完全犯罪 第2部 3ページ目 オリエンテーション合宿から2週間が経った。 だんだんクラスの生徒達は仲良くなり始めた。 三星高校は、1組と2組が進学クラスで3から6クラスは就職クラスだ。 アク達の地域の高校は、一星高校〜五星高校まであり数字が低いほど頭がイイとされている。 五星高校は、毎年定員割れで誰でも入れるというウワサがある。 覚せい剤は五星高校から出回っている。 五星高校の1年が街の黒人から買って生徒達に売っている。 売られた生徒は、さらに違う高校の生徒に売るという。 まだ、それが売られるようになってから1ヶ月ほどしか経っていない。 買っている生徒以外は知るものがいない。 オリエンテーション合宿が終わって生徒達が仲良くなった。 三星高校の生徒で覚せい剤を売ってもらっている人が他の生徒に売り始めた。 それは、主に就職クラスで行われている。 アク達は、まだ知らない。 ある日の朝、姫野あゆみがアクに話掛けた。 姫野あゆみ 「ねえ、最近流行っているらしいよ」 アク 「え?何が?」 姫野あゆみ 「ドラッグ?白い粉のやつ」 アク 「どこで?」 姫野あゆみ 「やっぱり知らないんだ。三星高校でだよ」 アク 「嘘だー」 姫野あゆみ 「私は、友達から聞いたんだけどね」 アク 「ドラッグか・・・」 姫野あゆみ 「ミッキーには言わないほうがいいね。すぐみんなに言いそうだから」 アク 「うん。あいつは・・・やめとこ。ユージには教えといた方がいいな」 姫野あゆみ 「やっぱり、ドラッグ使う人は将来の夢とか無いんだろうなあー」 アク 「そうだね。俺はちゃんと夢あるから 絶対やらないよ」 姫野あゆみ 「え?夢って何ー?」 アク 「俺の夢、知りたい?」 姫野あゆみ 「え?・・・うん?」 アク 「完全犯罪すること」 姫野あゆみ 「え?・・・完全犯罪?」 アク 「そう。誰にも言わないでね、特にあきには」 姫野あゆみ 「いいけど・・・。なんで完全犯罪したいの?」 アク 「なんでって・・・。普通にサラリーマンになっても人生面白くないし」 姫野あゆみ 「そっかあ。頑張ってね」 アク 「姫野は、なんか夢ってあるの?」 姫野あゆみ 「んー。歌手かなあ」 アク 「歌手かあ・・・。歌うまいんだ?」 姫野あゆみ 「んー。今習ってるんだ」 アク 「そっかあ」 姫野あゆみ 「じゃあお互い絶対にドラッグは使わないね」 アク 「あたりまえだって。使うぐらいなら自殺する」 姫野あゆみ 「私も」 このときアクは思った。 「歌手」 いくらかわいい姫野だって歌手になれるとは思わない。 アクは、姫野が歌手をあきらめたとき完全犯罪に誘えば仲間になってくれると思った。 それから2週間が経った。 アクはユージにだけ学校で覚せい剤が流行っていることを教えた。 ある日。夜9時、けんた家。 ミッキーは、一人神様の楽園へラーメンを食べに出かけている。 ただ、食べに行っているのではない。バイトをしたいとよしきに言いに。 アクとユージはけんたの家でPS2で遊んでいる。 ユージ 「覚せい剤ばれたら生徒減るなあー」 アク 「そうだねー、1クラスぐらい減るのかなー」 ユージ 「え?そんなに広がってるの?」 アク 「わからないけどー。そんぐらいだと思っていいんじゃないかな」 ユージ 「最近、就職クラスのやつ学校サボってる人多いしなあ」 アク 「そうだねー。覚せい剤とかドラッグって高いんだろー?」 ユージ 「たぶんねー」 アク 「就職クラスの乱馬(らんま)ってやつが五星高校から買ってるらしいぞ」 ユージ 「ほー。