きたとこー、今日日曜なのにさバイト休みくれたんだー」

アク  「そっかー俺達もそうなんだよねー」

とーる 「おー気が合うねー(笑)」

アク  「今から会えないー?」

とーる 「なんでー?50万返せって言われてもヤダよー」

アク  「そーじゃなくて・・・会わせたい人がいるんだ。完全犯罪の仲間で」

とーる 「あー。そういや全然その話してなかったから忘れてたよー」

アク  「頼むよーじゃあ今から会えるね?」

とーる 「うんー。どこで会うー?」

アク  「そうだなー東大行ってみない?」

とーる 「東大ー?なんで東大なんだよー」

アク  「その仲間が東大生だからさーいろいろ案内してもらおうよー」

とーる 「それって国立の東名大学だろー?」

アク  「そうそうーあの日本一頭いいとこさー」

とーる 「わかったー。じゃあーそこいくわー。また近づいたら電話するねー」

アク  「あいよー。じゃまたー」

電話をきった。

けんた 「・・・なんで東大なんだよ・・・」

アク  「だって試験受けに行ったとき中あんまみれなかったからさー」

けんた 「あ?試験受けたって?(笑)」

アク  「3人で記念受験だね(笑)」

けんた 「そうだったの・・・」

アク  「まあ、あの二人はほっといて会いにいっちゃおっか」

けんた 「とりあえず置手紙でもしとくかー」


けんたはレポート用紙を1枚破ると 『旅に出ます。探さないで下さい』とボールペンで書いた。

アク  「あはは、探すなって・・・ここけんたの家だし(笑)」

けんた 「意外とテンパって電話かかってきたら面白いじゃん(笑)」

アク  「その可能性恐ろしく高い・・・特にミッキーは(笑)」

けんた 「まあ・・・いこ(笑)」


アクとけんたは二人をおいて東大へ向かった。

とーる 「おーい。」

けんた 「お!あの人か?」

アク  「ああ。電話する間もなく見つかった。あれだ」

けんた 「確かにカッコいいかもね」

3人は東大の中に入っていった。

とーる 「えっと、とーるです。あなたは?」

けんた 「俺はけんたね」

とーる 「ここの学生なの?」

けんたは財布から学生証を出した。

とーる「ホントだ・・・」

アク  「いいでしょー。」

とーるは東大生がいるなら完全犯罪も夢ではないと感じた。

とーる 「すごいねー」





3人が話していると・・・。

「あれーアクー?」

遠くのほうから声がした。


アク  「あれ?なんでミサキがここにいるんだ?・・・」

理由は簡単。


ミサキ 「言ってなかったっけ?あたし学生って」

アク  「東大なの?」

ミサキ 「うんっ。今3年なんだ」

アク  ≪酔ってないミサキ初めて見た≫

けんた 「初めましてーけんたっていいます。」

とーる 「あ!」

ミサキ 「初めましてー私ミサキね。あー!とーる君もいるんだねー」

とーる 「なんで俺の名前を・・・」

ミサキ 「前店で名前聞いたから」

とーる 「ああ・・・オープンの日か」

けんた 「一人ですか?」

ミサキ 「あーうん。今友達にノート返しに来たとこなんだ」


アク  「ほえー。勉強してんだねー」

ミサキ 「昼は勉強、夜は酒」

アク  「いつ寝てんだよ・・・」

ミサキ 「朝ぁー(笑)」

アク  「そっか・・・」

ミサキ 「3人は何してんの?東大になんかよう?」

アク  「いやー遊びに(笑)」

ミサキ 「遊びかいっ。まぁいいわあたしも今暇だし東大案内してあげる。けんた君はまだ1年でしょ?」

けんた 「はい」

アク  ≪マジ案内されてもなあ・・・それ目的じゃねえのに・・・≫



そのまま、アク達はミサキの案内で東大の中を見て回った。

