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タイトル   人のために      byあくぼう





今からおよそ1000年前。

一年中 あたたかい気候の地域。

人口200人の小さな村。

そこの村長の一人娘。 名前は、マザー。

マザーは生まれつき不思議なことができた。

手から火を出したり バケツに入っている水を数秒で凍らせたり。

10歳になるころには空も飛べていた。


そんなマザーは村人から神のコと呼ばれていた。


村人はマザーを気持ち悪く思うものもいたがだいたいはマザーを可愛がっていた。




マザーが15歳になった。


15歳になっても不思議な力は衰えることはなかった。


村で火事がでればマザーが火を消す。

雨が降らなければ雨を降らす。


マザーは村人のために力を使っていた。





村人はマザーのおかげで大きな災害もなく平和に暮らす事ができた。



あるとき、マザーに不幸が襲った。



村長が死んだのだ。


いくら不思議な力が使えるといっても人を生き返らせることはできない。


村長が死んで、新しい村長が選ばれた。



その村長は昔からマザーのことが気持ち悪いと思っていた。


だから、新しく村長になった男は、マザーを牢屋に入れたのだ。


村人は激しく反対した。が、結局マザーは牢屋に閉じ込められた。


それでもマザーは村人のために力を使った。


牢屋にいても力は使える。


ある日。村長が今まで村人がかかったことのない新しい病気に侵された。


「これは、マザーの仕業だ」

そう、村長は言っていた。

「そんなことマザーがするはずない」

そういう村人たちではあったがマザーがやったかもしれないという人も増えてきた。

ある村人がマザーに会いに行った。

「マザーが村長を苦しめているの?」


マザー 「いいえ。私は人が苦しむのはみたくない」

マザーは本当に村長を苦しめてはいなかった。


村人は言った。

「じゃあ、治してください」

マザーは快く引き受けた。

マザー 「でも、牢屋に入っていては治すことができない」

ここで村人は気付いた。

≪全て牢屋からでるための作戦なのではないか≫

と、村人は思った。

しかし、今までマザーが村人にやってきたことを思うとそんな心配も消えた。


村人はマザーを牢屋から出した。



マザー 「ありがとう」


マザーは、村長の病気を治した。


村長はマザーに命を救われた。



村長 「ありがとう。今まで牢屋に入れていてすまなかった」

マザー 「いえ。いいんです」

村長は、マザーに村で一番大きな家を与えた。




こんなマザーではあったが1つだけ悩みがあった。



30歳になったマザー。


そろそろ結婚したい。そう思うようになった。

しかし、村人はマザーと結婚しようとするものはいなかった。


大きな家を持っているもののやっぱり結婚となると気がひけてしまう。

それに加え、マザーは実年齢30歳でありながら見た目は50過ぎのばあさんだ。

不思議な力を使うと歳をとるのが人よりはやくなるようだ。


マザーは考えた。

「そうか。美しくなる力を使おう」


今までのマザーは人のために力を使い自分のためには一切力を使わなかった。

「一回ぐらい自分のために力を使ってもいいよね」


マザーはそう自分の心にいい聞かせた。


そして、自分を美しくしようと力を使った。



それが裏目にでた。



やはり自分のために力を使うのはいけなかったようだ。



マザーは美しくなる力を使う前より顔にシワができ、老けた。



マザー 「あー。やはりダメなのね」

しかし、マザーの心は腐らなかった。


マザー 「わかったわ。もう私はどうでもいい。これから生まれてくるコ達のために・・・」

マザーはこれから生まれてくる女性のために最後の力を使った。







その力とは、
































鏡。







今ある鏡、これから生まれてくる新しい鏡。


すべての鏡に美しくなる力を与えた。



マザー 「よし、鏡さえ毎日見て暮せばみんな綺麗になる」


そう言ってマザーはすべての力を使い、死んだ。












そして、その力は今でも引き継がれている。








END...