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完全犯罪 第2部 2ページ目


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アク達は、タクシーで三星高校へ行った。

ミッキー  「あのコ、何組だろう・・・」
今日のミッキーは昨日バスで見たコの情報を少しでも得ることだった。

ミッキー  「まだ、朝のホームルームまで時間あるから校舎の中1周しない?」

ユージ   「そんなことしても、ろくなことねーぞ?」

アクはすぐ悟った。

アク   「昨日のコが見たいだけだろ?(笑)」

ミッキー 「違うって、俺達まだ、体育館の場所ぐらいしかわからないから・・・」

アク   「まあーいいや。暇だし行くか。でも階段は使わないでおこう。ここ三階だし」

ユージ  「あー俺、教室にいるよ」

アク   「わかった」

アクとミッキーは教室を出た。


ユージは一人外を眺めていた。
ユージ  「あれ?」
ユージが教室の奴等を観察していると、昨日のかわいいコがカバンを持って入ってきた。

ユージ  「もしかして・・・同じクラスなんじゃないか・・・」

ユージは、ミッキーが戻って来たときのことを思うと少しウケタ。

ユージ ≪それにしても、かわいいなあ・・・≫

見ればみるほど、カワイイそのコをユージはずっとみていた・・・。


アク達がしばらくして帰ってきた。

ミッキー 「あーダメだ。どこにもいなかった!」

ユージ  「ふーん。転校したんじゃない?」

アク   「あはは、そりゃはえーって」

ミッキー 「まさか、かわいすぎて誘拐された?」

アク   「それは、イマイチだな・・・」

ミッキーがスベったことに落ち込んだ。

ユージ  「何、ミッキー落ち込んでるんだよ!あっち見てみろ!」

ミッキーは自分の目を疑った。

ミッキー 「同じクラスかよ!」

アク   「よかったね(笑)」

ミッキー 「話掛けてこようかな?同じクラスだと話やすい」

アク   「おう。行ってこい!」

ミッキーがそのコに話し掛けようと席を立つとチャイムが鳴った。

ユージ  「ついてるのか、ついてないのかわからんな(笑)」

ユージも、そのコのことが好きになっていた・・・。



3時間目は、体育だ。


外でバレーボール。アク達3人は、体育のときだけテンションが上がる。
先生   「よーし。二人組になってトスの練習しろ」


・・・困った。


アク達はいつも3人で行動しているため、2人組にされると一人余る。
そして、いつも余るのが・・・ミッキーだ。


ユージ  「あのコとやればー?」

アクは笑っている。


結局ミッキーが余り者になってしまった。


ミッキー 「はー。奇数ってヤダな・・・」

そんなことを思っていると先生が強引にミッキーの相手を決めた。
あきらかに、テンションの低そうな男子だ。


ミッキー 「あーよろしく」

男子   「あーども」

ミッキー  ≪うわー。やりずれーー≫と思うものの体育の時間だけと思えば苦ではなかった。


男子   「名前なんていうの?」

ミッキー 「みきひさ。名前は?」

男子   「ミニー」


ミッキーは初めて初対面の人を殴ろうとした。しかし、我慢した。


ミッキー 「面白いねー」


男子   「そうですかー。あなたの名前の方が面白いですよ」

ミッキー ≪あー・・・。こんな性格だからやっぱ友達できないんだな・・・≫

男子   「あー、ちなみに名前は、つねお です」


ミッキー 「お前の名前もおかしいけどな」

つねお  「あはは」


なぜか、二人は数分で打ち解けた・・・。



つねお  「いつも、あの人達と一緒にいるよね?」

ミッキー 「あーそうだよ」

つねお  「いーなー。俺、ああいう友達いないんだ」


ミッキー ≪ だろうな・・・≫


ミッキーは、ふと思い出した。

ミッキー ≪あれ・・・そういえばこいつ、朝あのコと話してたような・・・≫

ミッキーは、ひらめいた。 つねおと友達になれば、あのコと話しやすくなるのではないかと。


ミッキー 「俺、友達になってやるよ」


つねお  「え?ホント?」


ミッキー 「ああ」


ミッキーは、勘違いをしていた。これは大きな間違い。


確かにつねおとあのコは、同じ中学!ここまでイイ。しかし・・・





つねおは、あのコのストーカーをしている・・・。