でも、だいたい売ってるやつは自分には使わないんだよね」 アク 「え?なんで?」 ユージ 「だって、周りで使って人生ボロボロになってる人みてるから使わないでしょ」 アク 「まー俺でも使わんねー。それ売った金でゲーセンとかで遊んだ方が面白そうだし」 ユージ 「そうだねー。そういえば最近ゲーセン言ってないなあ」 アク 「そうだね。PSも飽きてきたし今から行くかー」 ユージ 「行こうかあ。ミッキーもまだ帰ってこないし」 アク達は近所のゲーセンへ向かった。 アク 「ねえ。ユージ。なんでドライバー持ってるの?」 ユージ 「ドライバー1つであそこのゲーセンは無料になる」 アク 「ええ・・・」 ユージ 「下のとこはずしてさスタートボタン押すとゲームできるんだ」 アク 「店員が、バグったときにやるやつかあ・・・」 ユージ 「ドライバー1つで簡単に開くから」 アク 「それってばれないの?」 ユージ 「行けばわかる♪」 ゲーセンへついた。 アク 「俺ゲーセンって2回ぐらいしか行ったことないんだよな」 ユージ 「そっかあ」 ユージはなれた感じで店の中へ入って行く。 アク 「カメラ無いね」 ユージ 「でしょ。」 ユージは店員がいないことを注意深く確認してドライバーをズボンのポケットから出した。 「カチャカチャ」 あっという間だった。約5秒。 下は開いた。 スタートボタンを9回押した。 ユージ 「9ゲームまでしか一度に押せないんだ(笑)」 そう言って誰もいないゲーセンのゲームを2つ開け9ゲームできるようにした。 ユージ 「アクー。どっちがいい?」 アク 「って、2つとも同じゲームだよ」 ユージ 「あはは」 なぜか、ユージはテンションが高かった。 二人で30分ぐらいゲームをしていた。 アク 「まだ7ゲームもあるね」 ユージ 「俺はまだ8ゲームあるけどねー」 二人で遊んでいると誰も居なかったゲーセンに人が入ってきた。 アク 「あれ?・・・今、乱馬が入ってきた」 ユージ 「え・・・本当だ」 アク 「なんか、厄介だな」 そっとアクは乱馬を見ていた。 乱馬は、ユージと同じくドライバーを持っており・・・ゲーム機の下をなれた手つきで開けた。 乱馬 「ルンルンルン♪」 乱馬は機嫌が良さそうだ。 ユージ 「帰ろう」 アク 「まだ6ゲームもあるよ?」 ユージ 「乱馬の友達とか五星高校のやつらがくると厄介になる」 アク 「わかった」 ユージのすばやい判断は正しかった。 アク達がゲームセンターを出てすぐ五星高校の制服をきた人が3人入ってきた。 ユージ 「だろ(笑)」 アク 「だね。」 アクが乱馬を近くで見た感想は。 見た目悪そう。修羅場を何度も通って来たという印象だった。 アクは、心の底で完全犯罪の仲間にしたいと思ったが、 アクの言うことを聞きそうにもないので微妙だった。 アク達はけんたの家に帰った。 けんたの家の近所の人達はアク達がけんたの家に住んでいることを不思議に思っていた。 だが、ミッキーの明るい性格で目が合う度に挨拶したおかげで仲良く打ち解けていた・・・。 ユージ 「そういえばさ、夏休み 万引きするんだよなあ?」 アク 「するよ・・・たぶんね」 ユージ 「そろそろ計画立てようか?」 アク 「いいね!」 ユージ 「まず、どの店でやるかだなあ」 アク 「やっぱり近所のデパートはマズイと思うよ」 ユージ 「だよねー。知り合いのおばさんとかパートで働いてるし」 アク 「でも、行ったことのない店でやるのも自信ないなあ」 ユージ 「下見行けばいいって」 アク 「そうだねー」 ユージ 「そういえば、けんたは変わったかなあー?」 