アク  「大学でけーなあ、高校と比べるのが間違いか・・・」

とーる 「休みの日でもみんな勉強してんだね」

ミサキ 「それは人それぞれだよ。大学院行きたい人や教授とかなりたい人は毎日勉強してるね」

アク  「ミサキはどうすんの?」

ミサキ 「まあ卒業したら実家帰って親の手伝いするよ」

アク  「ああ、そういや医者してんだっけ」

ミサキ 「そうそう」


「ブルッブルッブルッ!!!」

アクの携帯が震える。

アク  「あ、電話か。ちょっと出るね」

ミッキー 「アクぅ〜俺達置いてどこ行っちゃうんだよー」

アク  「どこにもいかねえって(笑)あの置手紙は冗談」

電話の向こうでユージの声がする。

ユージ 「だから言ったろー」

ミッキー「どこいんのー?どこー」

アク  「東大だよー」

ミッキー「じゃあ俺達も行くね」

アク  「いや、もう帰るからいいよ」

ミッキー「わかったわ。夕飯作って待ってる(はぁと)」

アク  「ああ・・・頼む」

電話を切った。

アク  「ミッキーが夕飯作って待ってる(はぁと)だって」

けんた 「じゃあ帰るかー」

とーる 「わかった」

ミサキ 「そうだねー。じゃあまた店でー」

アク  「あいよー」


ミサキはアク達の前から去った。


アク  「とーるー。まだちょっと時間あるだろー。ちょっと話そうよ」

とーる 「おーいいよ」

3人はけんたのマンションがある方向へ歩き出した。

とーる 「完全犯罪っていつやんだよー」

アク  「そんなに早くやりたい?」

とーる 「そりゃ2000万あればまいと結婚できるんだしー」

アク  「そうだよなあー。でもまだ仲間が少ないよ」

とーる 「仲間かあ。じゃあ俺昼間暇だし集めよっか?」

アク  「お?集めれる?」

とーる 「なめんなって」

けんた 「でも、アホはいらないよ(笑)ミスが許されないからね」

とーる 「ああ、アク好みのやつでいいんでしょ」

アク  「俺好みわかるの?」

とーる 「なんとなく・・・」

けんた 「じゃあお願いしてみよっかな」

アク  「まあ、そうだね」

とーる 「あ!そうそう最近歌舞伎町に黒塗りベンツとかたくさん止まってなかった?」

アク  「んー、止まってたかも」

とーる 「あれはここら辺で有名なヤクザだから絶対近づかない方がいいよ」

アク  「わかった。忠告ありがとね」

けんた 「ヤクザねえ・・・。あ!」

アク  「どうした?」

けんた 「拳銃とかいるんじゃね?」

アク  「ああ、武器かー無いよりあったほうがいいかもね」

けんた 「じゃあヤクザさんに頼んで譲ってもらおうよ?」

アク  「いいねー。使えるじゃんヤクザ」

とーる ≪あれ?今俺・・・絶対近づかない方がいいって言ったばっかだよな・・・≫

けんた 「100万で1丁ぐらいかな?」

アク  「高いなあ・・・」

とーる 「高いねーって!!やめとけっていいこと1つも無いって」

けんた 「ああ、正面からつっこんだらそりゃだめだろうけど、頭使えばなんとかなるだろ」

アク  「そうだよなー」

とーる ≪なにこの自信・・・≫

けんた 「じゃー家帰ってユージたちと相談だなー」

アク  「いねー、久しぶりにAKYMで犯罪活動だー」

けんた 「AKYMねー懐かしいー」

とーる 「あくゆめ?なにそれ?」

アク  「あぁ、一応俺達のグループ名ね。中学のときだったかな名前とか付けたんだ」

とーる 「ああ、完全犯罪を中学のときからやろうと思ってたんだね・・・。そんな人生なんだね・・・」

アク  「まあまい、一筋のお前に言われるのもなんだけどな・・・」

けんた 「アハハ」

とーる 「俺のほうがましだろー」

アク  「そうかなー?まあどっちでもいいって」

