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ELITE(エリート) byあくぼう



エリート、それは選ばれし者。

ここでいうELITEとは高学歴という意味ではない。

誰もがなれる存在ではないのだ。

60数億人いるこの星でたったの6人。

この6人は表には決して現れることがなく国で守られている。

米国に4人。EU(ヨーロッパ連合)に2人。

エリートはどれも頭が良く、スポーツ万能なのが特徴だ。

頭がいいとは一般的な想像を超える頭の良さで10代前半で大学院を卒業し博士号を取得するほどのレベルだ。

スポーツ万能というのはこれもまた一般的な想像を超える。

いくら牛乳を飲んでも身長が伸びない子は世の中にたくさんいる。

生まれつきかのように体が柔らかい人。

エリートの運動神経もまた生まれつきに良いのだ。

ジャンプ力は同じ年齢の人間と比べると人の3倍はあるだろう。

サッカーやバスケなどのスポーツをマスターするスピードも速い。

人のプレイを見るだけでそれと全く同じ動きをコピーしてします。


メディアでよく見る「超能力者」がいるが彼等はエリートの足元にも及ばない存在。

ただそんな万能にも思えるエリートにも1つだけ欠陥がある。それは……

寿命が短いということだ。

エリートはみんな20代で死んでしまう。

稀に30歳まで生きるものもいるがエリートの最高寿命は31歳と記録されている。

エリートは国の宝であり人類の宝である。

エリートは10代前半で一般的な知識を全て覚える。それから約10年は研究に勤しむ。

特に多い研究が「人の寿命」を延ばすことである。


そして大事な特徴がある!

エリートが死ぬと新たにエリートが生まれるということだ。

エリートが死んだ日の翌年の同じ日に必ず生まれる。

だからエリートが死んだ日の翌年の日は病院ではスーツを着た人がたくさん現れるのだ。

大概同じ国で生まれることが多いのだが稀に他の国で生まれることがある。

生まれるとすぐにエリートだとわかる特徴は今のところない。

見分けるには3歳でいくつかの言語を話すことを確認する必要がある。

英語、フランス語、ドイツ語、日本語……。

複数の言語を教えていないのに話したらそれは紛れも無くエリートの証。

エリートが生まれてしまった家庭は国で極秘に保管される。

親はもう金の心配をすることがなくなり、したいことは金で解決できることなら全てをすることができるのだ。

ただそんな一般的な家庭に生まれることは今までに一度しかない。

大抵はエリートが死ぬ前に子孫を残す。

エリートが男だったら女に妊娠させる。女だったらその逆だ。


だからその行動が行われたら死が近いということになる。

自分が死ぬことが嫌で子供を作らないというパターンがある。

そのときだけはエリートがどこで生まれるか分からないため上に話したことになる。



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今からおよそ2,30年前のことになるが米国で「宇宙の果て」と「エイズの治療法」を研究していたエリート。

その名も「ユニバ(女・26歳)」は性行為をすると自分が死ぬということを知っていたため一切の性行動をしなかった。

そのため彼女は30歳で死ぬことになったのだが、そこで米国の政府は今度のエリートがどこで生まれるのか分からない状態に陥った。


「世界のどこで生まれるか分からない。探すんだ!」

エリートは国の宝。今までに新しい研究で莫大な金を儲けてくれたエリート!

このエリートが発展途上国に生まれるとその国はそのエリートの力で先進国へと発展してしまうからだ。

「ライバルは少ないほうが良い」と考えられているこの時代でそれはあってはならないことだった。


「死んだことは黙っておけ我等独自に探すんだ」

金と権力に目が眩んでいた米国の官僚がそういうと米国のスパイ達は黙って米国を後にした。



時は流れ1年。

「明日だぞ、明日世界のどこかでエリートが生まれる!」

1年も経つと世界の先進国は米国のエリートが死んだことぐらい分かっていた。

そしてその1年の間で生まれてすぐにエリートを見つけ出す方法も研究されていた。

見分け方は目だ、その人種と違って色の目をすればそれはエリートの可能性が高くなる。

日本人の場合では青色になるなど。


世界の各国でエリートを探す動きが見られる。

「実際エリートだと分かるのは生まれてから3年後とされている、あせってはならぬ」


「ただ、どこで何人生まれたかぐらいは把握しておかないとな」



「エリートを我がものに」ということで捕まえてしまえばそれまで!