アク 「どうだろねー」 そんな話をしているとミッキーが帰ってきた。 ミッキー 「バイトしていいって!!!」 アク 「お?本当か?」 ユージ 「ミッキーおめでと」 ミッキー 「ありがと。っていうかユージもやる?」 ユージ 「俺も?(笑)」 ミッキー 「なんかね、人手が足りないんだって」 ユージ 「どうしよっかなあ」 アク 「やれば?」 ユージ 「んー・・・。時給いくらだって?」 ミッキー 「900円」 ユージ 「いいねー。やろっか?(笑)」 アク 「おお」 ユージとミッキーはあっさりバイトが決まった。 アク 「そういえば、ミッキーさ、万引きするだろ?」 ミッキー 「え?なんで?・・・」 ユージ 「いやいや、お前が一番最初にアクユメで万引きしたいって・・・」 ミッキー 「ああ・・・いいね!」 アク 「よし・・・。とりあえずけんたにメールでもしてみるか・・・」 ミッキー 「あ?そうだ、俺携帯買うよ。バイトもはじめるし!」 ユージ 「持ってないのお前ぐらいだよ。全国の高校生で・・・」 ミッキー 「なんか縛られてるみたいで嫌なんだけどね」 アク 「ああ・・・なんとなくわかる」 それから1ヶ月が経った。 ユージとミッキーはバイトをしている。 ミッキーは携帯を買った。 覚せい剤はますます広がっている。 アクはサクラのバイトを2回した。 アクは、一人でけんたの家から4キロほど離れたデパートや大きな店を回り下見をしていた。 けんたは8月の頭に一人で日本に帰ってくる。 あっという間に、8月になった。 3人は最寄の駅までけんたを迎えに行った。 アク 「おーけんたー!!」 けんた 「お? 久しぶりー」 ユージ 「ひさしぶり〜」 ミッキー 「おー!久しぶり〜」 4人はけんたの家へすぐに帰り積もる話をした。 日が暮れるころまで話は続いた。 けんた 「それにしても、よくこのメンバーでこの家住んで汚れないよなあ」 アク 「まー、最低限の掃除はしてるしねー」 けんた 「そうだ! 知ってるかな? 俺の家 地下室あるんだよ」 アク 「え?地下室?・・・」 そういうとけんたは3人を連れて庭に出た。 ユージ 「地下室って外にあるのか・・・」 けんたは、物置の中に入ってスイッチを押した。 「ガガガガガーーーー・・・」 倉庫のとなりの地面が・・・動いた。 ミッキー 「すっげえ・・・」 アク 「なんかRPGのダンジョンみたいだな(笑)」 けんた 「この地下室知ってるのは、家族だけで親戚も知らないんだ」 ユージ 「そんなん教えていいのか?」 けんた 「いいよ。部屋も綺麗だったし3人は信用できる」 4人は地下室へ入った。 アク 「意外と広いな・・・」 ユージ 「本当にダンジョンっぽい・・・」 ミッキー 「わぁい」 けんた 「この地下室はね、親父が集めた本とかワインがあるんだ」 アク 「本か・・・確かに、軽い図書館だな・・・」 ユージ 「そっか、この地下室は使えるかも・・・」 アク 「え?使える?」 ユージ 「何か隠しておきたいものをここに持ってくるんだよ」 アク 「隠したいもの・・・」 アクの中で隠したい物を想像した。 ミッキー 「やっぱそれって見つかっちゃだめなものだから・・・」 けんた 「まあ、本とワインだけが置いてあるわけじゃなし」 けんたはそう言って奥へ案内した。 アク 「おお、これは・・・」 ユージ 「パソコン?とテーブル?・・・」 けんた 「ここで勉強すると頭に入るんだ」 アク 「確か部屋の角とか狭いところで勉強すると頭に入りやすいっていうけど」 ユージ 「うん。ここで作戦会議できるね(笑)」 ミッキー 「そうだね。