とーる 「そーだな・・・こんなことで口論してる場合じゃないし」

道の途中でとーると別れアクとけんたは家に戻った。


アク  「ただいまー」

ミッキー「アクー、夕飯にするー風呂にするー、あたしにする〜?」

ユージ 「おい、なにアクが帰ってきただけでテンション上げてんだよ」

アク  「飯〜」



夕飯を食べ終わり会議。

ユージ 「ヤクザに拳銃売ってもらうってか・・・」

ミッキー「面白そー」

アク  「いっそのこと仲間にしたいな」

けんた 「じゃあとりあえずしぱったのヤクザに近づいて仲良くなってみよっか」

ユージ 「決まりだな」

アク  「じゃさっそく明日から行動開始だ!」

翌日。午後2時。

アク  「よし、行くぞー」

アク達はけんたの家から出発すると歌舞伎町へ向かった。

ミッキー「えっと、今日は12時から仕事だっけ?」

ユージ 「おうー」

アク  「たっぷり時間あるから余裕でしょ」

アク達の仕事で使うスーツは店のロッカーに置いてある。

歌舞伎町到着。

アク  「っていうかさ、昼からそんな車あるとは思う?」

ユージ 「そういや・・・無い気がする・・・」

ミッキー「無いかな?・・・」

中心部へ歩くこと5分。

アク  「あ!?あれじゃね?」

ユージ 「おお。っぽいなあ」

ミッキー「そうだね。黒塗りベンツしかもフルスモ」

ユージ 「10台ぐらいあるしな・・・」

アク  「昼から集会かな?」

そのとき。
前方からおっさんが赤い服を着た人に追いかけられてアク達の方へ全速力で走ってきた。


赤い服の男 「待てコラア!!!おい!!おっさん!!」

アク  「え?おっさんがヤクザっぽい人に追いかけられてるんだけど・・・」

ユージ 「ってこんなことありうるわけ?どんなタイミングだよ」

ミッキー「当然俺達はヤクザの見方だからおっさんを捕まえるということですね」

アク  「そういうことだね」


おっさん「ドケドケドケー!!!!」

おっさんがものすごいスピードでアクのほうへ向かってきた。

アクはそっと右足を出しおっさんの足に当たるように出した。

「ごろん」とおっさんは前へ転ぶ。

アク  「ドケじゃなくて、通して下さいだろ」


おっさん「うっせえあほお、ひぃぃ 殺されるー」

赤い服の男「兄ちゃんありがとー」

そういって赤い服の男はおっさんの服を強引に掴み地面に立たせると路地裏へ連れて行った。

アク  「ん?」

ミッキー「いやいやアク、『ん?』じゃなくて赤い服の男と話さないと」

アク  「そうだよね。これじゃあ何したのかわからない」

ユージ 「赤い服の男を追うぞー」

アク  「あっち(路地裏)か」

アク達は路地裏の方へ走った。

「ダダダダダダダダッ!!!」


アク  「あれおっさん達いねぇ。どこいった?」

ユージ 「あっちじゃないか?」

ミッキー「あそこだけ一箇所狭いね」

アク  「行くぞ」


アク達は路地裏の狭い道でさらにその道より狭い道へ向かった。
アク達は立ち止まった・・・。

おっさん「ひいい、金は払います。命だけはっ!」

赤い服の男「そのセリフは聞き飽きたんだよ。こいつ ハジクぞ?」

ユージ 「おい、あれ拳銃じゃねえか?」

アク  「ハジクって言えばそれしかない」

ミッキー「でもこんなとこで撃ったらまずくないか?」




赤い服の男「おめえが死ねばお前の保険金がこっちに入る仕組みになってんだ。悪いな」

おっさん 「すいません。すいません、もう逃げたりしませんからっ」

赤い服の男「だ・か・らそのセリフは聞き飽きてんだよ!」


「!!!!!!」

「どさっ」


アク  「あれ?おっさん倒れたぞ?撃ったのか?」

ユージ 「撃った? 音はしてないが・・・」