事実。つねおは一星高校へ楽に入れる成績だったが、あのコが三星に行くということで三星に来たほどだ。


ミッキーは何もしらないまま、「しめた!」と思っていた。


ミッキーはつねおからあのコの情報を聞いた。


つねおは、自分がストーカーをしていることは伏せたままだ。

ミッキーも自分があのコのことが好きだということを伏せたままだ。


ミッキー 「あのコ。一人だけかわいいよね」

つねお  「そうだね」


こんな感じで会話は始まった。


つねおはあのコのことなら何でも知っている。


ミッキーの質問なんて、つねおにしたらごく自然なこと。そう、常識。


ミッキーはいろいろなことを聞いた。


名前は、姫野 あゆみ。 

中3のとき、雑誌のモデルをやらないかと、スカウトされた経験があるらしい。


得意なスポーツは、バレーとバスケ。


ミッキーが聞けるのは、このぐらいだった・・・。


ミッキー 「あれ・・・姫野?・・・たしか、あきの苗字も姫野だったような・・・」


ミッキー 「そういえば、目とかちょっと似てるな・・・」



その日の放課後。

アク   「ミッキーなんか、あのコのことわかったー?」


ミッキー 「んー。もしかしたら、繋がってる気がする」


アク   「え?繋がってる?」

ユージ  「なにが?お前とあのコ?」

ミッキー 「いやいや・・・あきとあのコ」


アク   「えぇ?なんで?」

ミッキー 「あのコの名前、姫野 あゆみっていうんだ」


アク   「おお。あきと同じ苗字だ・・・」

ミッキー 「そう。そう思うと、目とか似てない?」

ユージ  「偶然だろ?」


アク   「じゃあ、今日、神様の楽園いくか?姫野 よしきに聞けば何かわかる(笑)」

ユージ  「そうか・・・あの店主も姫野か・・・(笑)」

アク   「だって、同じ家に住んでたってことは、そうでしょ?」

ユージ  「そうだね!」

ミッキー ≪今日は、ラーメンおごってくれるんだー・・・わぁい≫


アク達は、一度けんたの家に荷物を置き神様の楽園へ向かった。


アク   「あきいるかなー」

ユージ  「あきと最近全然会ってないからなー」

ミッキー 「いるんじゃない?」

アク   「まぁ、どっちでもいいけど」


神様の楽園の駐車場には、いつものように客の車で溢れていた。

アク   「はー、相変わらず人気だなー」

ユージ  「この前、コンビニの雑誌でこの店紹介されてたぜ」


アク   「ふーん」

ミッキー 「あー、それ俺も見た。看板娘確かあきだったよ(笑)」

ユージ  「あき見にくる客がいるんじゃないか?」

アク   「はー。なんか複雑」

3人は、店の中へ入った。


女性店員 「何名様で〜?」



ミッキー 「!!!」

ミッキーは、自分の目を疑った。



ユージ 「あれ? あのコじゃない?」



ユージは3人の目の前に立っている姫野 あゆみに聞こえないようにアクに言った。



ミッキー 「3名様で〜♪」



ミッキーは、テンションが上がったのか、ちょっと高い声でそう言った。



あゆみは、うっすら笑った。

アク達は案内された席に座った。
アク   「なるほどね。あのおっさん(よしき)だったらそりゃ・・・スカウトするわ」

ユージ  「あ!雑誌に時給1000円って書いてあったような」

アク   「高校生で1000円はなかなか高いね」


ミッキー 「ラーメン一杯だけどね(笑)」


アク ユージ 「あはは」

あゆみがラーメンを持ってきた。あゆみは、3人が同じクラスだと気がついていないようだ。

あゆみは、店の奥へ去った。


ユージ   「ってか高校終わってすぐバイトか。たいへんだなあ」

アク    「そうだね」

ユージ   「アク。さくらのバイトってそう考えるとかなりいいね」

アク    「うん。座ってスロットしてるだけで3万だ。ちょっとリスクあるけどね」

ユージ   「そうだね。高校は中学と違って退学あるから」

アク    「本当だよ。退学なんてしたら人生狂っちまう」

ミッキーは、アクとユージの会話を聞かず、あゆみばかり見ていた。

ユージ   「お前そんな好きなら、ここでバイトしたら?」

ミッキー  「あ!それいいね!」

ユージ   「でも男は、時給800円ぐらいだったような・・・

ミッキー  「100円でもやるって」

アク    「おーミッキー、いいこと言った」