どこの国で生まれようが関係ない。

国がやることだ。バレるはずもない。


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そして3年が過ぎた。


東京のボロいマンションに住む一人の女性。

妊娠してすぐに夫がバイク事故で死んだ。

子供を下ろすことができたが彼女の強い意志で周囲を説得し産むことにした。



子供を自分の母親に預けてはパートの仕事をしていた彼女の給料は少なく、母親も病気持ちだったため決して裕福な生活はできていなかった。

母親 「この子だけが私の支え」

愛していた夫との間にできた子を誰よりも愛し生きていくための糧としていた。


ある日のこと……。

母親がパート終わりに安いスーパーで買い物をし愛すべき子に早く会いたいと帰宅すると。


男の子「Good luck! (幸運を祈る)」

男の子「Let's work together! (お互い精一杯協力しよう)」

我が子が自分の母親に向かって英語をしゃべっている。

母親 「お母さん! 何おしえたの?」

ばあさん「いや、何もおしえとーらんよ」

男の子「キャッキャッ」









・・・。


母親にそんな発言をする日本人の子供が地域で評判となった。


母親 「天馬(てんま)、どうしたの? ねぇ、なんで英語なんかがしゃべれるの?」

自分の子供がエリートだと知らない母親は毎晩不思議に思っていた。


母親は怖くなり何度も天馬を殺そうした。

が、愛すべき人との間に生まれた子、そう簡単には殺すことなんてできなかった。


1年の月日が流れた。

世界各国の政府たちはお互いに

「すでに新たなエリートは捕まっている」と思い込んでエリートを探すことに力をいれずにいた。

天馬は4歳になると、目の色がはっきりと青色になり意味の分からない言葉を話す。


母親ももう3歳になってから1年が過ぎるころには慣れてしまい。

自分の子供は天才だと思っていた。

ただ天馬には「日本語意外は使わないように」と仕付けていた。

天馬は紛れも無くエリート。足の速度も異常に速い。


母親は天馬に1度だけ試したたことがあった。

高校のときに使っていた国語辞典を天馬に渡したのだ。

そしてパートから帰ってくると天馬がちょうど国語辞典を読みえるときだった。


ばあさん 「この子ずっとその本読んでたわよ」

母親   「え……」

天馬   「全部覚えたよ」


さすがにこのときばかりは天馬が怖かった。

どうしていいのかわからず、決して病気でもないのに病院に連れて脳の検査。

病院の先生もエリートの存在など知らないからただの天才として扱うだけだった。

---

天馬   「ママ〜」

5歳になった天馬は母親に甘えっぱなし。


そんなある日、最悪の事件がこの家族に起こった。

地域で天才と言われ続けたことがきっかけでアメリカ政府の関係者がそれに気付いたのだ。

「あの子を捕まえろ」

今までなら家族に事情を説明し家族ごと引き取るものなのだが時代が変わり……。

家族を養う金が勿体無い。という自分勝手な考えでなんとそのエリートだけを誘拐するという方法を取った。

「エリートは普通の子じゃない。なめてかかるとやられるぞ」

エリートが本気でケンカすればプロボクサーでも楽に倒されてしまうほどの力がある。

ただ、天馬はまだ子供。そこまでの威力はなかった。



母親がパートに出かけている間にアメリカ政府の関係者はそっとマンションに侵入し天馬を連れ去ろうとした。

病気持ちのばあさんが必死に抵抗するも簡単にクビをロープで閉め上げて窒息死させてしまった。

自殺に見せかけるために天井に新たにロープを吊るしばあさんのクビをかけた。


天馬は軽く気絶する程度にクビの裏側を殴られ気絶している。

男達は天馬を大きな袋に入れるとそのまま持ち上げ外まで運ぶと高級そうな車に入れ誘拐していった。


パートから戻ってきた母親は自分の目を疑った。

ありえなかった。昨日まで貧乏ながらも天馬の将来に期待していた母親。

病気持ちだったとはいえ優しく、毎日明るく振舞ってくれた自分の母親がクビを吊っている。

母親は天馬が居ないことに気付き、警察に連絡、ばあさんも遺書がないことから他殺だと考えられた。

周りで犯人を見た人もいなかった。


愛する息子をなくした母親は生きる糧をなくしてしまい、自殺未遂を何度も繰り返してうつ病へとなってしまいいつしか病院生活をするようになった――。





ただ、天馬も無抵抗で捕まったわけではない。

アメリカ政府が侵入してくると必死に抵抗し泣き続けた。

「誰だよー。うわーん」

暴れまくる天馬だったが病気持ちのばあさんをかばおうとした隙にクビを殴られ気絶してしまったのだ。





「正しく、本物のエリートだ」

政府の関係者は目の色やその運動神経を目の辺りにして確信した。



そのまま極秘に天馬はアメリカへ連れて行かれた。


連れ去られたときの天馬の心には

1、ばあさんの病気を治す。

2、もっと裕福な家庭にする。

3、犯罪は絶対許さない

という3つが心に芽生えていた。



アメリカに着くと天馬は科学者にユニバが書き記したノートを見せられた。

天馬はペラペラとそのノートをめくり目を通した。

今まで数年間英語を全く使ってなかった天馬であったが英語を忘れてはいなかった。

「読める」

そして天馬は気付いた。

「これ、知ってるよ」

天馬はユニバの生まれ変わりだと科学者達は確信した。