テーブルも大きいし4,5人は座れるね」 けんた 「これが俺の家の隠れ部屋ね」 ミッキー 「すごいね」 アク 「あっそうだ! けんた、万引きどうする?」 けんた 「ああ。やる約束だったね」 ユージ 「じゃあ、作戦練ろうかー」 上へ戻り、リビングで話し合った。 アク 「まず、何がほしいかだ」 ミッキー 「姫野」 アク 「・・・」 ユージ 「・・・・・・・」 けんた 「姫野って誰?」 3人はけんたに姫野について教えた。 けんた 「ああ・・・青春だねー。アクはまだあきと付き合ってるんでしょ?」 アク 「まあー、一応。たまにメールするぐらい・・・」 ユージ 「まーまー、今は、万引きについて話そうよ」 アク 「そうだね」 ユージ 「俺はね。小さくて高価なものがいいとおもうよ」 アク 「宝石?」 ユージ 「宝石は、無理でしょ」 ミッキー 「じゃあ、PSのソフトは?」 アク 「あれって中身入ってないよ。たぶん」 ミッキー 「そっか。じゃあCDもダメだね」 ユージ 「俺、服がいいな」 アク 「服かあ」 けんた 「いいね! 俺、面白いこと考えた!」 アク 「え?何?」 けんた 「本格的にやろう」 アク 「本格的って?」 けんた 「だから、中学生がやるような万引きじゃなくてプロがやるような」 ユージ 「ん?例えば?」 けんた 「電気を消す。変装する。とか」 ミッキー 「変装面白そうだね!」 ユージ 「電気を消すか・・・」 アク 「いいね!なんか、携帯とかも使えそうだし!」 ミッキー 「俺、夜侵入するのかと思った。」 ユージ 「それはダメだって、昼間人ゴミの中やらないとね!」 けんた 「まー夜は無理だろうね」 ミッキー 「消えるときは、ルパンみたいに煙幕とか使って消えたいな」 けんた 「まールパンはいいすぎだね」 ミッキー 「ふ〜じこちゃ〜ん」 ユージ 「お前本当にやる気あんのか」 ミッキー 「あるある」 アク 「まあ、何にせよ無理はしないってことで」 ユージ 「あとは、防犯カメラの位置も確実に覚えてないとダメだねー」 アク 「そうだ!俺達4人じゃ少ないね」 けんた 「おっ!そういえば、メンバー増えてないの?」 アク 「うん・・・」 ユージ 「俺は4人ぐらいがいいと思うよ」 アク 「俺が思ったのは、実際に万引きするのは4人だけど」 ユージ 「だけど?・・・」 アク 「なんつーのかな、エキストラみたいな人で人工的に人ゴミを作る」 けんた 「それできたらいいね。カメラの死角も作れそうだし」 話は途切れることはなく3時間経った。 ユージ 「デパートがバーゲンとかで人が多いときにやろっか」 けんた 「そうだね!でもそういうときは私服警官とか多そう」 アク 「んー。難しいね」 話は夜遅くまで続いた。 それから4人は何度も下見に行った。 カメラの位置もだいたい把握できた。 アク 「その日の天気とかも大事だな」 ユージ 「俺の中学の友達でエキストラするって人が7人いる」 アク 「おお!全員と一回会いたいな」 全ての準備は整った! 8月9日。 万引き決行の日。当日! アク 「ワクワクするぜ」 ユージ 「ミッキー・・・女装?・・・」 ミッキー 「あたし、今日はミキちゃんって呼んでね!」 けんた 「今日は、祭りだな!」 アク 「よし!行こうか!!!」 ユージの呼んだ7人は5人が四星高校で2人が二星高校の生徒だ。 全員、足は速い。歳は、アク達と同じ。7人には、煙幕を持たせている。 煙幕はけんたがネットで調べて自分達で作ったものだ。 一度、近くの橋の下で実験した。