ミッキーは、久々にアクに誉められたのにあゆみばかり見ていて聞いていなかった。
 
アク    「そういや、あきいないのかな」

ユージ   「今日は休みなんじゃない?」

アク    「俺がよしきだったら交互に使うかな・・・」

ユージ   「なるほど、毎日カワイイコいたほうがいいからね」

ミッキー  「でも、他のコもかわいいコばっかだね」

アク    「あのおっさん、間違いなく顔で選んでるな」

ユージ   「ミッキー。ここでバイトできたらいいコ紹介しろよ!」

ミッキー  「あー。うん」

アク達は、よしきに会わず店を出た。確認しないでも親戚なのはわかった。金はアクが払った。


その日の夜。けんた家


アク    「ちょっと外走ってくる」

ユージ   「毎日大変だねえ」

アクは、毎日と言っていいほど外を走っている。これは、中学のときからやっていることだ。

アクは、いつも3人でいることは楽しいのだが、一人でいる時間もほしかった。

アクは、最近夜走っていて一人でよく考えることがある。



アクは日頃感じていた。時の速さを。完全犯罪をやると決めてからはや3年。

あと3年経つともう高校卒業している。

「1年なんてあっという間ってホントだな」 と、アクは最近思っていた。

あっという間だから何かを残しておきたい!何かを積み上げておくべきだ。

そう、考えた。

完全犯罪をやると決めたときからアクは体力づくりをしている。

3年経った今、アクは人並み以上の体力を確実に持っている。

アク  「もう1つぐらい何か積み上げておいたほうがいいな」

体力はこの調子でいけば十分だと考えた。

アク  「何を積み上げるべきか・・・」

アクは、夜中走りながらいろいろ考えた。

その結果アクは、仲間集めという結論に達した。

今いる仲間は、すべて同じ歳。けんたを除いては、同じ高校、同じクラス・・・同じ家・・・。

これで犯罪なんてしたらすぐバレる。

もっと違う年齢。性別。住所。いろんな人が仲間にいたほうが絶対成功しやすいと考えた。

でも、仲間を増やすことは、盗んだ金の取り分が減るということももちろん考えていた。

そして、アクはけんたの家へ帰った。


ミッキー 「おかえり♪」

アク   「ただいまー」

ミッキー 「お風呂にする、あたしにするー?♪」

アクは、ミッキーを冷たい目で見て黙って風呂に入った。

ユージ  「ミッキー、どんまい」


アクは風呂の中でまた考えた。

「仲間集めか・・・三星高校であと2人ぐらい仲間にしとくか・・・。」

そして、次の日アクは、同じクラスの人を観察した。



アクは、今まで同じクラスの人にそこまで興味はなかったので気付いていなかった。

アク   「なんだ、あいつは・・・」


アクは、一番後ろの席に座っているデカイ男に気付いた。


昼放課。一人で飯を食っているやつは友達がいない。

友達がいないってことは仲間になりやすい。とアクは考えていた。


アクは、デカイ男に話し掛けた。

アク   「一人?一緒に飯食おうよ?」

デカイ男 「え?3人だよ」

アク   「あ?ゴメン。誰か待ってた?」

デカイ男 「いやいや、俺一人で3人分」


アク   「あはは」

デカイ男 「名前なんていうの?」

アク   「後藤アク」


デカイ男 「俺ー。岩男」

アク   「岩男かーへー」


岩男   「嘘だと思った?本当だよ」


アクは、少しも疑っていなかった。

アク   「うん」


そして・・・昼放課は終わった。



その日の夜。けんた家。

ユージ  「三星で仲間になりそうなやついた?」

アク   「んー・・・イマイチ パっとするやついないなあ」

ユージ  「あはは。三星だめだな」

ミッキー 「姫がいれば俺は満足」

ミッキーは、姫野あゆみを自然と姫と呼んでいた。

ユージ  「姫ねえ・・・」

アク   「姫は、彼氏いないって?」

ミッキーにつられて2人も姫野あゆみを姫と言っていた。

ミッキー 「んーしらないーい」

アク   「姫を誘ってみる?」

ミッキー 「ええ・・・」

ユージ  「断られたら、あきにもバレるぞ?」

アク   「大丈夫。俺もあほじゃない。いい方法がある」

ミッキー 「おおおおおおお。アク様、姫を仲間に」


アク   「ヨン様みたいにいうな(笑)」

ユージ  「じゃあ、明日にも話してみようぜ?」

アク   「おう!」


そして、次の日。朝。