ミッキー「あれじゃない? なんだっけな。そう、サイレント」

ユージ 「ああ、サイレンサーかそっか、その手があるのか」


赤い服の男「殺っちまったよ。東京湾に沈めないとな。とりあえずこれでもかぶせとけ」

赤い服の男は路地に置いてあった汚いダンボールをおっさんの死体にかぶせた。

赤い服の男「ってこれじゃあ足が見え見えか・・・まあいいか」

アク  「やばい、こっちくるぞ。隠れろ」

アク達は違う道へ入り壁から赤い服の男を観察できる位置に隠れた。

ユージ 「ってこれ殺人現場だろ?俺達あの男に見つかったら殺されかねんな」

アク  「大丈夫、俺達なら見つからない」

ミッキー「運はいいほうだしね・・・うん・・・」←ドキドキ

赤い服の男は携帯電話で話しはじめた。


赤い服の男 「もしもーし、荒山だけど」

アク  「あいつ、荒山っていうのか・・・」

荒山  「今、例のおっさんやったから、処理手伝ってくれる?」

ユージ 「電話相手の声はこの距離じゃ聞こえないな」

アク  「ああ、荒山の声も聞き取りにくい」

荒山  「おうおう、じゃあ即行で来てくれ」


ミッキー「誰か呼ぶみたいだね?」

アク  「やばいよなー。こっから表通りでるには荒山がいる道通らないといけないし」

ユージ 「そうだよな、このまま、仲間がたくさんきたら余計逃げにくくなるなあ・・・」


アク  「って待てよ! 俺達なんであいつの後追ったか初心に帰ろうぜ」

ミッキー「あ!あの男から拳銃をもらわないと」

ユージ 「え?もしかして・・・殺人手伝うの?」

アク  「いや、待てよ・・・。」

アクはひらめいた!

≪≪≪≪≪≪≪
このまま荒山と殺人を手伝うとそのままヤクザの仲間になるのではないか。

普通に考えて・・・手伝う→仲間になる?→拳銃ゲット?
そんなうまくいくはずがない!

赤い服を着ている・・・。
赤い服?・・拳銃?殺人?・・・血!


返り血!

返り血を浴びるなら黒や白のシャツならバレバレ。

赤なら目立たない!

仮にそこまで頭が回るやつなら・・・仲間になってはいけない!

ここは・・・ 
≫≫≫≫≫≫≫


アク  「決めた。あのおっさんを誘拐して荒山と交渉だ!」

ミッキー「え? 面白そう・・・」

ユージ 「誘拐って死体だし、どうやって?」

アク  「そうだな・・・。誰か囮になって荒山をここから遠ざけて」

ユージ 「遠ざけて?・・・」

アク  「その隙に二人であのおっさんをどっかわかないところへ運ぼう」

ミッキー「いけるかな?」

・・・

ユージ 「クゥーーーーーーーーー。ムチャあるような?」

アク  「待てよ。こっからだとピカイチ近くねえか?」

ユージ 「あ!近いかも」

ミッキー「そこへ運べばいいんだね?」

アク  「最悪どっかに隠せばいい。どこでもいい!」

ユージ 「やるなら はやく動かないと仲間が集まってくるよ!」

ミッキー「じゃあ誰が囮やる?」

アク ユージ 「・・・」

アクとユージは無言でミッキーの顔を見た。

ミッキー「俺ですよね・・・」

アク  「よしじゃあ、とりあえず表通りに、殺人現場みちゃったよーとか言って走れ!」

ユージ 「大丈夫。絶対発砲なんてしないから!」

ミッキー「わかった!じゃあ1時間もしたら電話する!」


そして、ミッキーは荒山が油断して後ろを向いているときを見計らって走りだした!!!

ミッキー「荒山さーん。人殺しはいけないよー、警察に言っちゃうもんねー!!!」

荒山  「はあーーーー???見たなあ。待てこらあ!!」

荒山はミッキーを追いかけた。


「ポスッ!!!ポスッ!!!」

荒山がミッキーに向かって発砲する!!!

発砲した弾はコンクリートでできたビルの壁に当たる!