1玉の煙幕を使えば5分は周囲が見えない。 7人の持ち物一覧 ・小型ナイフ ・100円ライター ・煙幕 ・バクチク ・携帯電話 ・カバン ・サングラス ・財布 ・けんた作成の簡単な地図 などなど。 ユージ 「あいつら、ムチャするだろうなあ・・・」 アク 「ムチャした方がいいんだって」 アク達の考えた作戦。 1.7人がムチャを行い周囲の目を引きつける。 2.7人の誰かが停電させる。非常用のサイレンボタンを押す。 3.客、従業員は大混乱する。 4.その隙にけんたを除く3人で欲しいものを頂く。 5.アク達は混乱の中一般の客と混じって外へ出る。 以上。 けんたは、外で待機。なにかあったらけんたに携帯で連絡をとる。 けんたからみんなの携帯に電話をすることはない。 アク、ユージ、けんたの3人以外全員女装している。 ルールがある。 ・仮に誰か捕まった場合、絶対他の仲間の名前を言わない。 ・欲張らない。 どこでやるのか。 けんたの家から4キロほど離れた3階建てのデパート。 1階は食料品売り場。 2階は、主に服。他にCDや本。電化製品。 3階は、ゲームコーナーだ。 アクは2階の電化製品を狙っている。 特に欲しいものはMDプレイヤーだ。 ユージは高級な服を狙っている。 ミッキーはただ暴れたいだけだ。 午前9時、開店。 この日は夏のバーゲンで全ての商品が3割引き。 先着200名には福袋がある。 客は午前6時から並んでいる人もいる。 作戦実行は9時30分。 アク達は8時30分、デパートについた。 11人も同じところにいると明らかにあやしいため7人は既に散らばっている。 けんた 「いよいよだな。俺はこの辺で身を隠しておくよ」 アク 「ああ、先にみんなには言ったが逃げたあとはけんたの家な」 ユージ 「誰が一番多く盗めるか勝負だ」 ミッキー 「いいねー」 8時58分。 アク 「さぁ。行こうか!」 けんた 「行ってらっしゃい!」 ユージ 「ミキちゃん、行くわよー」 アク 「とりあえず俺達はトイレで待機な」 ユージ 「ミキちゃんは、女子トイレにいるんだよ」 ミッキー「はぁい」 アク達はデパートへ向かった。 9時、開店。 従業員 「いらっしゃいませ! 押さないで下さい!」 客 「ワァーーーーアアアアア!!!」 客達は、店の奥へ走り出す!!! アク ≪ふ・・・急いだっていいことないのに≫ アク、ユージ、ミッキーは、それぞれ別の出入り口から入る。 アク 「ミッキー大丈夫かなあ」 そのころ、ミッキー。 おばさん 「アンタァ、なにもたもたしてんの、一緒に行くわよ!」 ミッキー 「・・・」 おばさん 「置いてくよー!」 ミッキーは女装をしているため、むやみに声を出せない。 そのとき、ミッキーの目の前で2,3歳の子供が誰かの足に引っかかって泣いている。 子供 「エーン!!!エーン!!!」 ミッキー ≪・・・なるほど・・子供が多いとこでバクチクならせば大混乱だ≫ そのころユージ。 ユージは3階の出入り口にいる。 3階から入る客は少ない。 9時1分。1,2階よりちょっと遅めに出入り口が開いた。 ユージは、出入り口の前にはいない。 遠くの駐車場で身を隠している。 ユージ ≪いきなり、従業員に顔見られたくねえしな≫ ユージはちょっと出入り口の様子をみていた。 ユージ 「あれ?・・・なんであいつが・・・いるんだ」 ユージの目に乱馬と仲間の姿が見えた。 ユージ 「なんで、あいつこんな遠いところに・・・厄介だ」 乱馬 「ここって朝だと1ゲームただだっけ?」 ただ、乱馬はゲームをやりにきただけのようだ。 ユージ 「あいつに顔みられるとあやしまれるな。