アクは、動いた。

アク    「おはよー」

姫野あゆみ 「おはよー」


アク    「姫野 あきって知ってる?」


姫野あゆみ 「うん?親戚だよー。でもなんでー?」


アク    「俺さー、あきと付き合ってるんだよね」

姫野あゆみ 「あ!彼氏さんかー。聞いてた聞いてた」



ミッキーは、後ろの方から羨ましそうにアクをじっとみていた。

ミッキーはまだ、姫野あゆみと話したことがなかったからだ。

そして、ユージもミッキーとは別の方からアクを見ていた。


アク    「あきと一緒のラーメン屋でバイトしてるでしょ?」


姫野あゆみ 「うん。昨日もしてたよ」

アク    「俺昨日、食べに行ったんだよー」

姫野あゆみ 「一人でー?」

アク    「いやー。あそこの二人も」

姫野あゆみ 「へーそうなんだー」

アク    「おーい。こっち来いよ」


そう、アクは言うとユージとミッキーを呼んだ。

ミッキー  「初めまして」


姫野あゆみは、つねおと仲良く話しているミッキーを見ていたのでちょっと不安そうな顔をしていた。

ユージ   「あーどもー」

アク    「この3人だけど、覚えてない?」


姫野あゆみ 「んー。沢山お客さん来たから覚えてないなあ」

アク    「そっかぁ」

アクは、明らかに姫野あゆみのテンションが下がったことに気付いた。


アク    「あれ?テンション下がってない?(笑)」

姫野あゆみ 「いやー。実はね」

姫野あゆみは、3人の前でつねおにストーカーをされていることを言った。


ミッキー  「・・・」

アク    「マジかよ。俺達がなんとかしてあげるよ!なあユージ?」

ユージ   「ああ、俺達にかかれば一発だ」

ミッキー  「あー・・・。うん」

ミッキーは、明らかにテンションが下がった。


アク    「ミッキー、どんまい」

姫野あゆみ 「別に、みきひさ君がストーカーしてるわけじゃないから別に・・・」

ミッキー  「ミッキーって呼んでくれたらテンション上がるなぁ・・・」

姫野あゆみ 「テンション上げて、ミッキー♪」


ミッキー  「ハァーイ♪」


アク ユージ 「あはは」


そんなとき、つねおが教室に入ってきた。



つねお   「おはよー ミッキー」


ミッキー  「・・・」


つねお   「はぁ・・・そういうことか。まあいいや」


つねおはすぐ気付いた。姫野あゆみがミッキーに話したことを。


そして、チャイムが鳴りみんな席についた。


なにごともなく時間は進み。




昼飯を食べて、体育の時間になった。


外でバレー。



いつものようにつねおはミッキーに近づいた。


つねお  「今日も一緒にやろー」


ミッキー 「うん・・・」


ミッキーは仕方なくすることになった。そしてミッキーは、重い口を開いた。

ミッキー 「なあ、ストーカーしてるんだって?」


つねお  「んー。俺にはストーカーしてるって意識はないんだけどね。ただカワイイから・・・」

ミッキー 「そっか。ストーカーなんてやめたほうがいいよ」

つねお  「んー・・・。中学から5回、告白したんだけど ダメでさ・・・。他にすることもないし」


ミッキー 「姫野って彼氏いないの?」


つねお  「前いたけど、最近別れた」

ミッキー 「へー♪」


つねお  「あれ?もしかしてミッキーも姫野のこと好きなの?」


ミッキー 「いや。俺は違うよ」
ミッキーはとっさに嘘をついた。

つねお  「へー」

しかし、つねおにはバレているようだ。


ミッキー 「でさーストーカーはいつまで続けるの?」

つねお  「知らない。俺が気がすむまで」

ミッキー 「気がすむまでって・・・。姫野は迷惑してんだぞ?姫野の気持ち考えろ」

つねお  「ああ・・・。じゃあ俺の気持ちはどうなるんだよ」

ミッキー 「お前の気持ち?」

つねお  「俺がどれだけ姫野のことが好きか知らねーだろ」


ミッキー 「だからってお前、男だったらキッパリ諦めないとだめだろ」

つねお  「男とか、女とか関係あんのかよ」

ミッキー 「好きな人が迷惑つってんだから、やめてやれよ。あいつを本当に好きならさ」


アクとユージは、遠くからミッキーをみていた。


アク   「あれ?ミッキー、一人で説得してる・・・さすがだな」


ユージ  「これでストーカーなくなったら、姫野も仲間にしやすいね」


アク   「一気に距離は近づくね」