アク  「あれ・・荒山発砲してないか?」

ユージ 「絶対すると思ったけどしないって言っといた・・・。まあお互い走ってれば当たらないでしょ(笑)」

アク  「そうだよな・・・ってはやく。あのおっさんを運ぼう!!!!」

ユージ 「よしいこう」

アクとユージはおっさんの元へ駆け寄った。


アク  「血がすごいな・・・」

ユージ 「そんなこと言ってられない!いこう」

アク  「おう」

アクとユージはお互いの肩におっさんの手を掛けさせゆっくり動き出した。

ユージ 「くそ・・・重い」

アク  「やばいぞ。このままだと仲間達が来ちまう」

そこへ。

「キィーーーイ」 鈍い音がした。

アク達の目の前の店らしきドアが開いた。

アク  「やべ。誰かに見られる!」

ドアからパンパンに膨れ上がったゴミ袋を担いで出てきたのはカネイチ。

カネイチ「あ?おまえら何やってんだ?」

ユージ 「あーカネイチ。そのドアって店に通じてるの?」

カネイチ「そうだ? は?ってそのおっさん誰?何してんだ?」

アク  「カネイチ一生のお願いだ。このおっさんをそのドアから隠してくれないか」

カネイチ「なんだかヤバそうだな。いいぞ、隠してやる。その代わり1つ言うこと聞けよ」

アク  「わかった。なんでも聞いてやる!」


突然のカネイチの登場でおっさんの死体を隠すことができた。

ピカイチ店内。

ユージ 「こんなところに、外へ通じるドアがあるなんてな」

カネイチ「ゴミ捨てとか雑用をそっからやるんだよ・・・って。お前らやってなかったのか?」

ユージ 「ああ・・・ミッキーがやってたかも」

カネイチ「まあ、アクは最初から店に出てるからなあ。知らないか」

アク  「あーうん」

カネイチ「で、このおっさん何?死んでないか?」

アク  「死んでるよ。ヤクザっぽいやつにピストルで撃たれた」

カネイチ「は?死体???ヤクザ?どういうことだ。説明しろ」

アク  「しゃあないよな?」

ユージ 「しゃあない」

・・・。



カネイチ「なるほど・・・こいつを使って拳銃をもらうってか!あほか!!!ムチャクチャや」

アク  「大丈夫だって」

カネイチ「あれ、そういやミッキーは?」

ユージ 「今ごろどっかのトイレで はぁはぁ いってると思うよ・・・」


そのころミッキー。


コンビニのトイレ。

ミッキー「はぁはぁ・・・ここまでこれば大丈夫だろう」

ミッキーはピカイチから2キロ離れたコンビニのトイレにいた!