まあ大丈夫だ」 9時20分。 ユージの呼んだ7人は上手く散らばっている。 客達は思い思いに品物を見ている。 客はどんどん増える一方だ。 9時21分。 予定通りの2階のトイレに3人は隠れている。 ユージはアクに電話した。 ユージ 「もしもし?」 アク 「ユージか?」 ユージ 「さっきさ、3階で乱馬を見た」 アク 「え?乱馬?」 ユージ 「大丈夫。あいつは3階でゲームしてるだけだって」 アク 「そっか。まあ大丈夫だ」 ユージ 「じゃまた!」 アク 「また。今度会うときはけんたの家かな」 ユージ 「だといいね!」 電話は切れた。 アク 「よし、順調だ」 9時25分。 ミッキー 「ワクワク。ハンマーで思いっきりガラス割るぞ!」 ミッキーは、相変わらず暴れる気だ。 9時26分。 3人は、それぞれ地図を見直していた。 9時27分。 けんた 「あと3分か。どうなることやら」 アク 「緊張してきたぜ」 9時28分。 けんた 「急に空が雲ってきたな・・・」 一方そのころ。 ゲームセンターで1ゲーム100円のゲームをしている乱馬。 乱馬 「朝何も食ってないから、飯食いに下降りようぜ」 乱馬は、仲間3人を連れて下に向かいトロトロ歩きだした。 エスカレーターを下りて気付いた。 乱馬 「あれ? 今日バーゲンか? 人多いな」 9時29分。 アク ユージ ミッキー「そろそろか」 ミッキーは気合を入れてハンマーを素振りさせていた。 そのとき、 女性の声A 「あははは、ほしい服買えたしー満足♪」 女性の声B 「あたしもー。」 女性の声C 「私もー水着買っちゃったー♪」 なにやら女子トイレに買い物を済ませたお客が入ってきた。 ミッキーは、和式トイレにカギをかけて時間を待っている。 ミッキー 「俺?出てもいいよね?女装してるし」 変な不安を抱きつつ時間は過ぎていく。 9時29分 30秒。 乱馬 「おにぎり、おにぎり、お茶、お茶♪」 乱馬は一階であほな顔をしながら食料品を探している。 けんた 「雨降ってきたぞ・・・」 アク 「よし、そろそろだ!」 9時30分!!! 7人は、動き出した。 まずは、煙幕。 7人はいっせいに人が多いところに向かって煙幕を投げつけた!!! 客達 「うわあああああああーーーー!!!」 客の声 「なにこれー、何も見えないー!!!」 子供の声「ママーー!!!」 3人は一階。4人は二階。 あっという間に真っ白!!! アク ユージ ミッキー 「今だ!」 3人もいっせいにトイレから走り出した。 7人のうちの一人が叫んだ。 「火事だあああああああああああああ!!!逃げろ!!!!!」 デパート内は大混乱。 けんたは、中から出てくる人を確認すると、携帯を鳴らした。 「ボカーーーン!!!!!!」 携帯を鳴らすとデパートの中から大きな音がした。 けんた 「一度やってみたかったんだよね。これ」 けんたは、自作の爆弾をネットで調べ作っていた。 それをユージの連れてきた仲間の一人に渡していた。 渡された人は、その爆弾をフロアの隅の方へ予定通り置いておいた。 携帯と組み合わせることで携帯を鳴らすと爆発する仕組みだ。 けんた 「しかし、火薬使いすぎたな・・・見つかったら俺おわりだ(笑)」 明らかにデパートはテロ事件が起きたような雰囲気に包まれた。 アク 「今、でっけぇ爆発音したけど大丈夫か・・・」 そういいながらもアクは自分のほしいMDプレイヤーを黙ってカバンの中に入れた。 乱馬 「あれ?・・・なんのイベントだ?」 まわりが大混乱しているなら乱馬は不思議と平気な顔をしていた。 