ユージ  「全て作戦通りだなー」

アク   「あはは」


一方そのころミッキー達は。

つねお  「俺、友達一人もいねーから暇なんだよ」


ミッキー 「暇だからって姫野をストーカーしていいのかよ」


ミッキーの声が大きくなり周りの生徒も気付いてきたようだ。



ミッキーの説得は体育が終わるまで続いた。




放課後。



つねお  「ミッキー。俺どうしたらいいんだよ」


ミッキー 「やめとけって、そのうち警察が入ってきたら本当に厄介なことになるぞ」


つねお  「警察・・・」


ミッキー 「なあ、やめとけよ?」


つねお  「やめれるかな?」


ミッキー 「ああ。お前ならやめれる」


つねお  「やめたらすることなくなる」


ミッキー 「毎日仲良い友達と遊べばいい」


つねお  「俺に友達なんていないよ。携帯だって持ってても鳴らないし」


ミッキー 「だから、俺が友達になってやるって。だからストーカーはやめよう?」

つねお  「わかった。じゃあ、携帯番号教えて」

ミッキー 「俺持ってないや・・・」

つねお  「・・・」


ミッキー 「買ったらすぐ教えるよ」

つねお  「わかった・・・」




その日の夜。けんた家。


アク   「ミッキー、つねおどうなった?」


ミッキー 「もうストーカーしないらしいよ」

アク   「そっかぁ。意外と早く解決できたな」



ユージ  「そうだねー」


ミッキー 「これで姫が仲間になるのかなあ?」


アク   「あせるなって、まずは距離を縮める。それからだ」


ユージ  「これでストーカー無くなったら縮まるね」


ミッキー 「でも、姫のこと他のクラスの男子も狙ってる人多いからどうなるか・・・」

アク   「大丈夫だって他のクラスだったらそこまで仲良くできないって」 



ミッキー 「あ!そういえば、来週2泊3日でオリエンテーション合宿があるよ?」

ユージ  「え?合宿?」

ミッキー 「うん。合宿っていってもクラスの団結力を高めるのが目的らしい」


アク   「なるほど・・・それは使えるな」

ユージ  「俺達は毎晩一緒だけどね(笑)」


アク   「ここでさらに距離が縮まるか・・・」



ミッキー 「お菓子いくらまでかなあ・・・♪」



そして、オリエンテーション合宿。

朝。

アク   「ミッキー?・・・そんなに持ってくの?・・・」


ミッキー 「あー・・・うん。」



ユージ 「・・・枕はいらんでしょ?」


ミッキー  「俺、自分の枕じゃないとぐっすり寝れないんだ」


アク   「一晩ぐらい我慢しろよー(笑)」


ユージ  「まあ・・・いっか」


荷物が重いということで3人はタクシーを使った。


入学式のときと同じ運転手だ。相手もそれに気付いた。


運転手  「あれ? 朝から夜逃げ?」


ミッキー 「はい」


ユージ  「いやいや、はいじゃねーだろ」


運転手  「私もねー、前の会社クビになったときは夜逃げしたよー。あはは!」


笑っているのは、運転手だけだった。



三星高校についた。


後藤先生 「おお。ミッキー、夜逃げか?」


ミッキー 「はい」


ユージ  「いやいや、はいじゃねーだろ」


アク   「さっきもタクシーのおっさんに言われたなー」


後藤先生 「お前等タクシーなんて使って、自転車でこい!」

そんな話をしていると遠くから姫野あゆみがアク達の方へ近寄ってきた。


後藤先生 「おはよ。姫野ー」


ミッキー 「おはよー」


姫野あゆみ 「おはよーございまーす」


アクは姫野に聞いた。


アク   「ストーカーどうなった?」


姫野あゆみ 「うん。最近、なくなったかも」


アク   「そっかぁ、よかったね」


姫野あゆみ 「うん。ありがとね後藤君」


ミッキー  「ええ・・・」


ユージ  「あはは(笑)」


遠くから見ていた つねおがこっちへやってきた。



ミッキー 「おはよー、つねお」

つねお  「あれ?ミッキー 朝から夜逃げ?」

ミッキー 「んなわけ、ないでしょ」


ユージ  「あれ、つねおには普通なんだ・・・」


アク   「あはは」


姫野あゆみ「・・・私ちょっと友達が来たからあっちいくね」


後藤先生 「ああ」


アク   「またねー」


姫野あゆみは、つねおを避けるように去った。


後藤先生 「よし、そろそろ集合だ」