荒山  「やっべ、完全に見失ったか!ってこんなことしてられねえ。戻らないと!」


荒山が急いで殺人現場まで戻ったときにはもちろんおっさんの姿はなく仲間2人がいるだけだった。

荒山  「お前ら仕事 はやくなったじゃねえか!よしいくぞ」

仲間A 「いや、死体なんてなかったぜ」

荒山  「は?無い分けないだろ?じゃあどこいったんだよ!」

仲間B 「って・・・こっちが聞きたいよ。せっかく狙ってたコとデートしてたのに!」

荒山  「うそーーー。マジかよー。分けわかんねえ。    あ!」

仲間A 「あ?どうした?」

荒山  「あいつを探せばいいのか」

仲間A 「あいつってだれだよ」

荒山  「ちい・・・。まさか、あいつ囮でその間にそいつの仲間が死体運んだんじゃねえか?」

仲間B 「それしかないんじゃねえの?」

荒山  「ってことはあのおっさんを一人で運ぶのは無理だ。つまり最低3人殺人現場を見たことになるな・・・」

仲間A 「おいおい、まためんどくせーことになったな」

荒山  「って・・・あのおっさんサラって何がしてーんだ・・・」

仲間B 「口封じのため3人殺るしかないな」

仲間A 「めんどくせー。若様(若頭)に頼んで一気に集めて探しちまおうぜ」

荒山  「若様がお前の言うこと聞くわけねえだろ」

仲間A 「大丈夫だってさっき暇だー面白いことないかって言ってたし」

荒山  「って俺のために動かすなら俺も相当覚悟しないとな・・・」



一方 ピカイチ店内。5時20分

カネイチ「ちょっと待て。おっさん、くっせーぞ」

アク  「しゃあないなあ」

カネイチ「しゃあないなあじゃねえよ。店内クサくして客足減るだろうが!」

アクは、黙っておっさんを担いだ。

ユージ 「アク、一人でいけるか?」

アク  「ちょっと無理かも、ユージもきて」

カネイチ「どうすんだ?」

アク  「隠してくる」

カネイチ「それじゃあ、取引にならんだろ?」

アク  「大丈夫。隠しておくだけだから。ゴミ袋2枚持ってくぜ」

アクは入ってきたドアから出ると路地の奥の方へおっさんを連れて行った。

アク  「ここら辺でいいだろ・・・」

おっさんを地面へ寝かすとゴミ袋を使っておっさんを隠した。

ユージ 「これ隠れてるか?」

アク  「大丈夫だって、こんなとこに死体があるなんて誰も気付きはしないって」

ユージ 「まあここ人気少ないからなあ」

アク  「東京でも人気の少ないところあるんだな(笑)」

ユージ 「ははっ。まあ店に戻ろう」

アクとユージは店に戻った。


カネイチは自分の香水を店内に充満させていた。

アク  「くっさ」

カネイチ「くっさじゃねえよ。ホントによう。で、どうやってあの犯人と連絡取るんだ?」

アク  「あ!・・・」

ユージ 「あーそうか」

カネイチ「え!? お前らな、普通の誘拐ならそいつに番号言わせりゃいいけど死体じゃ・・・どうすんだよ」

アク  「やっべ・・・。考えてなかった!」


「ブーブーブー」

アクの携帯がバイブを鳴らす。

アク 「あーもしもし」

ミッキー「俺だけどー。どこいるー?成功したー?」

アク  「今、店にいるから戻ってこーい。一応成功はしたぞ」

ミッキー「わかった」

アク  「くれぐれも荒山には気おつけろ」

ミッキー「わかった、タクシー使っていくから」

ユージ 「あいつ・・・どこまで逃げたんだよ」


午後7時。

ミッキーが店に戻ってきた。

ミッキー「ただいま」
アク  「ちょっと遅くねーか?」

ミッキー「なんか赤い服のやつが全員荒山に見えてビビって遅くなっちゃった」

アク  「そっか(笑)俺はお前が荒山に誘拐されたのかと思ったよ」

ミッキー「そんなドジしないってー。あれ?おっさんは?」

アクはミッキーに今までのことを説明した。

ミッキー「カネイチが助けてくれたんだ・・・。すごい強運だね」

アク  「だろ?(笑)」

カネイチ「だろ?(笑)じゃなくて・・・なんで拳銃がいるんだよ!」