乱馬 「レジのおばさんいないし、おにぎりただでいいな♪」 1階と2階はクチャクチャだ。 7人は200個以上の煙幕を投げながら走っている。 客達は出入り口に殺到し大混乱。 7人のうちの人がサイレンの鳴るボタンを押した。 「リリリリリリリーン!!!」 この音が響く。 アク 「やばい、消防車くるぞ、そろそろ逃げなくちゃ」 そのころミッキー。 ミッキー 「あははー!あははー!」 ミッキーは何も獲らずただハンマーでガラス割っていた。 そのころユージ。 ユージ 「よし、ほしいもの手に入れたし、帰るぞ」 ユージは欲を捨てとっとと外へでた。 ユージ 「やべ、消防車だ」 そのころ乱馬。 乱馬 「なるほど、テロか」 乱馬は、ちゃっかりポケットにレジから盗んだ金を入れていた。 乱馬 「ありがとう。テロリスト達♪これでまたゲームができる♪」 そして乱馬は仲間達とデパートの外へ向かった。 9時40分。 ミッキー 「欲しいものとったし。そろそろ、行くか!」 警備員 「君?何してる?!」 ミッキー 「!!!!!!!!!!!!!」 ミッキーは、無言で出入り口へ全速力で走った。 警備員 「コラァ!!!待ちなさい!」 ミッキー ≪待てと言われて待つやついるかー!って叫びたいけどやめとこ♪≫ 警備員は60歳ぐらいのおじさんだ。 ミッキーに追いつけるはずもなく警備員は真っ白の煙幕の中で見失った。 警備員 「時代も変わったな、今じゃあんなかわいいコが犯罪するなんて」 女装作戦は成功したようだ・・・。 けんた 「そろそろ帰るか」 9時45分。 複数の警察がデパートの中へ入った。 煙幕は消えている。あたりは荒らされ放題だ。 警察A 「ひどいな・・・」 警察B 「あ、見てください。あそこ、爆発の跡みたいなものがありますよ」 警察A 「本当だ。これは・・・。すぐに鑑識を呼べ!!!」 警察B 「従業員さん!お客さんでケガ人は?」 従業員 「ケガ人は今のところわかっているだけで骨折者が2名、火傷が5名」 警察A 「最悪の事態は避けられたな。・・・しかし、テロにしては幼稚すぎる」 警察B 「バクチクの破片。煙幕も手作りか・・・」 警察A 「まあいい!客で誰か犯人を見ているかもしれない。全員から事情聴取だ」 警察B 「はい」 従業員 「こんなことが起こるとは、夢にも思っていなかった・・・」 10時。 アク 「ハァハァハァ・・・。ここまでこれば安心か」 アクは夜のトレーニングのおかげでデパートから3キロ離れた橋の下にいる。 アク 「ハァハァ・・・。みんな無事かな・・・走ってるとき10台ぐらいパトカー見たけど」 そのころユージ。 ユージは、デパートから余り離れていない丘の上からデパートを見ている。 ユージ 「パトカーが数え切れないほどデパートに集まってる」 ユージは大変なことをしたんだと実感していた。 ユージ 「ま、バレないでしょ(笑)」 そのころミッキー。 ミッキーはデパートから余り離れていないパチンコ店の女子トイレにいた。 ミッキー「ハァハァハァ・・・。帰らなくちゃ」 ミッキーの電話が鳴った。 ミッキー「誰だ・・・。なんだ親か」 ミッキー母 「今、昔よく買い物に行ったデパートがパトカーでいっぱいよ」 ミッキー 「うん」 ミッキーは電話を切った。 そのころけんた。 けんたは、普通に一般道路を自分の家に向かって歩いている。 けんた 「パトカーすごいなあ」 けんたは隠れながら移動するよりどうどうとしていたほうがバレないと判断した。 けんた 「あ、そうだ!」 けんたはひらめいた。 完全犯罪 2部 4ページ目へ |