トップページ


今なら七夕に  byあくぼう





俺がHPの管理人をするようになってから1年が過ぎた。

最初はただ自分の考えや思ったことをみんなに聞いて欲しくて作った。
実際のところ、アフリエイトで金稼げたらなあなんて思ったことも確かだ。
ただアフリエイトで金稼ぎというのはHPをやっている人間なら分かるだろうが相当難しい。

「アフリエイトは無理だ」そう実感してからは本当に趣味だった。
HPを作ってても自分に何がプラスになるのかわからない。
「金」という目に見えるものはない。

ネットを通じて知らない人に自分の思っていることを知らせたからってどうにもならない。

最初のころは正直甘かった。なんか分からないけどデタラメにHPを作ってた。
時計を置いたりとか、ここに今何人いますとか。

一回押したら消えるボタンとか、今考えると笑える。

まぁ趣味だったから良かった。完全に自己中の世界。
どこのサイトにも相互リンク依頼をせず。
身内だけが知っているサイト。
そんなサイトでも数ヶ月やっていると知らない人がどこからともなく訪れた。

「あの小説読んだけど面白かったです。次回作を期待してます」

正直嬉しかった。たぶん正月に親戚からもらえるお金より嬉しかった。

「金」では買えない経験ができた。

それからだろう。HPをやる理由がはっきりとした。

「みんなから面白いと言われるサイトを作りたい」

1年でサイトに使った時間は1000時間はあるだろう。

大学生ということで時間はあるとはいえ一日2時間以上サイトに使っている。
俺はHPの管理人の苦労が分かるやつになった。
このHPを作るにはだいたいこのぐらい時間がかかってる。
更新にはこのぐらいかな・・・。
---

全くの他人から「面白いね」と言われてからか、自信が持てたのは事実。

それから相互リンクを増やしてみようと思い、同じジャンルのサイトを回った。

サイトの管理人さんとメールした、楽しかった。


俺が小説を書き始めて1年が過ぎようとしていたとき

ふとイラストサイトというのがあることを知った。
もちろんあることは分かっていたが、俺は見たことが無かった。

検索してみた。「イラストサイト」

いろんなサイトが出てきた。

リンク集を見つけて飛び回った。

「私は現在中2で将来はプロ漫画家を目指しています」

「私は高2です。将来はイラストレーターになりたいと思っています」

「私は大学2年です。将来の夢は漫画家です」


みんななぜかプロを目指してた。

絵も確かに上手い。


俺は小説を書いている。

なんか小説とイラストってある意味似てるなって思って
思い切ってメールを送ってみた。

「すごく上手いですね。世の中には自分と同い年でここまで上手く描ける人がいるなんて思わなかったです」

相手からは・・・
「そうですか?もっと上手い人はたくさんいますよ。でもこんな絵でも誉めてくださってありがとうございます」


分かるんだ。 誉めてもらえるって嬉しいということ。


そんな中ある一人の女性と出会った。

アクセス数は日に20〜30ぐらいか。

プロ漫画家を目指している人。

俺は思い切ってメールを送ってみた。

「絵上手いですね。応援しますからプロになってくださいね」

こんな感じのメール。

相手から返信がきた。

「ありがとうございます。がんばります」

最初はそんな感じだった。

どんどんメールをしていくうちに仲良くなった。


相手から

「今度、編集部に漫画を持っていくんですよ。アポ取りました」

そんなメールがきた。

彼女は日記を書いていて漫画を持っていくということを確かに書いていた。


それから1週間メールの返信も日記の更新もなくなった。

どうしたんだろうと思っていたら

日記に

「いろいろ編集者の人に教えてもらってしかも誉められて、なんと担当の人がついてくれるんだって」

そんな日記がでた。


「あれ?俺にはメールこないのかな」

結構仲良くなっていたと思っていたのは俺だけだったようだ。

さらに二日ぐらいしたら・・・

彼女のHPの掲示板が無くなった。

日記には

「漫画のことで頭いっぱいです。掲示板の返信もちょっとできませんのでとりあえず外しました」


「・・・」

彼女のサイトから1つコンテンツが減った。

そして日記と更新されないギャラリーのページが残った。

それでも俺は彼女が気になってHPを見に行っていた。


日記しか更新されない。その日記も一週間に一回とか。

ある日、日記が更新された。

「今日はインクをこぼしてしまって大変でした」


「日記がアップされているということは、まだパソコンには触ってるんだな」

そう思った俺は彼女にメールを送った。

「最近掲示板無くなったね。 担当の人がついてくれたみたいでよかったですね。これからも応援してます」

メールを送った。

・・・返信がこないまま。

彼女の日記は更新された。

「・・・シカトか」

俺って一体なんだったんだろう。

最初のほうは「お互いがんばろうね」とか言ってくれた彼女は今はもういないんだ。


夢に向かって走ってる。 俺は掲示板が復活するまでメールを送らず、見守ることにした。

それから1ヶ月ぐらいが過ぎたのかな。

最近彼女がなにをしているのか気になって久しぶりにHPを見にいった。




突然ですがこのサイトは本日を持って閉鎖しました。
理由は漫画に専念したいからです。
今まで遊びに来てくださった方ありがとうございました。
リンクを貼っていてくれた管理人様お手数ですがリンク外して下さい。
短い間でしたが本当にお世話になりました、またどこかでお会いできたら嬉しいです
管理人○○より


おい!
またどこかでお会いできたら嬉しいですって・・・
顔も本名も分からないのに会えるかよ!!!



なんだろうこの感じ。久しぶりだ。すごく悲しい気持ちになった。

1ヶ月ぐらい前までは俺だけかもしれねーけど、楽しくメールしてた。

俺になんの連絡もなく勝手に閉鎖しやがって。


もう彼女とは会えないというか話すことができないんだって思うとほんと悲しい。

もう彼女の描いた絵が見れないと思うと寂しい。

プロの漫画家になったって俺が彼女だと気付くことはないだろう。


閉鎖しなくたって、別に更新が1年に一回だって残してて欲しかったな。

七夕はもう終わったけど1年に一回でも会えるなら俺はそれでよかったのに。



まさか閉鎖するなんて・・・。

閉鎖はねぇよ・・・


今なら七夕に閉鎖しないでと、願うだろう。


トップページ