アク  「だーかーらー、さっき言ったじゃん。興味本位って」

カネイチ「そんなの嘘だろ?誰が興味本位ヤクザから拳銃もらおうって思うんだよ!」

ユージ 「あはは。もういいんじゃねえか?バラしても」

そこへ。

ダイスケが店へ入ってきた。

ダイスケ「あれ?お前らもいたのか。はやいな一緒に掃除でもすっか?」

カネイチ「いやーダイスケいいところにきたな。こいつら死体のおっさんと拳銃の取引したいんだとよ」

ダイスケ「はあ?死体のおっさんと拳銃の取引だと?意味わかんねえし、ムチャクチャだ」

ユージ 「全部言っちゃうしね・・・」

アク  「本当だよ・・・めんどくせ」

ダイスケ「何なに(笑)ハイジャックを思い出すぞ、今度は何やるんだ?」

カネイチ「ハイジャック?」

ダイスケ「ああ、前話したあれだよ。そうそうあの時銃を犯人から取ったのはミッキーだよ」

カネイチ「え?ああそうだったの?あははは」

ダイスケ「まあこいつらの話聞こうぜ」

アク  「拳銃が何でいるかって?」

カネイチ「ああ」

アク  「なんでだろう・・・。言いたくない」

カネイチ「・・・言いたくないって・・・誰にでも秘密ってあるんだな」

アク  「誰にでも?ってカネイチにもあるのか?」

カネイチ「あるけど?」

アク  「何?」

カネイチ「自分のことは言えなくて人のことは聞きたいか。都合のいいやつだな。よし。アクが言ったら俺もいう」

ダイスケ「え、言うのかよ(笑)」

ユージ 「そりゃなんかあるわな・・・23だっけ?そんな若いのにこんな店出せるかよ」

ダイスケ「ユージは鋭いな・・・」

ユージ 「へへっ」

ミッキー「じゃあもーみんなぶっちゃけようよー。聞きたいー」

アク  「お前はいいよな、・・・なんかいいよな」

ユージ 「何か自由だよな・・・」


アク 「あー・・・どうしよ」

アクはまさかカネイチが101事件の主犯だということは知らない。

カネイチ「そんな言いたくないことなのか?」

アク  「ガキの頃からの夢なんだ」

カネイチ「夢か・・・その夢には拳銃がいるのか・・・犯罪だよな?」

ユージ 「カネイチだって・・・何か犯罪したんだろ?こんな店・・」

カネイチ「ユージは黙っとけ!アクそうだろ?犯罪なんだろ?」

アク  「・・・あぁ。完全犯罪やろうと思ってね」

ダイスケ「完全犯罪?」

カネイチ「あはははははっ それって何か?銀行強盗か?」

アク  「それはまだわからない。けどやりたいんだ!」

ダイスケ「あははっ 言っていいんだよな?カネイチ」

カネイチ「ああ」

ダイスケ「あれはいつだったかな、もう2年前になるかな。101事件って知ってるか?」

ユージ 「え?101事件ってあれだろ!」

ダイスケ「やっぱ知ってるか。あれやったんだよ。俺達」

アク  「本当かよ。カネイチ?」

カネイチはうなずいた。

ミッキー「うはっ。俺の2万返せー」

ダイスケ「え?2万?・・・」

ミッキー「冗談ですって、2万はちゃんと引き落とせた・・・」


ユージ 「もしかして、主犯だったりするの?」

カネイチ「んー、ネットで呼びかけたのは俺達だ」

ダイスケ「いろいろ大変だったよなー」

カネイチ「あー、ダイスケなんて最後の思い出に海外旅行行くって行っちゃうし」

ダイスケ「あははっ。そこでこいつらとも知り合ったんだけどなー」


カネイチ「ところで、完全犯罪ってさ、仲間は?」

アク  「いや。まだ全然いないよ、とりあえず拳銃がほしかっただけ」

カネイチ「なるほどなー。夢なんだろ?」

アク  「ああ、そのために東京に来たんだし」

カネイチ「そうだったのか。まーなんなら力貸してやってもいいぞ」

ユージ 「違うだろ・・・。101事件って言ったら今でも日本どころか世界中の有名な探偵や警察が必死になって犯人を捕まえようと動いてるし
それを知った俺達をほっとく訳にはいかない・・・。って拳銃って聞いたときからこっちの仲間になる気があったんじゃねえの?」