アク   「はい」


あってもなくてもいいような式が終り、バスへ乗り込んだ。


アクとユージは二人で座りミッキーはつねおと座った。


ユージ 「ストーカーは無くなったもののミッキーとつねおが友達だったら姫野に近づきにくいな」

アク  「そうだね。かなり微妙だ」

こんな話をしているうちに目的地についた。

アク  「なんだ。意外と近いな」

ユージ 「でも、山だね」


アク  「うん」

後藤先生 「えっとー、あそこに見えるデカイ家でー泊まるからーみんなあっち行って」

古い大きな家。3階建てで1階は、食堂と風呂があり小さな事務がある。
2階と3階は、泊まる部屋が所狭しと並んでいる。

後藤先生 「3階は女子で2階が男子な。」

あらかじめ高校で決めたグループの班長にカギを配った。


アクとユージ、ミッキーはもちろん同じ部屋でミッキーが班長だ。


アク 「あれ?後一人って誰?」


ユージ「つねおじゃないの?」


ミッキー 「違うよ。後藤先生だよ」


アク 「なんで、先生と一緒なんだよ」」


ユージ 「俺達目付けられてるんじゃないか」


ミッキー 「大丈夫だって、きっと面白いよ」


アク達は部屋に荷物を置いた。後藤先生もやってきた。


後藤先生 「おお。よろしくな」





ミッキー 「先生、一緒にトランプしよー」


後藤先生 「そんな暇ないぞ、今から体育館でドッチボールだ」


ミッキー 「えー。今からー」


後藤先生 「じゃあ 俺先いってるから すぐこいよ。俺のカバン触るなよ」


そういって後藤先生は立ち去った。

ユージ 「触るなって言われると触りたくなるな」


アク  「見てみるか?」


ユージ 「たいしたもんなさそうだし、やめとこ」

ミッキー「じゃ、体育館行こっかー」



何事もなくドッチボールは、終わった。

体育館からの帰り道。

アク  「あれ、黒い雲が出てきたな」


ユージ 「山は天候が変わりやすいっていうしな。雨降るかもね」

ミッキー「なにか、面白そうだな・・・」

雨が降る予感は的中した。


午前 3時。

みんな寝静まっている中、事件は起こった。

ユージ 「雨すげーなー」

アク  「そうだね」

アクとユージは二人で話していた。

ミッキーは、自分の枕を持ってきたおかげでぐっすり寝ている。



アク 「俺達もそろそろ寝るかー」

ユージ「そうだね」


そのとき。

「ガガガガガーードォーン!!!」


ものすごいいきおいでカミナリが落ちた。窓から見える外は一瞬白く光った。

アク 「これかなり近いところに落ちたぞ」

「リリリリリーーリーン!!!!」

古い家だけに変な音のサイレンが鳴る。



ユージ 「あ!体育館から煙が出てる!」

アク  「体育館に落ちたんだな」

「リリリリリーン!!!」


ユージ 「サイレン、鳴ってるなぁ」

アク  「なんで、こいつら起きないんだー」


数人の生徒達が何事かと廊下を走っている。

つねおがアク達の部屋に入ってきた。

つねお 「後藤先生!」

後藤先生 「なんだ???」


後藤先生は廊下側で寝ていたのでつねおの声で起きた。


そのときである。


「リリリリリーーーン!!!」



ミッキーが起きた。


ミッキー 「あ!俺の目覚ましが鳴ってる」


そう言うとミッキーは大きなカバンの中をあさりはじめた。


後藤先生  「いやいや、サイレンだろ(笑)あはははは」



アク ユージ つねお 「あははははははは」

その笑い声で廊下にいた生徒達が全員やってきた。


廊下にいた生徒 「どうしたんですか?」





後藤先生 「いや。こいつがサイレンを自分の目覚ましだと間違えて笑ってたとこなんだよ」



「あははははははは」

アク  「お前の目覚まし、こんな音してねーだろ(笑)」


ミッキー「あ!・・・」


「あははははは」



こんな面白事件があったおかげで、1組の男子はどこのクラスよりも団結したのだった。


この事件を、ミッキーサイレン事件という。


ただ、体育館は全焼したので次の日は山を1日使って登ることになった。



オリエンテーションも終り普通の生活に戻った。

ミッキーは、『面白い人』というので1年生の間に広まっていた。


もう1つ広まっていたものがあった。




それは覚せい剤だ。




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