生まれ変わりなど信じていなかった科学者も天馬の発言に驚いた。

昔の伝説で「エリートは前世の記憶を覚えている」ということが裏付けられた。



科学者 「すばらしい」


天馬はそのノートを全て読み終えると自分のやるべきことを認識した。

まず引き継いだもの。

宇宙の果てとエイズの治療法。

それに、ばあさんの病気を治すこと。ばあさんの病気はうつ病だ。

そして、貧困で悩んでいる人を助けること。

さらに犯罪を無くすこと。

一番の目的は母親と再会すること。

でも、これは内緒だった。

心の奥底に潜めて決して誰にも言わなかった。

自分がこの科学室というか大学のような建物から一歩も自由に外に出られないことは分かっていた。

でもいつか必ず母親に会いに日本に戻ると強くこころに秘めつつ科学者のいいなりになっていた。




それに天馬はやるべきことがたくさんあった。

まずは博士号の取得。

これに6年かかった。



11歳で博士号取得!


13歳までエイズの治療法と宇宙の果てについての研究と、比較的簡単だと思っていたうつ病の治療法。

宇宙の果てはどうなっているのか。

無重力という空間で永遠と広がっていると言われている宇宙。

これを考えるのなんて普通は諦めるがエリートは違っていた。



---


14歳になると一度エイズと宇宙の話は置いておくことにした。

それよりも母親探しがしたくてたまらない。

博士号を取ったことや宇宙の研究をしていることを母親に言い誉めてもらいたいと思っていた。

しかし、建物の外へ出ることは禁止されている。

そこで天馬は考えた。

日本で何か実験をすれば日本へ連れて行ってくれる!

そう考えた。

そして天馬は日本人の寿命に目をつけた。

日本の老人を研究するために日本へ行きたい!


さすがの研究者も14歳のエリートを可愛がっていた。

ただでさえ寿命が短いのに毎日勉強ばかり。

そんな天馬に情すら移っていた。

「わかった。日本へ行こう」

天馬の作戦通り日本に行くことができた。


見た目は日本人なのに目の色は青。
不思議な少年は日本へ向かった。


東京のとあるホテル。

天馬は懐かしい光景と母親との思い出を想像していくうちに涙が溢れてきた。

「きっとどこかで母さんは生きている」

天馬はばあさんすらまだ生きていると思っていた。


それとなく東京の街を散歩している天馬。

もちろん一人ではない、8人のボディーガードが着いている。

ボディーガードというより見張り役だ。

天馬が逃げないようにということと、命を狙われないようにということ。


天馬は過去の記憶を呼び起こし自分が住んでいた古いマンションへそっと足を進めて行った。

ボディーガードの中で天馬のマンションを知っている人はいなかった。

天馬は自分の住んでいたマンションへ近づくと思い切り走ってボディーガードを振り切ろうとした。


しかし、ボディーガードもただの人ではない。

政府が認めた最高のボディーガード。

天馬の肩を掴んだボディーガード。

天馬 「んんんっ!」


天馬はエリートだ。

力は人の数倍ある。

ボディーガードが掴んだ手を力で外すと天馬はオリンピック選手でも適わない速度でその場から走って消えてしまった。


天馬 「みなさん、ごめんなさい」

天馬は今まで育ててくれた科学者や政府の人間に感謝していなかったわけではないが産みの親と会いたいという気持ちの方が強かった。

天馬は走ってマンションに近づいていった。


天馬 「!!!」

マンションがない。

新しくそこにあったには大きなゲームセンター。



だが、奇跡は起きた!

母親 「天馬っ!!!」


ゲームセンターの隣の古い家の方から天馬を呼ぶ声がした。

母親は一生懸命治療してくれた医者と母親は知らないが天馬が作り出したうつ病に効く薬で見事完治していたのだ。

そして母親は暇があると昔住んでいたあのマンションの跡地に来ることがしばしばあった。

もしかしたら 天馬が帰ってくるかもしれない!と心の底で信じていたからだ。


母親 「大きくなって」

母親は泣き崩れた。

天馬 「ただいま」

天馬も母親につられて泣いた。

後ろからボディーガードが走ってきた。

天馬 「逃げよう!」

母親 「え?」

天馬は軽々と母親を背中に背負うとそのままものすごいスピードでその場から消えていってしまった。







おわり


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おまけ










それからの天馬は金を稼ぐことを考えた。

天馬の生まれつきの運動神経さえあれば金を稼ぐことなんて簡単だった。


目にはカラーコンタクトをはめている。

母親が健康な体だったことが唯一の救いだ。

アメリカ政府は天馬を探すように仕向けていたがいっこうに見つからないでいた。



頭の良い天馬は、自分の存在が世間に知られていた方がまた誘拐されないと思い自分を売るためにテレビに映る努力をした。


どんどん有名になっていった天馬は生活も落ち着いてきた。

そんなある日、昔から気になっていた犯罪を無くすということを本格的に考え始めた。




それは天馬が19歳のときだった――。





舞台は、完全犯罪へと続く とか続かないとかwww





この話はフィクションです。

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