カネイチ「ははははっ。ユージには適わなねーや。あはははっ」

ダイスケ「ちょうど昨日か?また金がほしくなったねって話してたところだしな」

カネイチ「ああ、4000万じゃこの店の頭金でほとんど消えたし、まあ・・・いろいろあって6000万ぐらい持ってたんだけどな」

ダイスケ「そうそう、親には宝くじが当たったって嘘ついたし、犯罪して大金持つっていうのも結構大変だ」


ミッキー「6000万 (¥_¥)」

ユージ 「おい、ミッキー。目がおかしいから・・・」

ミッキー「あ(笑)俺が6000万持ってたらハワイにでも住むかなー」

カネイチ「だ・か・ら・・・いきなりそこらへんの兄ちゃんがハワイに住んだらあやしまれるだろ」

ミッキー「宝くじって言えばいいじゃん?」

カネイチ「・・・嘘バレバレだし・・・。だませるのは親ぐらいだぞ」

ダイスケ「あ!そういや、半年ぐらいまえ 振り込め詐欺もやっよなー」

カネイチ「あー、1回だけなー。ためしにやったらできたんだよ。面白かったなー」

ユージ 「あー、やったんだ(笑)」

アク  「・・・あははっ」


そんな話をして盛り上がっていると、

カネイチ「ってか・・・拳銃なら俺達の仲間がいっぱい持ってるから売ってもらえよ」

ユージ 「まじ?」

カネイチ「ああ、101事件で仲間になったやつだ。あいつはすごいぞ」

ダイスケ「確か名前は・・・ワタナベ。通称なべちゃんだ」

カネイチ「そうそう、なべちゃん。(大笑)」

ダイスケ「なべちゃんはな、37歳にもなって無職、童貞でいわゆるアキバ系ってやつだ。
でもパソコンに関してはプロも驚くテクニックって・・・自称だけどな・・・」

ミッキー「ぷっ。アキバ系?・・・2Dの世界で生きてる人でしょ?」

カネイチ「俺に聞くな・・・しらねえよ。でもなべちゃんはレベル高いアキバ系だぞ」

ユージ 「レベルってなんだよ・・・」

ダイスケ「なべちゃんがいってたけど、ピストルを日本へ持ち込むのは簡単で
なんかあっち(アメリカ)でバラしてパソコンの部品に混ぜて持ち込むんだってよ」

ユージ 「なんかそれ、前テレビでみたぞー」

カネイチ「あいつ・・・出たがりだからなああ・・意外に本人が出て説明してたりしてな」

ダイスケ「ありうる・・・」

アク  「なべちゃんか・・・面白そうだな。まあ拳銃持ってればそれでいいんだけど」

カネイチ「でも、あいつ無職で金ないって言ってたから高いかもよ?」

アク  「交渉ならまかせて、女紹介すりゃなんとかなるでしょ」

カネイチ「あははっ。37歳の童貞にいまごろリアルの女なんて興味あるのかねー」

ダイスケ「俺もそこは何か怖くて聞けなかったとこ・・・」

アク  「携帯番号教えてよ。あとは自分でやる」

カネイチ「・・・それがな、なべちゃん携帯もってないんだよ。メアドなら知ってるが」

ユージ 「無職だからな・・・」

アク  「じゃあメアドでいい。カネイチから一言言っといてもらえると楽になるんだけどな?」

カネイチ「いいぜ、そのかわり完全犯罪混ぜろよ?」

アク  「ああ、目的は金でしょ?」

カネイチ「ああ、俺の名前がそういってるさ」

ミッキー「なにそれー、おもしろー」


ユージ 「あ!大事なこと気付いたんだけど、あの死体のおっさんどうする?」


アク  「あ!やっべ・・・もう荒山とかどうでもいいんじゃね?」

ユージ 「じゃあ・・・そのへんの公衆電話で警察に通報するか、はははっ」

アク  「ほんと・・・仲間がいれば何事もたやすくなるよな・・・拳銃もすぐゲットできそうだし」

ユージ 「それじゃあ俺がちょっと離れた公衆電話から通報してくるね」

アク  「任せた。ミッキーがいくと荒山に見つかったりしたら大変だしね」

ユージ 「そういうこと」







無事に通報して帰ってきたユージ。

時間は過ぎ営業時間へとなった。

さらに時間は過ぎ閉店。

朝8時。

アク  「お疲れ様でーす」

ダイスケ「おつかれー」

カネイチ「おつかれ」

アク  「よーし、帰ってねるかー」

ユージ 「あーマジ疲れたー」

ミッキー「Zzzz」


ユージ 「おい、ミッキー立ったままねるな!」

ミッキー「あ、ごめんごめん・・・zzz」

そうやって3人はけんたの家へ帰りぐっすり休んだ。


次の日。午後2時。

アク  「あれ、メールがきてる」

カネイチ【なべちゃんにメール送っといたからあとはそっちでうまくやれよ】

アク  「さすが仕事はやいな・・・」

けんた 「アクーおはよ」

アク  「おーう。今から拳銃買いにいってくるわー」

けんた 「えええー?仕事はやいねー」

アク  「あははっ。目標があるときははやいよ」


ユージがリビングから寝室へ入ってきた。

ユージ 「おはよ、ぐっすりねてたね」

アク  「ああ、ミッキーは?」

ユージ 「まだ寝てるよ・・・」

アク  「よし、とっととミッキー起こして交渉に行こう!」

午後3時、アク、ユージ、ミッキーは3人でなべちゃんの元へ出かけていった。

ユージ 「あれ?なべちゃんの家ってどこなの?」

アク  「知らないよー。とりあえず秋葉原いけば会えるって俺達強運だから(笑)」

ミッキー「いえーい。秋葉原〜」


そうして、アク達は秋葉原へ向かった。



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